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南充浩 オフィシャルブログ

頭で料理を味わっている

2013年2月26日 未分類 0

 一口にポリエステルと言っても高い物から安い物まである。
「シルク=高級品」のイメージが固定化しているが、落ち綿を集めて生地にしてもそれはシルクである。
じゃあその落ち綿を集めたシルク生地が高級品かというとそうではない。かなり廉価品である。

アクリルと言っても高級品から廉価品まで幅広くある。

カシミヤ5%混だから高級品だよね。という人がいるが、5%なんて混率ならあってもなくてもそう変わらない。

一般消費者は成分表示で物の値打ちを判断するが、それはいたしかたない側面もある。
しかし、バイヤーを名乗る人が成分表示だけで物の良しあしを判断するなら、一般消費者と変わらない知識しか持ち合わせていないことになる。
果たしてそれがプロと呼べるのだろうか?

その昔、カシミヤ0%の商品にカシミヤ70%混と成分表示をした有名セレクトショップがあった。
上場していたため、すぐさま報道された。

原因はいろいろあるのだろう。製造業社が自己申告したのをそのまま信じたのかもしれない。
検査機関に持ち込まなくてはなかなか手触りや見た目だけではわからない。
羊毛でも超細番手で織った生地ならカシミヤと見分けがつかない場合もあるし、アクリルだって高級品を使えばカシミヤと区別が付かないこともある。

ウール・アクリル混のセーターが1万5000円なら高いと感じる消費者は多い。
アクリル=廉価素材というイメージが固定化しているためだ。
しかし、何度も言うがウールにも高級素材はあるし、アクリルにだって高級品番はある。それらで編んだセーターなら1万5000円が適正価格だという場合もある。

一方、カシミヤ5%混のセーターなら1万5000円で適正価格だと判断する消費者も多い。
しかし5%程度の混率ならカシミヤが入っていてもいなくてもそんなにセーターの風合いに変化はないし、コストに反映されない場合も多い。
もしかしたらカシミヤ5%混程度なら8000円程度で販売しても十分に利益が取れるほどの原価かもしれない。

一般消費者が成分表示だけを見て「アクリル・ウール混で1万5000円は高い」と判断するのは仕方がない。
また「カシミヤ5%混なら1万5000円で妥当だ」と判断することも仕方がない。

しかし、バイヤーと名乗る人が同じ判断をするなら、それはちょっと疑問である。
もちろんすべての製造に精通することは難しい。
けれども成分表示だけを見て「安い、高い」と判断するなら、彼は一般消費者と何ら変わらない能力しか持っていないことになる。

現実はそういうバイヤーが多い。
「シルク入ってるから風合いが良いですよね~」なんてシタリ顔で話しているが、その混ぜ込まれているシルクは落ち綿のクズシルクである場合もある。
そうなると繊維長が短いため、シルク特有の滑らかさやつややかさはまったくない。
それでも「シルク混」と書かれていたら成分表示だけを見てありがたがるバイヤーは掃いて捨てるほどいる。

そういうバイヤーは頭で料理を味わう類の食通と同じである。

素人が素人に向けて販売する。それが今のアパレル産業の一つの側面かもしれない。

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