作った後のことも考えて
2013年3月4日 未分類 0
先日、知人から「某靴下製造業から相談受けている」との話を聞いた。
以前は下請け製造業に徹していたそうだが、何年か前にオリジナルブランドの製造を開始した。
その在庫が1億数千万円分あるという。
上代(店頭販売価格)ベースなのかと尋ねると、下代(卸売り価格)ではないかという。
1足の製造原価が300円だと仮定しても55万足以上ということになる。これは膨大な在庫である。
このメーカーはオリジナルブランドに関して、卸先も持たず、広報宣伝をすることもなく製造を始めたらしい。
経営者は一体どういう考えなのだろうか、ちょっと理解に苦しむ。
これに対して、「新しいことを始めるんだから在庫を積んで売り減らすしかない」という意見もある。
それはその通りなのだが、じゃあ50万足以上も製造する必要はあったのかというと答えはNOだ。
卸先も無いんだから、せいぜい1000足程度でも作れば良い。
通常の衣料品なら1000枚という単位は多すぎるが単価の安い靴下類なので1000足程度作っても大丈夫だろうと思う。
15年くらい断続的に繊維製造業の動きを見ていると、この靴下製造業と同じようなことがいろいろな企業で行われている。売り先も持たず、売り先のプランも持たず、取りあえず作ってしまうという動きだ。
ちょっとこのブログを参照していただきたい。
起業するときにはマーケティングも勉強すること
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-10927490309.html
でもとっても残念でした。
このとっても美味しいチャーシュー。
名物になるくらいなのに、どこにも書いていません。
店主のこだわりとか、思いとか、壁に紙に書いてお知らせしたら、絶対に今よりオーダーが多くなるはず。
店の価値も高まるはず。
店の内装も美味しいくなさそう。
白をベースにした内装。
やっぱり「白」は難しいです。
外の看板にも「チャーシュー」のことが書いていない。
どころか、ラーメン屋さんだと瞬時に認識できない。
もったいない・・・
案の定、お客さまが少ない。
いつまでもつかなぁ・・・この店。
「じゃ、そうしたら売上あがるよって、教えてあげればいいじゃないか」
そう思う読者の方もいるでしょう。
でも、それはちがいます。
それは「余計なお世話」なんです。
だって依頼されてもいないアドバイスはしないし、アドバイスしても本人が勉強する意識がないと、意味がない。
起業というのは、集客の方法や売上をあげる方法も勉強することも含めて、起業なのです。
良い商品があって、起業したらやっていけるか?
それはとっても甘い。
ひと昔まえなら、美味しいラーメンを提供できたら、店を新規で開店するだけで、お客さまが来てくれて繁盛しました。
でも、今の時代は美味しいラーメンだけじゃ起業しても長続きしない確率が高いのです。
だって、どんなに美味しいチャーシューメンでも、その価値をお客さまが知らなかったら、売れないのです。
もしあなたが起業を考えているのなら、あなたの商品の質を高めることも大事ですが、売る技術、集客ノウハウ、営業力、いわゆるマーケティング力も勉強しなくてはなりません。
とのことである。
筆者は広告宣伝・販促・マーケティングだけに長けており、品質を二の次にして売上高を伸ばす衣料品ブランドは好きではない。しかし、製造業がオリジナルブランドを始めるにあたって圧倒的に欠けているのはこの視点である。
ブランドを立ち上げてすぐに売り先が見つかるはずはない。しかし、こういう店に営業をしよう、こういう店に卸売りしたい、という想定くらいは持っておくべきである。
とりあえず数十万足作りました。どこに売ったら良いのかわかりませんではまったく話にならない。
このメーカーは不動産資産を多数お持ちのようなのでそれで救われているだけであり、駐車場もマンションも持っていない会社ならとっくの昔に潰れている。
で、作ったのなら自己発信をすべきである。
その会社のブランドが超有名であれば、自己発信しなくても勝手にマスコミが報道してくれる。
しかし、製造業社が立ち上げたばかりの無名のブランドなど世の中の人間は誰も知らない。誰も知らないから当然マスコミも知らない。
知ってもらうためには自己発信するしかない。
オリジナルブランドを立ち上げたい製造業社には他山の石としてもらいたい。