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南充浩 オフィシャルブログ

物販においてSNSのフォロワー数を増やすことは「手段」であって「目的」ではない

2020年1月27日 SNSについて 1

インターネットが普及した現在において、メーカーやブランドのマーケティングツールとしてはインターネット、とくにSNSの活用が不可欠となっている。

そんなわけで、当方も最近はWEBマーケティングの案件で相談を受けたり、商談に同席するようになっている。

 

インターネット通販の売上高拡大に比重を置く企業は、SNSを拡散のツールとして活用したいと考えている。

 

SNSの施策について聞いていると、フォロワーを増やしたいと多くの企業が考えている。

しかし、よくよく聞いてみると、単にフォロワーを増やしたいだけという場合がほとんどで、それでははっきりと言えば、あまりネット通販の売上高は伸びない。

 

通常の店舗だと、入店客数が増えれば購買客数も比例して増えやすい。

そのため、多くの店は、入店客数を増やす施策を販促として行う。SNSについての施策もそれと同じように考えている節がある。

例えば

「とりあえずフォロワーを5000人に増やしたい」

とか

「とりあえずフォロワーを多くしたい(増えれば増えるほどいい)」

とか

そういう企業が多い。

 

たしかに入店客数のことを考えればフォロワーが多いにこしたことはない。だが、入店客数でもそうだが、「興味のない人」をいくら集めてきたところで、売上高は増えにくい。

実店舗でもこんなことはないだろうか。

 

やたらと入店客数が多いのに、売上高は普段より少ししか増えていない。

とか

入店客数は多いのに、レジはほとんど動いていない。

とか

これは、「興味のない人」や「店のターゲットではない人」が多数入店してしまっているためである。

もちろん、そういう人達に入店してもらうことは完全なる無意味ではない。興味のない人が興味を持ってくれるかもしれないし、ターゲットではない人も買ってくれるかもしれない。

しかし、それは今後の布石にはなり得る可能性があるとしても、売上高は思ったようには伸びない。

 

そして、これはSNSのフォロワーについてはもっと言えることで、実店舗よりも顕著になる。

例えば、ツイッターでもフォロワーが何万人とか何十万人とかいる人がいる。だが、その中にはやたらとリツイートやリプライ、いいねが少ない人がいる。

こういう人は、フォロワーを買っているのか、それとも興味のない人やターゲットではない人がフォロワーとして集まっているか、そのどちらかである。もしくはその両方か。

インスタグラムも同様だ。

 

そうなると、ネット通販の売上高は思うようには伸びない。逆に「フォロワー数はやたら多いのに、さっぱり売れない」という状況になる。

WEB業界ではこういう状態を「エンゲージメントが低い」という。

 

当然、企業側もある程度は理解しているのだと思うが、ことインターネットということになると、不慣れな人が多い。知る限りにおいては老舗の素材・衣料品メーカーや問屋は上から下までほとんどが不慣れだと感じる。それゆえに上手く活用すれば売上高が伸びる可能性や、ブランディングが確立できる可能性を秘めているが、なかなか上手く活用できていない。

また、WEB業者も玉石混交でピンキリなので、「だまし」に近い業者も珍しくない。企業側も不慣れなゆえに「だまし」に近い業者を選びがちだし、業者側との相性の良し悪しもあって、ミスマッチも起きやすい。

 

で、不慣れな人間にも一番わかりやすい指標となりやすいものの一つが「フォロワー数の増減」である。

お分かりだろうか?

 

どんな発信をして、どの部分で訪問者数が増えたとか、どの語句で訪問者数が増えたとか、どこのリンクから飛んできて売上高が増えたとか、そういうことを精査分析しないと、インターネットの発信の効果は見えにくい。

ド素人でもわかりやすいのが

1、ネット通販売上高の増減

2、フォロワー数の増減

だと思う。

 

目下のところ、昭和時代からの老舗メーカー、老舗ブランドのネット通販売上高はそんなに多くないから、売上高の増減という指標では判断できない。1年後とか2年後に増えていれば正解か不正解かがわかる。

 

となると、彼らが気にする指標は「フォロワー数の増加」になる。

しかし、例えば、「〇〇万円を〇〇人に配ります」という告知を出せば、フォロワー数は飛躍的に伸びる。興味はないけど金だけは欲しい人が殺到するからである。

個人や企業、ブランドの知名度を単に高めるだけでよければそういう施策もありだろう。まあ、個人的にはアホらしい施策としか思わないが。

 

だが、メーカーやブランドがフォロワー数を増やしたい理由はそうではない。ネット通販の売上高を増やしたいからやりたくもないブログやSNSを一丸となって渋々やっているのだから、売上高につながらないようなフォロワーをいくら増やしたところでほとんど意味がない。

だから、SNSを使ったWEB施策の指標は、本来は将来的なネット通販売上高の増加に置くべきである。

ところが、1年くらい前から商談に同席した企業のWEB施策は、企業姿勢や担当者側の印象からいえば、「フォロワー数の増加」を指標にしてしまいそうな危険性を感じることが多い。そんな匂いが漂っている。

 

フォロワー数の増加はあくまでも売上高を伸ばすための手段であって目的ではない。くれぐれも手段と目標を間違えないことを切に願う。

 

 

むやみやたらとフォロワー数だけを増やすことが目的ではないとこの本にも書かれている

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2020/01/27(月) 11:53 AM

    しかし、世の中の経営者さん達は、なんでインチキ業者とかコンサルタントにコロッと騙されちゃうんですかね?自分で考えもせず丸投げして結果出ずに大損、ってなこと2回もやれば普通は気が付くでしょうに。大企業に勤めてる人とか、それなりに頭良いだろうに不思議です。つい先日も、アオキのオーダースーツが一年足らずで終了と報道されてましたが、計算もせずに始めちゃったんすかね?うちのバカ社長が信奉してる某コンサルタントの爺さんは「まずやってみてから考えろ」とか言ってますけど、うちの会社は今季も業績悪くて赤字決算になりそうですw

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