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南充浩 オフィシャルブログ

価格の二極化政策は本当に適切なのか?

2013年2月14日 未分類 0

 日本マクドナルドホールディングスが9期ぶりに減収減益に終わった。
2・5%減収、12%減益である。といっても売上高はいまだに3000億円弱あるわけなので、すぐにどうこうなるというレベルでもない。

個人的にはマクドナルドはあまり利用しない。
年に1,2度利用するかどうかである。とくに食事としてはまったく利用しない。
食事として見るなら、マクドナルドのセットメニューはまったくお得だと感じられないからである。
2003年ごろまでは、390円~500円未満でセットメニューがあったように記憶している。
2004年に社長が交代して以降、セットメニューは値上がりし続け、700円前後にまでなってしまっている。

280円で牛丼並盛りが食べられるご時世である。松屋だとさらに味噌汁まで付いている。
腹もちの良さと価格だけで考えれば、マクドナルドで食べるよりも牛丼並盛りに軍配が上がる。
また、700円前後出すなら、通常の定食が食べられる。
そういうわけで、マクドナルドをごくまれに利用するのは、コーヒーなどの飲み物を買う時くらいになる。
しかし、同じコーヒーをイートインするのもドトールやサンマルクカフェを多く利用する。筆者個人は割高だと感じるのでスターバックスはほとんど利用しない。

知人に「100円マックは安いよ」と言われたことがある。
まあ、でもコンビニにも100円で菓子パン類は売ってるわけだし、わざわざマクドナルドを利用する必要性をあまり感じない。
そんなわけで筆者の生活の中にマクドナルドという選択肢は限りなくゼロに近い。

100円マックと700円近い高額セットメニューというマクドナルドの価格帯には以前から疑問を感じていたら、先日、東洋経済にその部分を指摘する記事が掲載された。

マクドナルド・原田社長、神話の終焉か
7期ぶり営業減益で問われる真価
http://toyokeizai.net/articles/-/12862

そのなかに、こういう一節がある。

マーケティングに詳しい金森努・青山学院大学非常勤講師は「そもそも日本の総人口が減り、外食市場の縮小傾向が続く中、客数増を前提に低価格で集客を図るマクドナルドの戦略は奇策だ」と指摘する。

マクドナルドの本来の顧客は500~600円のセットメニューを求めてやってくる。ところが客数と利益を稼ぐために100円商品や無料配布を拡充し、700円台のセットメニューを投入してきた。結果、700円の高価格メニューは伸び悩み、「100円マックは本来の顧客ではない人、商品が欲しくない人にまで売り込んでいる」と金森氏は指摘する。

とのことであり、金森努さんのご指摘には深く賛同する。

金森さんはマクドナルドの顧客を500~600円とされているが、個人的にはもう50~100円安いのではないかと考えている。
400~500円、ないしは450円~550円だろう。
ファーストフードと呼ばれる食べ物に600円以上は払う意味を感じない。

まあ、細かい指摘はさておき、100円マックか700円前後の高額セットメニューかというのはやはり利用しづらい。どうしても利用しなくてはならない状況だと、筆者なら100円マックを3つ買う。計300円で済む。
100円バーガーを2つにして、飲み物を買うかもしれない。これも計300円強で済む。

で、この低価格か高価格かという極端な二極化政策の失敗は、なんだかジーンズというアイテムを彷彿とさせる。

現在は下火になったが1000円ジーンズか1万数千円以上かという極端な二極化が進んだ時期がある。
ほんの3~4年まえのことだ。
アパレル業界に携わる人でさえ、いまだに「ジーンズの価格は二極化している」と思い込んでいる人も多い。
現在だと「ユニクロ(3990円)か高額ジーンズ(1万数千円)か」という認識のようだ。

実際は中間価格帯も存在するのだが、発信力不足なのか受け手側に覚える気がないのか、あまり認知されている印象がない。

この価格二極化論に振り回されたのがナショナルブランドと呼ばれたジーンズ専業メーカー各社だと思う。

ナショナルブランドの何社かは3900円ラインをユニクロ台頭以前から展開していた。
本来の主戦場はその上の7000~9800円ラインだったのだが、「高額論」に引きずられてしまい、1万円以上の価格帯へ格上げしてしまった。折からの高額プレミアムジーンズブームの到来もあり、百貨店を主販路に選んでしまった。百貨店からすると、1万2000円のジーンズでも「他社に比べて安いよ。あと5000円値上げしてほしい」ということになる。そこに乗っかると、ナショナルブランドのジーンズは1万5000円を越えるようになる。

これでは以前からナショナルブランドを愛用していた大多数の顧客は去ってしまう。
ふと周りを見渡せばポイントやGAP、ライトオンのPBなどで7000円前後のジーンズ類が提案されている。そこへ多くの消費者が流れてしまったというのが、現状だと考えている。

マクドナルドの現状を見るにせよ、ジーンズナショナルブランドを見るにせよ、低価格か高価格かという二極化政策は失敗に終わるとしか思えないのだが。

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