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南充浩 オフィシャルブログ

限定を解除してしまうと・・・・・・

2013年3月13日 未分類 0

 一般論として限定品は良く売れる。
で、売れるからといって、これを限定解除してしまうと売れ行きが鈍ることが多い。
視聴率の高い深夜番組をゴールデンタイムに移動させると視聴率が低下することと似ているように感じる。

以前、ベティスミスの大島康弘社長から
「新幹線の車内販売で限定のデニムバッグを販売しており、好調に推移しているが、これの限定解除することを思いとどまって良かったと感じている」と伺ったことがある。

新幹線で良く売れるなら、広く一般店に卸売りすればどれほど売上高が増えるだろう、との誘惑に駆られるのは経営者なら当然である。
そのときに、「限定品だから売れているのであり、それを広く卸売れば逆に値打ちがなくなる」とアドバイスされて、それに従ったという。

改めて書くと「当たり前のこと」と感じるが、同じようなミスを小売店側が犯している場合も多い。
その一つに営業時間の延長や年中無休化、24時間営業化などが挙げられるだろう。

営業時間を長くして休日を減らせば、その分売上高は増えると考えがちだが、実際はそうでない場合が多い。

某ジーンズカジュアルショップがその昔、24時間営業店を増やしたことがあるが、売上高は増えたどころか、いまだに毎年減収減益を繰り返している。24時間営業は何の役にも立たなかった。
深夜や早朝に服を買いたい人などそんなに存在していないからだ。肌着や靴下の換えが必要な場合は、コンビニで十分事足りる。

Eオンの営業時間拡大もそうだろう。
朝9時から夜10時までとなっている場合があるが、これもそう効果があるとは考えにくい。
朝9時から食料品や日用品を買いたいという主婦はいるかもしれないが、衣料品をこの時間から買いたいと考える人はそれほど多くないだろう。肌着や靴下ならそういう需要もあるかもしれないが、とくにテナント入店しているファッション専門店への需要は限りなくゼロに近い。
夜10時に食料品が買いたい人もそういないだろう。どうしても必要ならコンビニで済ますのではないか。

おそらく、コンビニの売り上げを奪おうという魂胆が動機の何割かを占めていると思うが、彼らのもくろみどおりに売上高が増えているとは耳にしたことがない。

以前から何度か大型商業施設の正月営業が常態化することで、年末商戦が廃れて行ったと書いているが、まさにこれも同じことだろう。

その昔は小売店といえども正月三が日は休むことが多かった。
中には1月2日だけ初売りを行って、次の日は休む店もあった。

そのため、食料品でも衣料品でも年末に買いだめするというのが日本的な伝統スタイルだった。
コンビニが増え始めたころから正月でも買い物ができるようになった。
現在だと元旦から三が日は良く売れるということが定説になっているが、それはクリスマス以降の年末の売上高が移動しただけに過ぎないのではないか。

販促コンサルタントの藤村正宏さんのブログでこんな記事が紹介されている。
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11487695623.html

九州のある地方にある食品スーパーの話。

そのスーパーは、地元のお客さまにも愛され、評価もよく、大儲けはしていなかったけど、利益もでていた。
お正月三が日はお休みだったけど、年末はものすごく売れた。

そんなある時、そのスーパーの親会社である某百貨店が業績不振のため、優良なこのスーパーを売却するのです。
買収したのは、全国展開している有名なS。
東京にある誰もが知っている企業です。

それからの顛末が書いてあるのですが、空恐ろしい事態になっていく。
こういうふうに、企業は衰退していくというのが、生々しく綴られています。

なんでも本部の意向を押し付けるような企業のやり方は、もう今の時代に合っていないのです。
まったくの時代遅れ。

地方の良さやその地方のやり方を理解しないで、なんでも一律の管理をしようとする。
効率を求めていいことと、効率を求めてはいけないことがあるのです。

結局、このスーパーは売上も失ったけど、商売で一番大切な地元の信頼を失った。

その中で引用されているのがこのつぶやきをまとめたものである。
http://togetter.com/li/468077

地元スーパーが疲弊していくさまが生々しく語られている。

地元スーパーを買収した全国チェーン量販店はSとされているが、グローバル小売りのW(ォルマート)に買収されたとあるのでおそらくKYを推し進めるS友のことだろう。ニシトモさん御苦労さまです。
となると、この九州の地元スーパーは太陽マークが印象深いSニーだろうか。

Sニーは、もしかしたら通年の売上高は増えたのかもしれないが、恐ろしく減益したのなら意味はない。
それは単に従業員を無駄働きさせているだけである。増収減益より減収増益の方がずっと良い。

むやみやたらな営業時間の延長・年中無休化・24時間営業化は、限定品が限定を解除されて売れ行き不振に陥ることと同じではないかと感じられてならない。

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