ライブ代わりの集客イベントはわかるのだが
2013年3月12日 未分類 0
大規模なファッションイベントの双璧として東京ガールズコレクションと神戸コレクションがある。
最近だと大阪では関西コレクションも立ち上げられ、回を追うごとに集客を伸ばしている。
で、好き嫌いからいうと、筆者はこの手のイベントはあまり好きではないが、そういうお祭りにはそれなりの経済効果があることは認めざるを得ない。
最近は、東京ガールズコレクションや神戸コレクションが地方巡業することも増えた。
その多くは経済的に疲弊した地方が、活性化を目的に行政ぐるみで誘致を図ることが多いのだが、これには少し違和感を覚える。
大がかりなイベントを開催すると集客が見込めるため、それなりの経済効果が期待できる。
この手のコレクションはファッションを見せるイベントではなく、歌手のライブに近い感覚のイベントと捉えたほうが適切だと感じる。
それ故に、地方でのイベント開催は一定の経済効果が期待できるが、地方都市が「ファッションで活性化」を掲げることはどうにも釈然としない。
筆者の見方はプロダクト側に立ち過ぎるのは自覚しているのだが。
まず、現状のファッション産業としてアパレル、SPAブランド、小売店の多くは東京本社である。または本社機能を東京または関東圏に集中させている。
次に、元々アパレルの多くは本社を大阪に構えていた。
神戸、京都、岐阜あたりもそれなりに本社があった。
あと、ジーンズブランドの多くは岡山、広島に本社がある。
こういう産業構造を見ていると、「ファッション」を掲げて地域振興が可能なのは、東京含む関東圏と大阪、神戸、京都、岐阜、岡山、広島あたりくらいではないかと思える。
例えば、先日も奈良で東京ガールズコレクションの出張版が開催されたが、奈良に本社を構える有名アパレルはほとんどない。エヴィスくらいだろう。
沖縄だってそうだ。皆無とは言わないが、そこまで有名なブランドの本社はない。
福岡も同じだ。
もちろん、先ほど書いたように、歌手の大規模ライブの代わりにイベントを開催するのだと思えば良い。
しかし、そういう地方都市で「ファッション」を謳い文句に掲げるのはどうにも座りが悪いと感じてしまう。
奈良でいうなら、元々は麻生地の産地であり、現在では靴下や肌着の産地である。
そういう意味では広い意味で繊維業界には関わりがある。
プロダクト的な立場で言えば、いっそのこと奈良ニットコレクションでも立ち上げれば良いのではないかと思う。
ただ、問題は多くの製造業は資金的に潤沢ではないことだ。
この手のイベントには開催に何千万円~何億円という費用が必要となる。
出展ブランドもン百万円~ン千万円をイベント開催側に支払っているのだ。
靴下や肌着の製造工場にそれほどの資金力があるとはとても思えない。
今回いろいろと考えていることは理想論に過ぎないのだが、せっかく地場に繊維製造業があるのだから、東京からタレントを呼んで来て地元と縁もゆかりもない全国チェーン店の服を着せてステージを歩かせるイベントよりも、地場と関わりのある形でのファッションイベントを模索する方が建設的ではないだろうか。