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南充浩 オフィシャルブログ

IFFが開催中止になったアパレルビジネスの環境変化とは?

2018年11月20日 考察 0

繊研新聞社とUBMジャパンは来年3月開催予定の大規模なアパレル展示会「JFW‐インターナショナル・ファッション・フェアMAGIC・Japan(JFW‐IFF・MAGIC)」の開催中止を決定した。
業界の古い人なら「IFF」の名前でよくご存知だったアパレル合同展示会である。
https://senken.co.jp/help/show/38
中止に至った原因は、

当社として出展者、業界各位のご意見もいただきながら維持、発展の努力を続けて来ましたが、諸般の理由で中止に至りました。

とのことだが、恐らく、出展者・来場者双方の大幅な減少によるものだろうと推測される。2000年1月からスタートしたIFFは国内最大級のアパレル合同展示会として業界に広く知られていたが、2010年以降、目に見えて出展者数と来場者数が減少してきた。
そして、昨年4月からはアメリカの大型アパレル合同展示会「MAGIC」と連携したイベントにリニューアルしたが、初回こそ評判はまずまずだったものの、2回目からはやはり出展者・来場者ともに振るわなかった。当方の知り合いも何人か来場し、何社かが出展したが評判はあまり芳しくなかった。
11月に中止の決断が下されたということは、大型合同展示会の開催サイクルから考えると、10月のIFFが終了した直後から来年春の出展社集めが始められたものの、集まりが極度に悪かったのだろうと考えられる。
例えば、IFFの何倍もの規模を持つ東京ギフトショーも閉幕してすぐに半年先の出展者集めが始まる。規模は少し違うが、IFFも似たようなサイクルで出展者集めがなされていたと考えるのが妥当だろう。
当方も何度か来場者としてIFFに訪れたことがあるが、2005年ごろから著名な卸売りブランドの出展が減り始めたという印象がある。
そして2010年以降は有名な卸売りブランドはほとんど出展しなくなり、それと同時に来場者数も目に見えて減り始めた。
その原因についてだが、アパレル企業やファッションブランドのビジネス環境が2005年以降、大きく変わったからだと考えられる。
90年代後半からアパレル企業はSPA化を進めた。
90年代後半にSPA(製造小売り)化で「成功モデル」と持て囃されたのが、ファイブフォックスの「コムサ・デ・モード」であり、ワールドの各ブランドだった。
それまでアパレル企業は、メーカーとしてブティックやセレクトショップへの卸売りが主体だった。それが徐々に直営店を出店するようになったが、バブル崩壊をきっかけに利益率を確保する目的から一斉にSPA化を急速に進めた。オンワード樫山、三陽商会、イトキン、東京スタイル、サンエーインターナショナル、すべて構図は同じである。
これらの大手は2005年頃にはほとんどがSPAに切り替わっていたが、まだ、製造業寄りの中小アパレルは卸売りを行っていた。
しかし、このころから小売店側もユニクロの成功も手伝ってか、SPA化し始めた。大手セレクトショップは利益率確保のために衣料品で言えば80~90%近くも自社企画製品化してしまうし、地域密着の中小チェーン店も自社企画製品を1~3割程度は混ぜるようになってきた。
なぜ、デザインや製造にはド素人同然のセレクトショップや地域チェーン店が自社企画製品を簡単に企画製造できるようになったのかというと、OEM・ODM企業の増殖が原因である。
デザインから製造までを請け負ってくれるODM企業が雨後の筍のように急速に増えた。その結果、カネさえ払えばド素人だってオリジナル製品を作ってもらえるまでに業界インフラが整備されてしまった。
そして今度は2005年以降のインターネットの普及と発達である。
製造業寄りの中小アパレルでさえ、自社ウェブサイトを構え、自社サイト内でオンライン通販を行うようになった。その理由は、卸売り先の減少が挙げられる。
ほとんど疑似SPAと化した大手セレクトショップに卸売りすることはほぼ絶望的になってしまった。また地域チェーン店も自社企画製品が出始め、仕入れの割合を減らしている。
となると、卸売り型アパレルも自衛策として直販を考えるのは極めて当然だろう。
おりしも2005年以降、インターネットが普及し急速に発展してきた。
これまでなら、直営店を出店することは家賃、人件費、什器代、光熱費、通信費、内装代などが必要となる「実店舗」の出店は資金力のない中小アパレルにとってはハードルが高かった。初期費用が捻出できないからだ。
しかし、売上高が稼げるかどうかは別として、インターネット通販なら、実店舗よりもはるかに安く出店できる。ならば、保険の意味もかねて中小・零細アパレルメーカーがインターネット通販を試みるのは当たり前といえる。
仕入れ側もSPA化、卸売り側もSPA化してしまえば、卸売りビジネスのための「合同展示会」に出展者も来場者も集まらなくなるのは火を見るより明らかである。
衣料品関係では、いずれ、これまでの大型合同展はなくなるだろうと考えていたが、ついにその時が来たのだといえる。
とはいえ、疑似SPAと化した大手セレクトショップも完全にSPA化はしていないし、今後もできない。味付け程度・摘まみ食い程度には仕入れ品を必要としている。
またSPA化の道筋も見えない百貨店は基本的に仕入れブランドを必要としている。
この辺りの需要があるから、合同展示会自体はゼロにはならないだろう。
だから、中小規模、ごく小規模な合同展示会は今後も残り続けると考えられるが、IFFに代表されるような何百社も集まるような大型衣料品合同展示会は、今後、ますます減るだろうし、復活することはないと見ている。
50歳手前の初老になると、日々さまざまな事件が起きて、その都度、時代の節目を感じさせられるがIFFという大型合同展示会の中止は、本当に大きな時代の節目が訪れていると感じずにはいられない。
 

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【有料記事】地方百貨店を再生したいなら「ファッション」を捨てよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n56ba091fab93
2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています

 

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