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南充浩 オフィシャルブログ

「単に日本製というだけ」の商品は売れなくて当たり前

2019年6月18日 産地 0

国内の衣料品市場規模が縮小する中、海外進出を模索する企業が増えている。

アパレルブランドもそうだが、生地工場を始めとする製造加工業やそれらのファクトリーブランドも海外進出を模索するケースが増えた。

しかし、とりわけ製造加工業やファクトリーブランドの海外進出は極少ない成功例とおびただしい失敗例とに分かれており、どのような売り方をすべきかという議論は今でも結論が出ないままに堂々巡りをしている感がある。

最近さっぱり告知もニュースも聞かなくなった「ジャパンクオリティ」制度だが、あんなもんはどうでもよいとして、製造加工業者やファクトリーブランドは「メイドインジャパン」を謳い文句と考えることが多い。

それは重要な要素の一つではあるが、「単に日本製」というだけでは売れないことは周知の事実である。

で、この「メイドインジャパン」「日本製」を巡る議論は製造加工業者の中で、堂々巡りに突入しているように、個人的には感じる。

 

曰く「どこまでが日本製なのか?」

曰く「原料(綿花・ウールなど)はすべて輸入しているのにそれでも日本製といえるのか?」

曰く「工場の従業員は外国人実習生だがそれでも日本製なのか?」

 

というのが主なものだといえる。

これに対して、

「国内で栽培された綿花だけを使っています」 とか

「当工場の従業員はすべて日本人です」 とか

そういう回答が寄せられるのだが、問いも回答も、どうにもピントがズレているような気がする。

 

同じような状況は何も日本製に限らずイタリア製やフランス製も同様で、以前にもこのブログで書いたが、イタリアの工場でも当時は中国人労働者が増えているという報道があった。これだって「メイドインイタリアだが作っているのは中国人でもよいのか?」ということになる。

原料にしたって、イタリアもフランスもすべて自国内で賄っているわけではない。

 

ここの点にこだわりすぎるのは迷路に迷い込むようなものでしかない。

 

我が国のブランドで海外で今、もっとも評価が高く売れているのはユニクロと無印良品ではないかと思う。

両ブランドとも日本のブランドとして認識されている。

 

そういえば、先日、5月末にユニクロの感謝祭があったのだが、ユニクロ心斎橋店4階の免税レジは、外国人による長蛇の列ができていて、4階フロアを半周するほどだった。これが平日昼間のことだから、土日はどれほどの混雑だったのかと想像すると恐ろしくなる。当方は人ごみも嫌いだし、他人と密着するのも嫌いだから、絶対に近寄れないと思った。

そこまでしてユニクロの服を買わねばならないのかと驚いてしまうのだが、逆にいえばそこまで各国(おもにアジア地域)ではユニクロの人気が高いのだといえる。

フィリピン在住の知り合いの日本人女性も、「フィリピンではユニクロは高級ブランド。それでもセールになったらレジに長蛇の列ができる」と話しており、その人気ぶりには驚かされる。

 

 

しかし、冒頭の考え方になると、ユニクロも無印良品も国産品はごくわずかで、あとは中国製、バングラデシュ製、ベトナム製、カンボジア製などなどとなっていて、とても日本ブランドとは呼べないということになる。

それでもユニクロも無印良品も「日本ブランド」として認識されていて人気が高いわけだから、そこの部分は重要なファクターではないということになる。

ここを整理して考えることができないと、海外進出は永遠に成功しないだろう。

昨日、参考になるツイートがあったのでご紹介したい。

 

 

とのことである。ユニクロも無印良品も「日本で作っている」とか「日本人が作っている」わけではないが、「日本ブランド」として評価されて売れている。

それは、日本人が認める品質、日本人が認めるコスパ、日本人が構築したブランド、という部分が評価されているといえる。

 

だから、海外進出を目指すブランドはそこを留意すべきといえ、とくに製造加工業者やそのファクトリーブランドはそこを謳うべきだといえる。別に原料は輸入していても外国人職人が作っていても構わない。そんなことを言いだしたらイタリア製だって成り立たなくなってしまう。

そういえば、国産デニム生地が海外で評価されてそれなりの年数が経つが、綿花は相変わらず輸入だし、工場によっては外国人実習生もいる。

国産デニム生地が評価されたのはそういう点ではない。B品率の低さだとかビンテージデニム生地の復刻だとかそういう部分が評価をされている。

となると、海外に売り込むための方策は見えてくるのではないかと思う。

 

そういえば、自動車や他の製品もそうではないか。

トヨタやスバルやホンダは世界的に売れているが、海外工場で作って海外で売っている。しかし「日本車」として認識されて売れている。

そういうことである。

 

あと、チラっと伝統工芸に触れられているが、個人的には今まで通りの「変わらない伝統工芸品」は海外のみならず国内でだって売れないと思う。もちろん、「変わらない工芸品」を作る技術は伝承する必要があるが、売りたければ現代風にアップデートする必要がある。それができないままに「変わらない俺たちの商品を認めて高い値段で買え」というのは傲慢に過ぎるのではないかと思う。

 

 

製造加工業者が考えるヒントとしてこの本をどうぞ~

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