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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販の商品説明文は詳細に書き込むと効果的

2013年5月8日 未分類 0

 今春もなんかかんやと新規オープンがにぎやかな大阪市内だが、先日、梅田OPAの内覧会に参加した。
地下1階と2階しかない小さなOPAで、地上1階から3階までがH&M、同様に地上1階・2階がABCマートという不思議な構造の建物だった。
ちなみにビル全体はABCマートの所有だという。

梅田OPAのオープニングに際して「密買大阪by密買東京」という3日間の限定ショップが出店されていた。
ここを取材して非常に勉強になった。

ここはインターネット通販「密買東京」のリアル店舗版だという。
というのも筆者は取材をするまでこのサイトの存在を知らなかったからだ。お恥ずかしい限りである。

取材をしてみて初めて知ったのだが、なかなか興味深いサイトの作りとなっている。
http://www.mitsubai.com/tokyo/index.html

文具・雑貨・コレクションブランドの服・家具・住宅まで販売している。
価格は数十円~数千万円までと驚くほど幅広い。

サイトは見やすくきれいなデザインで作られているが、商品をカテゴライズして並べておらず、文具の横に服があって、その隣は家具みたいな並べ方になっている。

通常、世間で信じられている通販サイトの作り方とはまったく異なる。
さらに商品は「完売」した後も「SOLD OUT」の表示がありながらも掲載され続ける。
これによってサイト全体がアーカイブの役割も果たす。

何よりももっとも特徴的なのが商品紹介の文章の長さである。
記事として書き込まれており、よく巷間にあるような「サイズ、素材、商品名、品番、価格のみ」というのとは大きくちがう。

筆者はかつて2004年ごろ、地元の商工会議所主催の独立開業セミナーを聴講したことがある。
インターネットが普及してブログがトレンドになる直前ごろだったと記憶している。
その時の講師は、インターネットで冷凍パンを販売する会社の創業者だった。
現在、ググってみるとその会社の経営者は交代しておられるようなのだが。

彼女がいうには「インターネットで販売しようと思ったら、とにかくその商品について文章を書き込んでください」とのことだった。
そして「商品写真、値段、成分材料のみでは買う気になっていたお客も購入しないし、たまたま訪れたお客はなおさら購入しない。試食も試着もできないからその分、情報を出来るだけたくさん提示するようにしてください」ともおっしゃっていた。

筆者はあまりインターネット通販を利用しないが、それでも興味のある商品を調べている際には、出来るだけ情報を集めたいと思う。どこかのサイトのように「商品写真、サイズ、素材、商品名・品番、価格のみ」の表示で興味を持ってくれる消費者はほとんど存在しないだろう。
それはブランドがかなり有名である必要がある。

「商品写真、サイズ、素材、商品名・品番、価格のみ」の表示しかしていないサイトはよほど自社のブランドが有名だと認識しているのだろう。多くの場合は勘違いにすぎないのだが。

閑話休題

「密買東京」で詳細な商品説明文を読んでいて、そのセミナーを思い出した。
全商品の説明文が恐ろしく長くて詳細なのでぜひご一読いただきたい。

さて試しに2つばかり通販サイトの説明文を貼り付けてみる。
この両方を読んで興味を持たれる方がいらっしゃるだろうか?おそらくそういう方はかなりの少数派だと思う。
省略したが、ここにあと商品写真が添付されているのでそこの部分は脳内で補完していただきたい。

キャプチャ

(某レディースカジュアルブランドの商品説明文)

BlogPaint
キャプチャ2

(某ジーンズブランドの商品説明文)

とくにジーンズブランドの方を見ていただきたいが、「TRINITY BLUE」って何よ?と疑問に思われた方はおられないだろうか?
筆者は疑問である。これは単に色の名称なのか、それとも何か特殊な素材なのか、この書き方ではまったく消費者には伝わらない。

成分表示に「PTFEフィルム」とあり、ほかにも「3層」という記述があることから、おそらくは3層構造になった生地の名称なのだと推測するが、正解はわからない。
こういう書き方だと売れる物も売れない。

インターネット通販は、リアル店舗を立ち上げるより初期投資が少なくて済む。
そのため、製造業者や卸売りメーカーなど、これまで小売流通を体験したことのない企業が試しに開始する場合が多い。そういう企業に限ってなぜか「カッコヨサ」を追求し、バブル華やかなりし頃のようなコピーライトを好む傾向が強い。

しかし、カッコイイ写真と3行ほどのコピーライトでは知名度のない商品は売れない。現在のご時世だと知名度のある商品だって売ることは難しいだろう。

ヤングレディースブランドのようにスタイリング写真を豊富に見せて購買意欲を煽る手法はある。しかし、製造業者や卸売りメーカーにそういうページをディレクションするノウハウはないし、仮にあったとしても消費者が製造業者の直販サイトにそういうものを求めているとは到底思えない。

それよりもその商品の製造方法とか製造過程とか、材料にまつわる逸話などを求めているのではないか。

もし製造業者や卸売りメーカーで通販サイトを立ち上げようと考えておられるなら「密買東京」の記事の書き込み具合を参考にされることをお薦めする。

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