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南充浩 オフィシャルブログ

違和感があるなら上場廃止にしたら?

2013年3月15日 未分類 0

 苦戦が続くJR大阪三越伊勢丹だが、ようやく再建案がまとまったようだ。

JR大阪三越伊勢丹/2015年春に改装、専門店街を導入
http://ryutsuu.biz/store/f031401.html

西日本旅客鉄道は3月13日、2015年春を目途にJR大阪三越伊勢丹を大規模改装すると発表した。

今回、共同で店舗を運営する三越伊勢丹側と大規模改装についての合意に至ったため、計画を発表したもの。

改装規模は未定だが、JR大阪三越伊勢丹の一部にテナントリーシング方式で専門店を導入する。専門店の管理は、JR大阪三越伊勢丹が行なう予定だという。

専門店により、ファッションビルの要素を導入し、百貨店と専門店が融合した店舗を目指すという。

としている。

これは以前、JR西日本側が「百貨店部分を縮小し、空きスペースにルクアからの専門店を導入する」としたもので、三越伊勢丹HD側はこの発言に反発していた。
しかし、ご自慢の自主編集売り場が不発に終わった上、徒歩5分圏内に阪急、阪神、大丸の3つの百貨店が林立し、来月には北側にグランフロント大阪までオープンするという状況ではブランドを入れ替えるというプランも成立しにくい。なぜならば、目ぼしい有力ブランドはその4つの施設のどれかには入居しているからだ。

となると、現状の百貨店売り場を維持したままブランドだけを入れ替えることは不可能だろう。

ルクアから専門店を誘致するというのは、まあ、ある程度有効な手段だといえる。

けれども、ルクアとグランフロント大阪が近接する中で、さらにそれらと被らない有力専門店がそれほど残っているのだろうか?その部分には大きな懸念を感じる。
これは推測にすぎないが、専門店を集めるのもかなり難渋するのではないだろうか。

現状、アパレル業界は寡占化が進んでおり、専門店も全国チェーン化したものばかりである。
とくに東京都内、大阪市内などの都心部はチェーン店ばかりが残っており、個人経営の有力小規模専門店など壊滅している。むしろ、地方都市の方が個人経営の有力専門店がまだ残っている。

今春、大阪市内でも商業施設の新規オープン・改装オープンが相次ぐ。
そこに出店するのはいつもの顔ぶれの全国チェーン店が屋号を変えたものばかりだ。
ユナイテッドアローズ、ビームス、アーバンリサーチ、ジャーナルスタンダード、アバハウス、トゥモローランドなどなど。
これら企業が違う屋号で出店するだけであり、百貨店もファッションビルも郊外型ショッピングセンターもほとんど出店企業の顔ぶれは同じである。

そんな状況下で、JR大阪三越伊勢丹の救世主となるような専門店テナントがあるとはとても思えない。

「専門店導入で即活性化できる」と考えているならそれは甘すぎるだろう。

蛇足だが、先日、東洋経済に伊勢丹の記事が掲載された。
その中でこういう一節がある。

そもそも、ブランドイメージが重要な百貨店業界で自ら債務超過を明かすなど常識では考えられず、三越伊勢丹関係者はその点に関しJR西への違和感を隠さない。

http://toyokeizai.net/articles/-/13192

しかし、JR西日本も三越伊勢丹HDも上場企業であるなら、債務超過のディスクロージャーは当然ではないのか。これが非上場の私企業なら情報非公開もいたしかたない。
上場企業でありながら、財務状況のディスクロージャーにのうのうと「違和感がある」などと口走る三越伊勢丹HDの感覚にこそ、違和感がある。

都合の悪い情報を隠ぺいし、良い情報のみを報道されたいのであればMBOでも何でもやって、上場廃止してはどうか?

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