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南充浩 オフィシャルブログ

ブラックフライデーと土用の丑の日のウナギ

2018年12月4日 販促 0

さて、気温の話だが、大阪の12月4日の最高気温は22度の予想となっている。12月としては異例の暖かさだといえる。
予報では8日・9日は寒波で大阪の最高気温は9度までしか上がらないからたった4日間で13度も気温が下がることになる。
しかし、予報ではその後、来週の火曜日からは最高気温14度に戻るようなので、低気温が短期間しか続かないのは典型的な暖冬傾向だといえる。
これほどの暖冬だから、各ブランドは防寒アウターがさっぱり売れていない。カナダグースのようにブームで売れているブランドを除いては。
この気温でダウンジャケットなんて着る必要はないし、着たとしても薄手ダウンで十分おつりがくるほどで、カナダグースやらモンクレールのような防寒性の高いダウンは暑すぎて着ることができない。
先日、某ECサイト関係者と話したが、防寒アウターはさっぱり動いておらず、倉庫に眠ったままだという。8日・9日の寒波でどれだけ売りさばけることができるかが勝負になるだろう。
 
こういう気温だから、11月に各店が「ブラックフライデー」という名のセールを仕掛けて良かったのではないかと思う。セールでも仕掛けなければ絶対に防寒アウターは売れない。
こういうことを書くと必ず「でもカナダグースは真夏でも売れたじゃないか」と反論する業界人がいるが、あれは単なるブームに過ぎず、ブームになっているブランドの売れ方をベンチマークしたところで意味はない。なぜならそういう自社のブランドはブームの「ブ」の字も起きていないからだ。自他の違いをまったく考慮していない妄言であるといえる。
ここ10年以内で我が国に入ってきたイベントというと10月のハロウィンと11月のブラックフライデーだろう。この2つのイベントは比較的新しい。
10月のハロウィンの渋谷暴動なんて見ていたら、あんなものは来年から廃止するか、来年は片っ端から逮捕してぶち込んでしまえと思うが、販促イベントとしては消費が喚起されるなら、渋谷のバカ騒ぎ以外は続けてもよいのではないかと思う。
11月のブラックフライデーについてはハロウィンよりも目新しい感があるので、評価はさまざまだ。ハロウィンと同様にこじつけ感が半端ではないが、それでも今秋はブラックフライデーやAmazonのサイバーマンデーがなければどうなっていたかわからない。恐らく高気温で今以上に防寒アウターは動かなかっただろう。
ファッションは鮮度があるといわれる。
だから季初に定価で買うことは無駄でもなんでもなく、鮮度が高い服を手に入れ、長い期間楽しむことができるといわれる。
それはその通りなのだが、今年のように異常なほどの暖冬では、防寒アウターやウールの厚手のセーターはその理論では動きにくい。
なぜなら、季初に買ったとしても着用できるのは何か月も先になってしまうからだ。例えば10月に買ったって、今の気温だったら12月4日でも着ることができない。これでは鮮度なんて関係ない。
こういう状況なら、値引き率の高低は別として、少しくらいは値下げして消費を喚起するのはまったく正しいやり方だといえる。
安いからと言って買うのか?という疑問があるが、逆に、高くしたままで売れる理由があるのかと問いたい。
今すぐには暑くて着られないが、少し値下がりしているから買っておいてもイイかなと考える人の方が多いのではないか。
ユニクロの期間限定値下げを見ていると、値引き率が高いような気がするが、アパレル業界の平均値下げ率は35%であることに対して、ユニクロの値下げ率は25%となっていて10%低くなっている。(齊藤孝浩著「ユニクロ対ZARA」より)
この事実から考えると、ユニクロの期間限定値下げは、少し値下げすることで喚起を促しているといえる。そして、その結果、業界平均よりも値下げ率が低くで抑えられており、ひいては利益をその分確保できている。
「少し値下げ」することは販売施策としては効果的だといえる。
その観点からするとブラックフライデーの導入もそれなりに有効だろうと思う。11月はもともとはプロパー(定価)販売の月だったが、12月にプレセールが始まるようになると「セール待ち」の時期に変化してしまった。
だから11月に物は動きにくい。さらに11月には目立った行事もない。
となると、販促カレンダー的に考えても11月に何か大きなイベントを導入することは極めて理にかなっている。
別にイベント名はブラックフライデーにこだわる必要はない。サイバーマンデーだろうがパワーアップウェンズデーだろうがなんでも構わない。
 
多くの人は、ハロウィンとブラックフライデー導入について「こじつけ感」を感じているだろう。正直なところ当方も「こじつけ感」を感じている。効果的・合理的だからやればいいというスタンスだが。
しかし、こじつけて販促イベントを作ることは、何も今に始まったことではない。そんなものは江戸自体からある。
一番有名なのは「土用の丑の日のウナギ」である。
そんな風習はもともとはなかった。ウナギの旬は夏ではない。脂が乗る秋冬である。当然のことながら夏にウナギは売れにくい。これが江戸時代の常態だった。
当たり前である。わざわざ旬でない食べ物を食べたい人なんてそれほどいない。
冬にスイカが食べたいという人なんてそれほどいないのと同じだ。
そこでウナギ屋は天才科学者の平賀源内に有効な施策を考えてほしいと依頼した。そして平賀源内が作り出したのが「土用の丑の日はウナギを食べよう」という「こじつけイベント」だった。
この「こじつけイベント」がいつの間にか定着し、今は伝統行事のような顔をして存在している。
当方から見ると、こじつけ度合いは「土用の丑の日のウナギ」もブラックフライデーも変わらない。どちらも商業ベースが作り上げたこじつけ商業イベントである。
なら、土用の丑の日のウナギは受け入れるのに、ブラックフライデーを受け入れないというのはまったくのダブルスタンダードだとしか言いようがない。
いずれにせよ、これと言った販促イベントがない11月だから、来年以降もブラックフライデーを各社は継続するだろう。
 

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【有料記事】地方百貨店を再生したいなら「ファッション」を捨てよ
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2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています

 
今が旬のウナギをどうぞ~

 

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