10年以上続く調整期間
2013年2月28日 未分類 0
先日から某専門学校向け資料としてジーンズの歴史をまとめる作業を行っている。
とくに参考にしている文献は、今は亡き日本繊維新聞社発行の「ヒストリー 日本のジーンズ」と繊維流通研究会発行の「ジーンズハンドブック」である。
1950年をスタートとして、両方ともジーンズには4回の生産調整期があったとする。
ちなみに日本繊維新聞社発行のは2006年発行で、繊維流通研究会は2010年発行である。
第1調整期は76年~77年、第2調整期は84~85年、第3調整期は90~94年となっている。
問題は第4調整期の捉え方である。日本繊維新聞社では2002年~2005年までとしているが、繊維流通研究会では2002年以降ずっと調整期が続いており、2010年現在も調整期間中であるとする。
調整期というのは要するに生産が落ち込む時期のことである。
意外だったのが90~94年の第3調整期で、この時期はレーヨンジーンズブームが大爆発していた。
ボブソンの04ジーンズが一世を風靡していた時期だ。
大ヒットアイテムは存在したものの、業界全体を通じてはあまり活性化しなかったということになるのだろうか?
さて、改めて考えたいのが第4調整期である。
2002年から始まっており、日本繊維新聞社が2004年で終わったとするのはプレミアムジーンズブームがあったからだろう。
一方、繊維流通研究会が現在もまだ調整期が続いているとするのは、プレミアムジーンズブームはあったものの、ジーンズ生産量の減少には歯止めがかからず、逆に2007年以降はジーンズが非トレンドアイテム化したままだからだろう。
さてどちらが実態を反映しているのかというと、個人的には繊維流通研究会に軍配を上げたい。
2010年以降もジーンズは非トレンドアイテムのままである。
その理由の一つにデニムトップスのトレンドが長く続いていることがあるだろう。
デニムシャツ、Gジャン、デニムワンピースなどだ。
トップスにブルーデニムが来ると、ボトムスは必然的にブルーデニムではなくなる。
チノパンやアーミー系のカーゴパンツなどになる。
上下ともにブルーデニムでそろえるのは70年代のスターくらいである。
閑話休題
繊維流通研究会が示す通りに現在も第4調整期が続いているとするなら、この調整期はかつてないほどに長いということになる。
第1、第2はともに2年間、第3ですら4年間である。
ところが第4調整期は10年間以上続いており、しかもまだ終わっていない。
現在の20代・30代の若者にとって、「物ごころついた時からジーンズは調整期間中のアイテム」ということになる。
昨今のジーンズ専業アパレルの苦戦を見ると、やはり第4調整期はまだ当分続くのではないかと思えてならない。