コト需要創造はソフトが重要
2013年2月27日 未分類 0
阪神百貨店のレディースジーンズ売り場「ジーンズハウス」では昨年から定期的にワークショップが開催されている。内容も講師も毎回変わるが、売り場への集客の一環として始められた。
最近、ワークショップやイベントを定期的に開催する小売店が増えている。
阪神百貨店のような大手から1店舗しかない個人経営のショップまで同様の傾向である。
2005年ごろから、盛んに「モノ」ではなく「コト」需要だと言われ始めた。
昨年11月に増床グランドオープンした阪急百貨店うめだ本店も「コト」需要を重視しており、その現れが9階の祝祭広場だとされている。
すくなくとも多くの報道機関はそのように伝えている。
たしかに売り場を減らしてでもイベントスペースを作るという意味では、コト重視だといえるが、それだけの説明では不十分であろう。
祝祭広場を作ったという事実は、ハードの部分である。
その昔、バブルの頃に行政が「文化事業」を掲げてやたらめったらハコモノを建設しまくったのと同じである。
ハコモノというハードだけあってもそれは「コト」需要にはならず、そこで何が行われるのかが重要になる。
祝祭広場だけ作って何の対策も打たないなら、あそこは単なる休憩スペースで終わってしまう。
9階・10階が平日昼間でも賑わっているのは、定期的に祝祭広場を利用したイベントを開催しているからである。
コト需要というのはソフトの部分が重要となる。
よく、「うちは阪急さんみたいに資金も面積もないから祝祭広場みたいなスペースは作れない」と嘆く声を耳にする。
たしかにそうなのだが、なにも全小売店が祝祭広場を作る必要はない。
先に挙げた阪神百貨店や個人経営の店舗のようにワークショップやイベントを定期的に開催することだってできる。
コト需要の創造というのは、ソフト面の方が重要になる。
ハコモノを作ったからコト需要を創造しましたとはならない。
もちろん、それ専用のハコモノが作れればそれに越したことはないが、ハコモノを増設せずとも既存店内でワークショップやトークイベントを開催することはできる。
販促コンサルタントの藤村正宏さんがお書きになったブログの一文に
「お客様は物事を買いたいのではなく、物事を楽しみたいのです」
というものがある。
なぜ、ワークショップやイベントが重視されているかというと、それによってお客が楽しめるからである。
定期的に楽しませてくれるショップにはお客は定期的に足を運ぶようになる。
その結果、物が売れる。
コト需要というのは、お客を楽しませるプログラム(ソフト)を作ることである。
だからホールを作りましたという情報よりも、そのホールでどんなイベントがどれだけの頻度で開催されるのかという情報の方が大事だと思う。
もしかしたら、報道機関にはこの視点があまり備わっていないのではないかと感じられる。