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南充浩 オフィシャルブログ

産地企業への助成金も考えものである

2012年7月24日 未分類 0

 先日、驚かされたことがある。
某繊維産地の人と話していたのだが、イベントに参加するための費用5万円を商工会議所に補助金申請したというのだ。

大がかりなイベントの一つに合同展示会への出展というものがある。
例えばIFFやルームス、東京ギフトショー、フランスのプルミエールヴィジョンなどなど。
この場合の出展料というものは、国内の展示会だと1コマで30万~40万円くらいする。
フランスのプルミエールヴィジョンはもっと高い。

そこに備品やら装飾品やら専用什器やらを用意すると、国内展示会への1コマの出展でも数十万~100万円くらいにはなる。
その際の費用の補助金を、産地企業が行政に申請することはよくある話だ。
認可されれば全額とはいかなくても半額くらいは支給してもらえる。

経営状態の良くない産地企業も多いので、このくらいの金額なら補助金申請することは理解できる。
自分が経営者でも補助金申請はするだろう。

しかし、某産地の5万円には驚かされた。
売上高が億の単位がある企業活動をしていて5万円の費用が捻出できないはずがない。
自社内で展示会や受注会を開催しても、備品やらなんやらで5万円くらいは軽くかかってしまう。

それと、この産地に5万円の補助金を支給した商工会議所の姿勢もどうかと思う。

それに言ってしまえば身も蓋もないが、5万円くらいは産地のオッサンが一晩で酒を呑む程度の金額である。
宴会には5万円でも10万円でも支払うことには痛痒を感じないが、イベント参加の5万円は支出できないとは企業経営者として行動規範が逆ではないだろうか。

一方、別の産地企業は、自社の生地を使っての製品化を検討し始めた。
これに助成金を申請した。
デザイナーと契約しなくてはならないので、年間に100万円程度は最低でも必要になる。
3年間の認定が受けられたので、デザイナーや企画マンへの支払いを助成金で済ませることができるようになった。
出来上がった商品の在庫は自社で抱えるつもりである。

デザイナーへの仕事の発注のやり方に不安はあるが、本来の補助金・助成金の使い方とはこういうモノだろう。
この産地企業を持ち上げるわけではないが、先ほどの産地企業との意識は雲泥の差である。

産地企業の意識改革がスローガンに掲げられることが多いが、この程度の意識のままでは、到底自立化も体質改善も無理であることを産地企業も行政側も思い知るべきだろう。

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