実店舗でも試着できない肌着・靴下類はネット通販に適しているのではないか?
2019年5月15日 ネット通販 0
洋服の通販におけるサイズ問題は、さほど重要ではないと思っている。
正確にいうなら、S~Lサイズでカバーできる人においては、そんなに重要ではないと考えている。
もちろん、XXSでも大きすぎるとか6Lでも小さすぎるとか、トールサイズでも短すぎるという人にとってはサイズ問題というのは最重要課題だということは認識している。
その場合は通販に限らず、実店舗での買い物も極めて不自由になるから、こちらは何とか喫緊に解決すべき問題だということは間違いない。
今回はいわゆる標準的なS~Lサイズくらいに絞って考えると、小さすぎて入らない洋服は買いたくないというサイズ問題は存在する。
返品可能という通販ならまだしも、それでも返品作業がめんどくさいが、たまにある「返品不可」の通販はアウトである。買い物の選択肢から外されやすい。
そういう観点でいうと、
ビッグシルエット
丈短めズボン
この2点は通販で買い物をする際にハードルを下げてくれる。
ビッグシルエットなら「小さすぎて着られない」ということはまずない。また、丈短めズボンなら、裾上げの心配が要らない。
ネットであろうがカタログであろうがテレビであろうが、通販にはこの2点のある服は持ってこいだ。
実店舗売上高が減ってネット通販が今後増えるとされているが、ネット通販が増えれば増えるほどこの2点の特徴を持った洋服は廃れないだろうと思う。
反対にスーツやワイシャツのようなジャストサイズで着る洋服を通販で買うためには、正確なサイズ測定が必要不可欠となる。
さて、グンゼの2019年3月期連結決算が発表された。
売上高1407億600万円(対前期比0.1%増)
営業利益66億9000万円(同7・2%増)
経常利益71億5200万円(同11.0%増)
当期利益40億8700万円(同17.2%増)
と微増収ながら増益なので比較的好調だったといえる。
知っている人は知っているが知らない人は知らないということの一つとして、グンゼは肌着・靴下類を中心とするアパレル以外に、プラスチックフィルムや電子部品、メディカル資材などのメーカーでもあるということが挙げられる。
部門別の売上高でいうと、
アパレルは726億900万円
機能ソリューション(プラスチックフィルムや電子部品やメディカル資材など)は532億3400万円
である。
世間的に想像されているより、機能ソリューションの売上高が高い。
機能ソリューションは専門外なので置いておくが、アパレルに関して言えば、EC売上高(いわゆるネット通販売上高)は15%増の35億円だったとの発表があった。
15%増という増減率だけ見ると、まずまずの伸びだといえるが、35億円という売上高を見ると、700億円規模のアパレルとしては物足りないといえる。
先日、梅田でアパレルテック関係のトークショーが開催されたが、そこにパネリストとして出席していた某レディースアパレルは売上高135億円くらいで、EC売上高がグンゼと同じ35億円だった。
レディースアパレルと肌着・靴下が中心のグンゼを同等に比較するのは難しいが、やはりもう少しEC売上高は伸ばせるのではないかと思った。
グンゼが得意とする肌着・靴下類は、たしかに低価格志向が強く、客単価を伸ばしにくいという背景はある反面、サイズ問題はあまり存在しない。
よく考えてみれば、実店舗でも肌着、靴下はほとんど試着できない。
当方も49歳まで生きてきたが、肌着、靴下を試着して買ったことがない。
レディースのブラジャーは試着が店頭でできるのかどうかわからないが、ストッキングや肌着に関してはメンズと同様試着できないのではないかと思う。
(売り場でしげしげとは観察できないので)
価格志向はネックとなる部分が多いが、肌着・靴下類は、試着できないという点においては実店舗も通販も同じ状況にあるといえる。
ということは、やりようによってはまだまだネット通販の売上高は伸ばせるということになる。
もちろん、「生地の触感」や「生地の厚み」なんかは実店舗で触った方がわかりやすいが、いわゆるファッションブランドのネックになりやすい「試着できるかどうか」という点は存在しない分、ネット通販で売れやすいのではないかと思う。
逆に一度買ってもらって具合が良ければ、肌着・靴下はネットでリピートされやすいのではないかと思う。カジュアル衣料やファッション衣料に比べて傷みも早いし、必ず洗い替えが必要なので複数枚の所有が不可欠である。
これはグンゼに限らず、肌着メーカー、靴下メーカー各社に共通したアドバンテージではないかとも思う。
実店舗で買おうが、ネットで買おうが試着できないことは同じなので、そこの部分を逆手にとれば、グンゼに限らず肌着・靴下メーカーはネット通販売上高を増やせるのではないかと思う。
もちろん、見せ方や売り方を工夫する必要はある。もう「作って並べただけで売れる」という時代ではない。これは肌着・靴下に限らずどの商品でも同じである。
そんなわけで、肌着・靴下メーカー各社は、そこにクローズアップして工夫してみてはどうだろうか?
ベージュ色よりもさらに透けにくいというグンゼのステルス肌着をどうぞ~