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南充浩 オフィシャルブログ

洋服で価格競争に陥らないためには商品の差別化・独自化が不可欠

2020年3月23日 ネット通販 1

以前、ZOZOTOWNについてのブログにこんなコメントをいただいて、勉強になった。

 

ZOZOTOWNの良い部分が批判派にも擁護派にもあまり具体的に認識されていないのは歯がゆい部分もあります。
ブランドを横断して、身幅や着丈の範囲を絞ってアイテムを検索できること。一定の照明下での正面・横・背面の着画が確認できること(これは最近、ものによってブランドの雰囲気写真だけになったりもしていますが…)。そして最近ではセール品の返品も受け付けていること。これらを全部兼ね備えたサイトは、いまのところ他にはありません。
願わくば、その自らの美点をZOZOTOWNが見失わないでいてほしいところです。

 

とのことで、買い物をする立場にとっては使い勝手の良さがあるということにある。

まあ、中には他のサイトが追い付いてきた施策もあるが。

 

ZOZOTOWNに限らず、Yahoo!ショッピング、楽天などの大型モール、Amazonなどは基本的にどこも同じ商品をそろえているわけだから、多くのマス層を惹きつけるための施策として、もっとも有効的なのが、「安売り」である。

もちろん、コメントのような選び方をする方もおられるが、それよりもマス層は恐らくは「値段の安さ」に反応しやすい。

安さといっても、さまざまあって、商品自体の割引もあれば、貯まるポイントの倍率が高い、送料無料など様々ある。個人的にはポイントの高さはあまり気にしない。なぜなら2回目をそこで買うとは限らないからだ。

「安さ」が好きな当方だったら、例えば同じ商品だったとしたら、ZOZOTOWNで吟味してからさらに安いサイトで購入する。

またZOZOTOWNは送料が一律で210円だから、その送料を含んだ価格でそれよりも安いところで買うという選択をする。

 

例えば、送料込みで2210円の商品があったとして、他のサイトでは、同じ商品が価格が2100円・送料無料だった場合、当方なら間違いなく他のサイトで買う。

なぜなら、合計金額は2100円となって、ZOZOTOWNで買うよりも110円安いからだ。110円安かったら、大阪に溢れている低価格自販機でジュースを1本買えてしまうし、場合によってはおつりがある。

モールへの出店、サイトへの出品自体に希少性が高い場合はこの限りではない。

その商品が欲しければ特定のモールかサイトでいくら高かろうとそれを買うしかないからだ。

いわゆる、プレミアのついた商品が定価を上回る高さでも売れるのと同じことである。

 

しかし、同じブランドの同じ商品があらゆるECモールや通販サイトに出品されていたら、ほとんどの人は最安値のところで買おうとする。

これが野菜や魚なら、同じホウレンソウ、同じ鯖でも店の仕入れ先・製造採取先によって味が違うみたいなこともあるが、同じナイキのエアマックスオケト28・0センチなら商品自体は変わらない。

どこのサイトで買おうが完全に同じ商品なのだからトータルで100円でも安いところで買うにこしたことはない。

 

ZOZOTOWNも含めて、大手のECモールや通販サイトが価格競争・安売り合戦で集客するのはそのためである。

 

そして、これは実店舗でも同じで、美濃屋が作っているコンバースのトレーナーが定価3990円だったとして、イトーヨーカドーで2990円に値下がりして、イオンで1990円に値下がりしたなら、その情報さえ知っていて移動できる範囲内にイオンがあれば、ほとんどの人はイオンで1990円に下がった方を買う。

 

それを打破するためには、実店舗、ECともにPB化・SPA化するしかない。

一時期、イトーヨーカドーやイオンなどの大手総合スーパーがPB化を進めたのは、根本的には価格競争から脱却したいという考えがあった。

これは洋服専門店も同様で、ブランドブームに特化した百貨店だけは利益追求・効率追求でPBにはほとんど手を出さなかった。ファッションビルはもとより、場所貸し業でしかないので、同じブランドが入店した時点でセールかポイント還元でしか集客できなくなる。ファッションビルと大手ECモールの性質は似ていると感じる。

 

洋服専門店だと、ユニクロやハニーズ、アダストリア、青山、AOKIあたりがPB化に成功した。一方、メーカーとしてはワールドやコムサ、オンワードなどがSPA化にまずまず成功したといえる。

 

ではどうして大手総合スーパーの衣料品PB化の多くは暗礁に乗り上げてしまったのだろうか。

知る範囲でいうと、製造に関していえば、あまり問題がない。店頭での消化率は別として生産ロット数が大きいから商社などを使って割安で作ることは可能だし、実際にそのような構造になっている。

しかし、売れていない。売れていないから相次いで洋服のPBは縮小されている。

 

理由はいくつか考えられる。

1、大手総合スーパーがイメージアップに長年成功できなかった

2、経営者も含めて上層部が衣料品ビジネスを理解していない

3、大手総合スーパーの人材育成法がゼネラリスト向けでスペシャリストが育っていない(これからも育たない)

などを思いつく。

 

1については言わずもがなだろう。ユニクロで買おう!とか、しまむらで買おう!と思う人はいても、「イオンで服を買おう」とか「イトーヨーカドーの服が欲しい」とか思う人は皆無に等しいだろう。

結局、「洋服の買い場」としてのイメージ付けに失敗しているということである。

 

2については総合スーパーから出てくる洋服の施策は奇妙なものばかりだ。しかも根気がない。彼らが目標とするユニクロはどれだけの年月をデザイナーとコラボし続けたか。

 

そして3である。

総合スーパーの上層部には衣料品のスペシャリストが少なく、正社員は入社してから衣料品、食品、雑貨など様々な分野を定期的に異動させられる。

これはこれでゼネラリストを育てるには良いのだが、大きな組織の上層部がゼネラリストばかりになってしまってもうまく行かない。

そして、大金をはたいて知名度だけはあるが実績に乏しいコンサルタントやプロデューサーなどと契約して、さらに利益率を悪化させる。

 

 

まあ、大手総合スーパーは置いておいて、結局のところ、失敗に終わったがZOZOTOWNがPBを開始した理由というのも商品による差別化を目指した部分もあったのだろうと思う。

コト販売だ、イメージ戦略だ、といったところで詰まるところ服を売ってナンボなのだから、商品自体での差別化・独自化に取り組む以外に価格競争を回避するすべはない。これは大手総合スーパーに限らずである。

 

 

そんなコンバースのトレーナーをどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2020/03/23(月) 2:58 PM

    私もZOZOに関するコメントを前に読んで、単純に売ってるだけじゃないんだ、とちょっと驚きました。とはいっても、わざわざZOZOのサイトを見に行ったりはしてないんですがw

    私は、通販は基本アマゾンを使っていて、アマゾンに無い物は楽天、楽天にもないとYahoo!とかいう感じで99%はアマゾンです。でも、うちの妹(30代後半)なんかはポイント貯まるから楽天しか使ってないそうで、私からすると、なんで探し難くて使い難い楽天なんか使うの?って感じですが、なかなかECサイトに顧客を呼び込むのは難しそうっすね。ヨドバシのECサイトなんてアマゾンよりも利便性高かったりするのに、あまり知られてなかったりしますし。

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