続・メディアの報道はあてにならないと思った話

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1件の返信

  1. 愛読者 より:

    こんにちは。

    長くブログを愛読させて頂いております。
    いつも大変勉強させて頂いており、アパレル業界でのキャリアの初期から読んでおりますので南充浩様のブログに育てて頂いております。

    ただ、誠に僭越ながら下記については認識が間違っていると感じましたのでコメントさせて頂きます。
    (当然のことながら人格や知識量について否定したい訳ではありません)

    >平均はあくまでも平均に過ぎないから、もっと売れていたEC店もあれば、
    >もっと壊滅的に売れていなかったEC店もあっただろうということは簡単に想像できるが、
    >そういう壊滅的に売れていなかったEC店を廃止しなかったのは経営者の判断ミスでしかない。
    >
    >この体制では、店舗数をやみくもに増やしたからEC売上高が伸びたということになる。
    >
    >小売店の場合、売上高を伸ばすことはそんなに難しくない。採算度外視で新規出店しまくれば実現できる。
    >
    >シティーヒルの場合、実店舗137店舗で実店舗売上高が110億円内外(類推)、
    >ネット通販が35店舗で売上高が30億円強(類推)なので、実店舗もECも採算度外視で出店しまくった結果として
    >全社合計137億円の売上高(2019年2月期)を達成できたとしか考えられない。

    結論から申しますと、以下です。

      ①ビジネス構造が違うため、同じECとはいえ店舗全てをごっちゃにして平均を考える意味はない
      ②EC10店舗もEC1000店舗も人件費(固定費)はほとんど変わらない
      ③出店できるECモールには出店していく(EC店舗を増やす)戦略は間違いとは言えない
      ④壊滅的に売れていなかったEC店を廃止する理由がない

    よって、『壊滅的に売れていなかったEC店を廃止しなかったのは経営者の判断ミス』ではなく、『(ECの)店舗数をやみくもに増やした』のは戦略として間違いとは言えないと考えます。

    ※シティーヒル及び文章内、本コメント内に登場する企業・サービスと私の間に特別な関係はありません。同業他社にてECを管轄するポジションで働いていただけです。

    ①ビジネス構造が違うため、同じECとはいえ店舗平均を考える意味はない

    (釈迦に説法かと思いますが)シティーヒルのような企業の場合、EC売上高のほとんどは自社ECとZOZOTOWNで構成されています。
    そして、売上高とEC店舗数は概ね以下のような構成になっているはずです(イメージです)。

      ex.) 自社EC(30%,1店舗) + ZOZOTOWN(40%,4店舗) + その他(30%,30店舗)

    おおまかなビジネス構造の違いは以下です。

      ・自社EC ⇒ 固定費高い、変動費低い、在庫は自社基幹倉庫に存在
      ・ZOZOTOWN ⇒ 固定費無し、変動費高い、(基本的には)在庫はZOZOTOWNに納品したものを販売
      ・その他 ⇒ 固定費無し、変動費高いが(多くの場合)ZOZOTOWNよりは低い、在庫は自社基幹倉庫に存在(納品も可能)

    その他のEC店舗(ex.marui,magaseek,locondo…etc)については、ほぼ変動費(販売手数料等)の支払いしか発生せず、また物理的な在庫の納品も(多くの場合)ありません。
    ECと一口にいっても事業構造が異なることと、(後述する理由も加えて)、店舗の平均を考える意味はありません。

    自社ECを複数運営しているのでればそれの平均を考える事には意味がありますが、『固定費のある自社EC』と『固定費のないその他EC店舗』を混ぜて平均を考える理由はないです。
    (リアル店舗⇔自社ECよりも、自社EC⇔その他ECの違いのほうがが大きいです)

    ②EC10店舗もEC1000店舗も人件費(固定費)はあまり変わらない

    現在ほとんどの企業が、その他EC店舗の維持運営には専用のシステムを導入しております。
    シティヒルの場合、記事中にもでてくるW’s PartnersのExlogというシステムを導入していたはずです。

    このシステムで商品・在庫・値段・受注・出荷といった情報を各EC店舗と連携しており、
    商品情報の公開から商品がユーザーの手に渡るまで、人の手が介する事はほぼありません。
    Exlogを含め各社ベンダーが提供するシステムの多くは、15前後のECモールと接続可能で、いわゆる一元管理が可能なものです。

    大元となるデータは自社EC運営を行っていれば必然的に用意されるものです。(商品情報、画像、在庫、他)

    同じECモールに複数ブランドを展開する場合、ECモール数 × ブランド数となりますので、35店舗というのはそれほど多くない印象です。

    システム利用料についてもW’s PartnersのExlogの場合従量課金となっており、売上に占める割合は1%~2%程度です(商材単価による)。
    私でも35程度のEC店舗でしたら単独で管理可能であり、EC10店舗もEC1000店舗もあまり変わりません。

    また、EC店舗数が増えたからと言ってそれぞれに在庫を預ける必要はなく、あくまでも『売れたら売れたものだけモールに出荷』し、売れた金額分の販売手数料を支払います。

    ③出店できるECモールには出店していく(EC店舗を増やす)戦略は間違いとは言えない

    D2Cを標榜する零細企業やUNIQLO等のグローバルブランドが自社ECオンリーで高い収益力を維持する等の戦略もありだと思いますが、多くの既存中堅アパレルの場合そもそも(リアル店舗においては)SCに大量のテナント賃料 + 販売手数料を支払っており、
    更に(ECにおいては)ZOZOTOWNに~35%程度の販売手数料を支払っています。
    言い換えれば独自に集客するノウハウを持たず、プラットフォーム依存のビジネスを展開しています。

    そのため、(ZOZOTOWNに出店しているのであれば)ZOZOTOWNよりも販売手数料が低く、かつ固定費の発生しないECモールには出店しない理由がありません。
    そのため、シティヒルに限らず多くのアパレル企業がEC店舗を限界まで増やしております。
    加えて、それぞれのECモールがそれぞれでユーザーを抱えているため、データを横流しするのみで出店する価値はそれなりにあり(リスクゼロ)、これが昨今のECモールの均質化(どこみても同じものが売っている)の要因です。

    その他ECモールへの大量出店は、例えるならマイナーミュージシャンでもiTunes以外に20~30程度の配信プラットフォームと契約する状況と似ています。
    仮にd music、レコチョク等を経由しての売上がそれほど大きくなかったとしても、固定費無し&手間なしであればやらない理由はないはずであり、現実にそうなっています。
    (経済条件が同等もしくは有利なら、iTunes以外で売れてはならない理由はないはずです)

    ※プラットフォームに依存しないビジネスへの転換云々~自社EC比率の向上云々~については否定しません。ZOZOTOWNに出店する戦略を採用するのであれば、その他ECモールにも出店するのは必然であり、それが10店舗であれ1000店舗であれ数そのものは問題にはならないということです。

    ④壊滅的に売れていなかったEC店を廃止する理由がない

    上述の通り、仮にマルイweb channel等の売上が月商100万円だろうと月商10万円だろうと、売れた分にのみ販売手数料がチャージされる仕組みなので、損益分岐点や採算を検討する必要がなく、一度出店したら退店する理由はありません。
    ※自社EC重視への戦略転換の為の退店はありえますが、壊滅的かどうかは関係ないです。
    ※固定費は全くゼロではないですが、あっても数千円~数万であり無視できるレベルです。低レベルのブランドでも固定費の回収難しいとかはあまり聞きません。

    リアル店舗の場合には人件費・家賃に代表される固定費があるので採算について入念な検討が必要であり、
    10→1000と店舗数が増加すれば比例して費用も増加しますし、店舗ビジネスの採算が合わなくなった場合のインパクトも100倍かと思います。
    ECの場合は単にシステムでデータを横流しするだけで出店と維持が可能なので、10→1000となっても発生するコストはせいぜい1.2倍とかそんなものです。何かが起きてEC全体の売上が半分になっても、退店する選択はほぼないです。

    ※ブランド全体としてビジネスが壊滅的だった場合にでさえ(であるならばなおさら)、大量出店は全然あり得る選択だと思います。

    以上となります。

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