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南充浩 オフィシャルブログ

衣料品ネット通販に溢れる「ウソ表記」

2018年12月5日 ネット通販 0

ネット通販はやはり便利である。わざわざ店に行かなくても商品が買える。
利便性から考えるとネット通販売上高が伸びるのは当然だといえるが、衣料品は他の商品に比べて、ネット通販売上高が伸びにくい。
以前にもこのブログで書いたが、繊研新聞社の統計によると衣料品のネット通販市場は年間9500億円だとされている。ネット通販市場総額が16兆円であることに対すると、衣料品の売上高はそれほど高くない。
他の分野に比べて伸びにくいのは、
1、サイズがある
2、生地感がわからない
3、着てみて似合うかどうかわからない
という3点があるからではないか。
サイズに関していうと、自分の手持ちの服のサイズをあらかた覚えていると、サイズ表を見ただけである程度は買えるようになる。しかし、その反面、サイズ表を提示していないブランドもある。こういうブランドは見せ方がいくらよくてもまず当方は買わない。
ここでいうサイズとは、S、M、Lという表記ではない。
肩幅〇センチ
胸囲〇センチ
袖丈〇センチ
着丈〇センチ
などのサイズ表記である。これがなくて単にS、M、Lしか書かれてないブランドは絶対に買わない。
次に生地感だがこれは解決する手段は今のところない。
いくら拡大画像を掲載したところでその生地の手触りとか厚さはわからない。画像を触って実物の触感がわかるという超技術が開発されない限りはこれを解決する手段はない。
「買う」と決めていて、生地スワッチを取り寄せるというやり方なら可能だが、単にウィンドーショッピングよろしく、ネットサーフィンをしながら生地感がわかるということは現時点では絶対にない。
この結果、思っていたより生地が厚かった・薄かった、思っていたより生地が硬かった・柔らかかった、という問題が発生する。
そして、似合うかどうかわからないという問題もある。
雑誌やウェブ掲載画像を見て「かっこいい」と思っても、それが自分に似合うかどうかは別物だ。
雑誌モデルやウェブモデルと自分では体格、顔立ち、体型すべてが異なる。モデルが着ているからかっこいいのであって、自分が着てかっこいいとは限らない。
そしてこれらが起きた場合の返品交換の作業が面倒すぎるので、できれば確信を持てた商品しか買いにくい。
手持ちの服の色違いや柄違いが主流になることは極めて当然の結果といえる。
そしてこの3点に加えてネット通販で洋服を買いにくくさせているのが「ウソ表記」である。
先日、久しぶりの休みだったので、ダラダラとAmazonで洋服を見ていた。破格値商品をチェックする目的だ。
その中で気になる「ウソ表記」がいくつかあった。
1つは素材名・仕様名について
もう1つはブランド名について
である。
この2点において商品知識、ブランド知識のない人は騙されて買ってしまうだろうと感じた。
冬物で目立った素材・仕様に関する「ウソ表記」は次の2点だ。
1、メルトン
2、ダウン
である。
1から行くと、メルトン〇〇ジャケットと表記されている商品の多くが「ポリエステル100%」「ポリエステル90%・ウール10%」というものだった。
これははっきりいってメルトンではない。同じ「ウソ表記」をジーンズメイトもやらかしていたことも付け加えておく。
メルトンというのは、そもそもがウールもしくはウール主体の縮絨加工を施した生地の名称である。合繊主体をメルトンと呼ぶのは、アクリル100%のセーターを「カシミヤセーター」と呼ぶのと同じくらいの詐欺にも等しい行為だといえる。
ブランド側の担当者の知識がないのかわざとなのかはっきりわからないが、早急に改める必要がある。
現にアクリル100%のセーターはいくらソフトタッチに作っていても「カシミヤセーター」ではなく「カシミヤタッチセーター」「カシミア風セーター」などと名乗っているではないか。合繊主体のメルトンは「メルトン風」「メルトンタッチ」と改めるべきである。わざとやっているなら完全なる詐欺行為でしかない。
ダウンも同じだ。
中綿入りとダウンが混在している。中には「中綿入り」と明記されているにもかかわらず、「ダウン」がタグ付けされていて「ダウンジャケット」で検索すると表示されてしまう商品も多数ある。素材や仕様に詳しくない人だと間違えて買ってしまうだろう。
あと「中綿入り」を「エアコンダウン」などと言い換えている商品も紛らわしい。一瞬新しい「ダウンの一種か?」と思ったがよく読んでみると何のことはない、単なる中綿入りジャケットのことである。
こういうのも勘違い購買を狙ってのネーミングだとしか思えない。
次にあるのが類似ブランド表記である。Amazonには聞いたこともないようなブランド衣料が多数並んでいるがその中に、有名ブランドそっくりの名前の類似ブランドが少なからず含まれている。
このブログで以前、「ディーゼル」を検索したら「ディーゼルパワー」というブランドが表示されて危うく買いそうになったことを書いた。
当ブログがディーゼルの中の人に読まれてディーゼルジャパンの社内では一時騒然としたとも中の人から直接聞いたことがある。
再び「ディーゼルパワー」で検索してみると、「ディーゼルパワー」はなくなっているが「ディーゼルパワープラス」がある。ワークマンよろしくプラスになっているではないか。(笑)


 
 
このほかにも笑ってしまうような類似ブランドを見つけたのでいくつかご紹介したい。
例えば、「オンワード上向き」である。最初は「オンワードが何か上向いたのか?」と思って詳細を読んでみると「オンワード上向き」という類似ブランド表記だった。それにしてもなぜ「上向き」なのか?

 
 
またH&Mの「COS」かと思ったら「i Love Cos(アイラブコス)」という類似ブランド名だった。そこまで「COS」を愛してるんかい!?こんな場所でCOSへの愛情を告白されても困るんだけどねえ。

 
 
オンワード上向きもi Love Cosもブランドに詳しくない人が見れば、間違えて買ってしまうだろう。
素材・仕様の「ウソ表記」も含めてこういう紛らわしい表記を根絶しないとネット通販への信頼感は到底高まらないだろう。
 

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2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています

 
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