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南充浩 オフィシャルブログ

2020年秋冬はウールのセーターと防寒アウターの展開が激減する?

2020年1月24日 お買い得品 1

ここ20年くらいは毎年暖冬だと言われているが、2019年秋から2020年1月は史上まれに見る暖冬だといえる。

例えば、2019年1月はもっと寒い日があった。

正月明けに某アパレルの倉庫を見に行ったのだが、そのときは北風がビュービュー吹いていて、ジーユーで買った分厚いカナダグースもどきのダウンジャケットを着ていてちょうどよかった。

しかし、昨年12月から今年の1月現在まで、分厚いダウンジャケットを着た日はほとんどない。

だいたいが薄いインナーダウンか、中綿なしのアウターである。

セーターが大好きなので毎年冬はウールのセーターを着るのだが、ウールのセーターを着た日も少ない。

正確にいうと、真冬はウールのセーターの上からダウンジャケットを着用するが、今冬はその両方を着用したことがない。どちらか一方だけである。

アウターにダウンを着たら、インナーは綿セーターか綿シャツ、アウターに中綿なしを着たら、インナーにウールのセーター、という具合で、どちらか一方だけで十分で、それでも長時間歩けば汗ばむ。

 

こういう気候を受けて、防寒アウターとウールのセーター・カーディガンが大苦戦だと言われている。

かなり安売りされているから買っても良いのだが、買っても着られないとなると保管に困るし、何よりも数千円でもカネの無駄になる。

絵や彫刻じゃないんだから、服を飾って楽しむようなド変態はそんなにいない。

 

で、先日、無印良品の下方修正について書いたが、日経新聞は記事の中で在庫の積み上がりを指摘し、

 

在庫解消のための値引き販売が利益を圧迫し、下方修正につながった。今期だけでは解消しきれず、その影響は来期にも残りそうだ。

 

とあった。

 

ちょうどその日に無印良品に行ってみたら、ウールのセーターを中心として冬物衣料が投げ売りされていた。まさに記事通りに在庫の処分販売が行われていた。

 

先週の土曜日に母方の祖母の一周忌の法事に参列したら、おさがり品の中に1万円分の百貨店商品券があった。ファッションビルやショッピングセンターでは使えないが、百貨店が運営しているファッションビルなら使えることがある。たまたま、上本町を通る用事があったので、上本町のYUFURAに行ってみた。ここは近鉄百貨店系列なので百貨店商品券が使える。

百貨店本体で何か買おうとはまったく思わなかった。なぜなら、百貨店では1万円で買える物はたかが知れているし、百貨店には当方の好むような商品は洋服に限らず置いていないからである。

 

で、YUFURAの無印良品に行ってみたところ、ファインゲージのウール100%セーターが990円で投げ売られていた。軽量ダウンジャケットはメンズ・レディースともに3990円に値下がりしており、その他、綿ネルシャツも品番によっては990円に値下がりしている。

無印良品がすごいのはこの値段でなおかつ税込みであるという点である。

 

で、いろいろと物色した結果、ファインゲージのウールセーター2枚と軽量ダウンベスト1枚、厚手綿ネルスタンドカラーシャツ1枚を買った。

・ファインゲージウールセーターが各990円

 

 

・軽量ダウンベストが2900円

 

 

 

・厚手綿ネルスタンドカラーシャツが990円

 

 

合計5960円(税込み)で、商品券6枚を支払ってもまだ40円のおつりが戻ってきた。

凄まじいコスパである。

ちなみに、ファインゲージウールセーターの定価は2990円、軽量ダウンベストの定価は3990円、厚手綿ネルスタンドカラーシャツの定価は2990円である。

軽量ダウンベストは恐らく原価がそれなりに高いのだろう。定価より1000円引きで踏みとどまっていたが、セーターとシャツは2000円引きの990円である。もう在庫処分したくて仕方がないのだろうと推察される。

 

後日、ユニクロも訪れてみた。やはりウールのセーター類は在庫がだぶついているらしく、軒並み値下がりしている。ファインゲージメリノウールセーターは、赤や深緑みたいなアクセントカラーは1290円に、黒・紺・グレーなどのベーシックは1990円に値下がりしている。

ユニクロの定番ともいえるフルジップのフリースジャケットも、赤、マスタード、深緑の3色だけは990円に値下がりしている。

 

ユニクロは最近、同じ品番でも不振な色柄は一段安く投げ売る手法を取り入れている。

ウルトラライトダウンも軒並み1000円値引きされているから、こちらも予想以上の不振なのではないかと推測される。

 

 

そんな中、某カジュアルブランドの展示会にお邪魔したところ、

 

2020秋冬から防寒厚手アウターだけではなく、ウールのセーターの生産数量も見直すことになりそうです。

 

という話が出ていた。

メディアでは防寒アウターの不振ばかりが報道されるが、実はウールのセーター・カーディガン類も相当に不振で、それは無印良品の投げ売りぶりに現れている。

また、当方の知人のアウトレット店舗のマネージャーも、「メンズのセーター・カーディガン類は大苦戦」と話しており、アウトレットですら売れ行きが鈍いのが現状である。

 

理由は、異常な暖冬である。

長期予報によると2月も最高気温10度は下回らないので引き続き暖冬だといえ、2月に寒波が来なければ冬物衣料は全滅で、投げ売りしても在庫処分は不可能になる。

 

いくら、カッコよかろうが、色柄が綺麗だろうが、値段が安かろうが、気温的に着用できない物はだれも買わない。東南アジアみたいに建物の中は冬でも常にキンキンに冷房が効いていれば別だが、日本にはそういう習慣がない。

さらにいえば、羽毛、ウール、カシミヤの原材料は高騰し続けており、某カジュアルメーカーも

「売れ行きが鈍くて値下げせざるを得ないが、原材料費を考えると大幅な値引きもしづらい。必然的に『作らない』という選択が浮かび上がる」

と話している。

 

原材料費の高騰の反面、気温要因で売れ行きが鈍り値下げ処分せざるを得ないとなると、作らない方が賢明なのかもしれない。

今冬の異常な暖冬が来年以降も続くのかどうかはわからないが、40~20年前のような寒い冬に戻るということはちょっと考えにくい。2020秋冬の各ブランドの商品はだいぶと様変わりするのではないかと思うが、それが吉と出るか凶と出るか・・・。

 

 

半額に値下がりしたゴールデンベアーのキルトジャケットをどうぞ~

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 comment
  • ☆☆☆ より: 2020/01/24(金) 6:17 PM

    同じような文言は当社の取引先担当者からも聞いています。ニットや厚手のジャケットが店頭から在庫から消えていくと、品・客単価の低下から、来期の秋冬物のさらなる売上低迷が容易に想像できる…。次秋冬の展示会の出店アイテム数も相当減少するようだ。それより心配なのは、担当者から聞くところによると、次秋冬展への発注自体見合わせているセレクトの取引先が多数出て来ているとの事。この冬で急きょ閉店を決めたから夏物はキャンセルしたいとか、この夏で廃業をするからとか。メーカーにしてみれば弱り目に祟り目だが、アパレルにしろ、小売りにしろ今は相当大変な局面を迎えているのはないでしょうか。

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