ダボダボとピタピタのあいだ
2019年9月11日 トレンド 0
今、マス層はルーズフィットがメンズもレディースも主流である。
2015年ごろから先端層ではルーズフィットが言われ始めたが、マス層に広がったのは2017年頃だったと記憶している。
今ではユニクロのトップスまでもがルーズシルエットになっているから完全にマス化したといえる。
ルーズシルエットになって良かったことは、ジーユーの投げ売り品を当方も買えるようになったということである。
2016年頃は、まだジーユーはタイトシルエットが主流で、当方はMサイズだとピチピチになり、Lサイズを買わねばならかったが、Lだと当方の短い腕では袖が長すぎた。
袖が長い服を当方は嫌いで、ハサミで切ってしまいたいほどイライラする。
だからジーユーの投げ売り品は今まで買えなかった。
今、ジーユーもルーズシルエットなので当方はMサイズを着用できるようになった。
当方の所有する衣料品でジーユーが増えたのはそういう理由がある。
トップスがルーズシルエットの場合、パンツは細身の方がバランスがとりやすい。
これをYラインとかVラインと呼ぶ。
トップス・パンツともに細身なのがIライン
トップスがタイトでパンツがワイドなのがAライン
と呼ばれ、この3つのラインが着こなしの基本だと言われている。
この3つのラインに顔の輪郭や体格・体型などが組み合わさって、似合う似合わないが決まる。
マス層のトレンドでいえば、現在はAラインかYラインの2つだということになり、Iラインは少数派ということになる。
しかし、都心繁華街で見ていると、Iラインの若い男性が少なからず闊歩している。
上下ともにピチピチ・ピタピタな男たちである。
どのような人たちかと観察していると、だいたいは
・ヤンキー系
・キャッチ系・スカウト系
・地方のマイルドヤンキー系
というような人が多い。
面白い物で、昔のヤンキーや不良はダボダボの服を着ていることが多かったが、いつの間にかピチピチピタピタになっている。その代わりに一般人がダボダボになっている。
ピチピチのTシャツにスキニージーンズといういで立ちである。
先日も書いたが、郊外のアウトレットモールには今でも、ピチピチTシャツを買い求めに来る男性客が結構多いらしい。
トップセラーのメンバーである金田拓巳 さんは現在、5店舗くらいのアウトレットモール内のテナントショップをマネジメントしている。
某有名セレクトショップのアウトレット店のマネジメント担当である。
で、その某有名セレクトショップのアウトレット店には、相当な割合で、ピチピチTシャツなカジュアルTシャツを買い求めに来る男性客がいるのだそうだ。
この人たちは恐らくは、地方のマイルドヤンキー系の客だと想像される。
彼らはボディビルダーでもラガーマンでもないだろう。
この辺りの客数や市場規模の統計はないのでまったくわからないのだが、こういう客層が多い店はピチピチなトップスをもっと強化してみてはどうだろうか。
意外にバカにできない売上高になるのでははないかと思う。
アウトレットモールは言うに及ばず、ロードサイドのカジュアル店やロードサイドのジーンズチェーン店あたりはこの辺の客層に向けた品ぞろえを強化してみてはどうだろうか。
特にマックハウスなんて地方のロードサイド店が多いんだから、下手にトレンドを追うよりも地方のマイルドヤンキー客への対応を強化した方が売上高が増えるのではないかと思う。
しまむらもマックハウスと同様だし、ドン・キホーテは都心店でもヤンキー系客が多いから、Iライン服の強化でもよいのではないかと思う。
何千億円という売り上げ規模を追わず、こじんまりとまとまるなら、洋服のビジネスはまだまだ切り取れる余地が残っているといえる。
2015年くらいまではピチピチ全盛だったが、その時には当然ユニクロも幾分かタイトシルエット化した。そうするとオッサン層からは「ピチピチすぎる」と文句が出ていた。
とはいえ、ユニクロの売上高はまるで減らず逆に増えたのだから、その手の要望を考慮する必要はまったくなかったのだが、どんなにトレンドがマス化しても逆の嗜好を持った人は必ず存在する。そこに向けてスモールビジネス、ニッチビジネスを仕掛けるのも一つの戦略である。
高度経済成長期やバブル期のようにトレンドに乗っかっていれば何でも売れる時代ではない。
活況なジャンルがあったとしても全ブランドが売れるわけでもない。必ず優勝劣敗が生じる。
例えば、リーバイ・ストラウス・ジャパンの決算が回復しているが、じゃあジーンズなら何でも売れるのかというとそうではなく、2005年のプレミアムジーンズブームを代表するブランド「AG」はジャパン社を解散し日本から撤退する。
低価格ブランドが売れやすいと言ったってフォーエバー21は全世界で苦戦傾向にある。アパレルビジネスなんてそんな物である。
現在、屋号やブランド名に関係なく行列ができているのはタピオカドリンク店くらいではないか。そのタピオカドリンクも供給過剰だからそろそろ優勝劣敗が生じて退場する店も出てくるだろう。
自社が狙う売り上げ規模とそれが実現できる客層・客数を冷静に見つめ直してみてはどうか。
全ての客が「マストレンド」品を欲しいと思っているわけではない。
読んだことないけどこんな本をどうぞ~