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南充浩 オフィシャルブログ

機能性が劣っているのではなく、販路が間違っているのでは?

2012年9月13日 未分類 0

 先日、久しぶりに肌着メーカーの展示会にお邪魔した。

商品ラインナップの中で「スポーツインナー」「コンプレッションインナー」というジャンルがあった。
トレーニングの時にジャージなどの下に着用する用途で、吸水速乾機能や加圧での筋肉疲労の軽減などの機能がある。昨今、ジョギングなどに着用している人も多く見かける。

で、この肌着メーカーによると、「量販店の肌着売り場で販売しているのですが、あまり売れ行きは芳しくありません」という。企画担当者や営業窓口は「さらに機能性を高める必要があるのでは?」と考えているという。

同行してくれていたスポーツメーカーに明るいライターの樋口尚平くんは
「量販店の肌着売り場だから売れないのでは?ゼビオなどの大型スポーツ専門店へ販路を切り変えたらいかがですか?」と提案していた。

彼の提案ももっともで、イオンやイトーヨーカドーなどの量販店の肌着売り場に、コンプレッションインナーを買いに来る消費者はそれほどいない。
これを着用してトレーニングやジョギングをしている人はかなり専門的にやり込んでおり、反対に初心者はわざわざこれを買わない。

3キロや5キロくらいのジョギングや、室内で軽い筋トレをする程度なら普通のTシャツにジャージで十分である。
地元の公立中学の運動部だって普通のTシャツに半パンでランニングを繰り返している。
こんなインナーをわざわざ買って着用するのは、かなり本格的に取り組んでいる人であろう。
そういう人が、量販店の肌着売り場へ買いにいくとは思えない。やはりスポーツ専門店だろう。
百歩譲っても量販店のスポーツ用品売り場だと考えられる。

だからこのメーカーは、大型スポーツ専門店か同じ量販店でもスポーツ用品売り場に売り先を切りかえるべきなのである。

このメーカーの「機能をもっと高めたら売れるのでは?」という発想はなんだか現在の日本の製造業を象徴しているような気がする。
機能性はこれ以上高める必要はなく、売り場や売り先、販促方法が間違っている。
機能性をさらに高めようとするから、シャープはプリンターにプラズマクラスターを搭載したようなわけのわからない商品を作ってしまうのである。
いくら「プラズマクラスターはシャープだけ~♪」といっても、プリンターにプラズマクラスター機能を求めている消費者はほとんどいないだろう。

加湿器や扇風機、エアコン、換気扇、冷風機、除湿機などに搭載する程度で十分である。

このまま放置しておけば、アクオス付冷蔵庫とかプラズマクラスター搭載の電子レンジなどの珍品が発明されるかもしれない。それはそれで傍から見ている分には面白いのだが。

この肌着メーカーも機能性や品質はもう十分最高域に達している。
販路や販促手法が効果的でないだけだ。

ほかにも透湿冷感の新素材を使ったパジャマも提案されていたが、これとて量販店のパジャマ売り場で販売すれば埋没してしまうだけなので、病院の売店などで販売してみてはどうだろうか?

他社でもこういう事例はたくさんあるのではないだろうか?

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