激安セールの客は固定客にならない
2013年3月14日 未分類 0
新規顧客を集めるために激安料金にしたり、無料にしたりという手段があるが、これは固定客づくりにほとんど役立たない場合が多い。
携帯電話が最たる例だろう。
他社からの新規乗り換えは機種代・手数料タダになる場合が多い。
これで他社の利用客を奪うのだが、ツワモノになると、2年おきくらいに携帯キャリアを変える。
メールアドレスは変わるものの、番号は変わらないのでビジネス使用の多い人でもあまりデメリットがない。
ドコモ→AU→ソフトバンク→ドコモ・・・・・・・(以下、無限リフレイン)
と言う具合にキャリアをころころと変える。
その方が機種代がタダで最新機種がもらえるのだから非常にお得だ。
激安イタリアンとして有名なサイゼリアの正垣泰彦会長も
「激安セールで集めた客は常連にならない」と喝破しておられる。
激安セールで集めた客は常連にならない
激安セールをすれば、驚くほど人が集まる。だが、再来店する人はいない――。
イタリアンレストランチェーン大手のサイゼリヤ創業者、正垣泰彦会長が、
経営者やマネジャー、現場リーダーが抱きがちな悩みに答える本連載。
今回のテーマは「激安セールの功罪」だ。正垣会長は経験上、極端な値下げ
には逆効果の恐れもある、と指摘する。
これは衣料品業界でも同じだ。
夏冬のセールでしか買わない客は、セール以外の時期に定価で買うことはほとんどない。
ユニクロだって週末値下げ以外、平時に定価で買うのはよほどの緊急事態が発生した場合だろう。
例えば、出張先で急に気温が冷え込んできたから、セーターを1枚買うとか、作業していてズボンが破れたから買うとか、そういう使い方だろう。
クロスカンパニーの「アースミュージック&エコロジー」だってタイムセール客は平時に定価で買うことは少ない。
GAPは一定期間が過ぎれば自動的に値下がりするのだから、定価で買う必要はなく、それを待っていれば良い。大量生産なので定価時で売り切れることはめったにない。
昔と言っても、ほんの3~4年ほど前なのだが、ショップオープン時にリーバイスのジーンズを無料配布したチェーン店があった。これなどは無駄遣いの最たる例だろう。
押しかけた客は無料のリーバイスが欲しかっただけであり、この店のファンでもなんでもなかった。
無料でリーバイスを手に入れた後は、二度とこの店に戻ってくることはない。
案の定、この店は人通りの多い一等地にあったにもかかわらず、2年ほどで閉店に追い込まれている。
少しくらいの値引きや極微量の試供品配布ならまだしも、激安セールや製品の無料配布などは百害あって一利なしである。
こういう事例があるにもかかわらず、アパレル業界・流通業界にはいまだに「ユニクロが1900円だからうちはさらに安くしないと売れない。ジーユーと同じくらいまで価格を引き下げなくてはならない」と信じ込んでいる経営陣も多い。
製造・販売におけるコスト引き下げを追求することは熱心に考えるが、どうやったら定価で売れるかということはほとんど考えようとしない。
その結果、製造業社・下請け業者を圧迫し、不当返品や不当値引き要請などの法令違反が横行している。
「服はいつでも格安で買える」。消費者をそのように教育してしまったのは、ユニクロでもファストファッションブランドでもなく、一時の勢いに幻惑されて、安易に追随してしまった衣料品業界全体である。