ジーンズブームはもう起きない
2019年9月12日 未分類 0
今年はお盆が過ぎたころ、猛暑が和らいだと思ったら、また8月末から台風との相乗効果で猛暑となっている。
この猛暑もそろそろおさまるらしいが、この夏に重宝したズボンといえば、短パンと合繊スラックスだった。
いくら自由業だとは言っても、50歳手前のジジイなので、堅い職業の人に会うときやちょっと真面目な会議のときは、さすがに短パンは穿かなかった。
短パンは簡単な打ち合わせとか極めて近しい人に会うときに限定していた。
合繊のスラックスは極めて快適で、一度着用すると快適性ゆえにどんどんと着用頻度が増える。
しかもウエストにゴムが入っているイージータイプのスラックスの快適さは最高である。
思い返してみると、合繊スラックスを穿き始めたのは2016年のことである。
先日、某ウェブメディアからジーンズ記事の依頼があった。
最近、いくつかジーンズの記事をウェブで見かけたが、ジーンズが何か注目されているのだろうか。
個人的にはジーンズが2008年頃までのように復活を遂げるとはまったく思っていない。
レディースはもとよりボトムスの選択肢が多彩である。
スカートだけで幾通りもの種類がある。加えてズボンだって幾通りもの選択肢がある。ジーンズは完全にその一種類ということになっている。
メンズは長らくジーンズ需要を支えてきた。
何せメンズのカジュアルパンツは、15年くらい前まではジーンズかチノパン、ミリタリーパンツくらいしか選択肢がなかった。
そりゃスラックスタイプも売ってはいたが、少量だったし、カジュアルでスラックスを穿きこなせるのは、達人クラスの少数派だった。
メンズはレディースに比べて、ブームになりにくい。またレディースほど服を頻繁に買わないので、市場規模も小さい。
しかし、小さいながらも市場での占有率が高ければ、底堅い一定の売上高は見込める。
ジーンズというのはそういう側面があった。
だが、その底が抜けたように感じられる。
メンズのボトムスには少数の例外を除けば、スカートという選択肢はなく、ズボンしかない。
そのズボンの選択肢が2015年以降急速に広がってきた。
当方が2016年に買った合繊スラックスはその一例である。このほか、2015年にはユニクロでジョガーパンツを買っている。はっきり言ってしまえば、普通の布帛ストレッチ素材のスラックスなのだが、裾にゴムが入っていて、キュっと締まるようになっている。
2017年からはいくら値下がりしてもジョガーパンツを買わなくなったが、それでも自宅にはユニクロのジョガーパンツが6本ある。6本ともデニム生地ではない。
そして、若者に人気なのはスエットパンツである。
グレーのスエットパンツは当初、どう見ても「朝起きて寝間着のままで外出してきたの?」という風にしか見えなかったが、スエットパンツもシルエットやデザイン、ディテールが変化してきて、最近では寝間着には見えない商品も増えた。
ジジイたる当方も2013年か2014年ごろから買ってみているが、ジジイが穿くとどうしても寝間着にしか見えない。だから結局は寝間着にしている。(笑)
最近、着用率が高いのが脇に白いラインが入った細いスエットパンツで、アディダスなんかがさかんに販売している。
ジジイもついつい、ジーユーで5月ごろに白いライン入りのグレーのスエットパンツを買った。990円に値下がりしていたからだ。
前ボタンは無くてそのまま穿く形状だが、優秀なことに前にファスナーは付けられている。こんなめんどくさい縫製仕様の商品が990円に値下げされるのだからジーユー恐るべしである。
で、この猛暑で重宝したのが合繊スラックスである。
サラサラしていて汗をかいてもほとんど肌には貼りつかない。梅雨時期から10月中頃にかけては雨が降ることも多いが、雨に濡れてもすぐに乾く。シワにもなりにくい。
はっきり言えば、ジーンズを穿いているよりよほど快適である。
おまけに着用していたら、ジーンズよりはキチンとして見える。
色・柄をコーディネイトするめんどくささを除けばメリットしかない。
逆に言えば、ジーンズのメリットはコーディネイトしやすさにしかないといえる。
ジーンズというのはコーディネイトに関しては便利な点があって、だいたいどんなトップスにでも合う。
もちろん、シルエットや丈の長さには気を付ける必要があるが、それさえ気を付ければ、どんなトップスに合わせてもそれなりに見える。
あ、あと、もう二点メリットがあった。
洗いざらしでシワくちゃのままでもおかしく見えないという点である。破れたり擦り切れたりしてもおかしく見えないという点もある。
しかし、着用時の快適性からいえば、スエットパンツや合繊スラックスにジーンズは遠く及ばない。とくに大量の汗をかく夏場にジーンズを着用するのはつらい。まあ、この点に関してはスエットパンツも同様で、夏場は合繊スラックス一択である。
とくにジジイになった当方は、楽で便利な物しか着用しない。
人間は一度快適で便利な物を覚えるとそれがやめられない。
多くの人は今更スマホを手放せないだろうし、電子レンジのない生活は送れないだろう。もっといえばパソコンや冷房のない生活も無理だろう。
となると、従来のままのアプローチではジーンズ需要は絶対に復活しない。もっとも、需要やファンはゼロではないから、5億~20億円くらいの売上高なら各ジーンズブランドはコンスタントに稼げる。それが理解できているならジーンズというアイテムを主体に売っていても事業は成り立つ。
問題なのは、まあ、そんな化石みたいな人はほとんどいなくなっていると思うが、2000年頃までの幻想がこびりついていてジーンズを主体にしても100億円とか200億円の売上高を容易に達成できると思っている人である。
いずれにせよ、2000年とか2005年頃までのジーンズブームはもう起きないだろうし、ジーンズ需要がその頃くらいまで復活する見込みもない。
ジーンズを主体とするブランドは、従来通りに運営してこじんまりとまとまるか、カジュアルボトムスの一つとして今の生活シーンに沿った商材や着こなしを提案するか、のどちらかしか道は残されていないといえる。
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