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南充浩 オフィシャルブログ

ガチャマン時代なんかきれいさっぱり忘れるに限る

2012年7月2日 未分類 0

 繊維産地はどうして目先の好調に一服してしまうのだろうか。不思議でならない。
バブル期のように国中が好景気に沸いているならわからないではないが、現在、消費は伸び悩んでおりたやすく景気が回復する見通しはない。

2010年夏前から縫製業を始めとして、生地製造や染色などの各工程の国内受注が回復しつつあった。
その後、2011年春先までその状況は続くのだが、その2010年に産地では「これで一息つける」と安堵した声が多く聞かれた。

安堵する気持ちはわかるのだが、好調な間に次の手を打つべきではないかと、当時のブログに書いたことがある。
なぜなら、当時の国内回帰は一時的なもので、早晩、中国かそれ以外のアジア地区へ受注は逃げて行くはずだからである。

そして、現在はからずもその通りになっている。

兵庫県播州産地の状況を「繊維ニュース」が特集でまとめている。
産地の現状の一例を見ることができると思うので引用したい。
なかなか詳細にまとめられており、単なるヨイショ記事ではないところを評価したい。

http://www.sen-i-news.co.jp/seninews/viewArticle.do?data.articleId=258602&data.newskey=12934b5500f5567eaaba261aef046f3a

 月次で見ると、10年5月から11年5月までの13カ月間が前年同月をクリアした期間であり、この間はほぼずっと2けた%台の伸びが見られた。

 要因は中国からの生産回帰だった。同国ではこの時期、人件費を筆頭に生産コストの上昇が顕著に表れた。欧米や内需の活発化による忙しさや、縫製工場で人手が不足したことで、納期遅れも頻発した。こうした環境下で、日本のアパレル、商社はアセアン地域などでチャイナ・プラスワンの整備を進める一方、国内生産の見直しを図った。こうして、播州に限らずこの時期の国内産地の多くが久方ぶりの活況を呈した。いま振り返れば、この“国産回帰”は、アパレル、商社による緊急避難的なものだったことが分かるのだが……。

当時は「中国が抱える諸問題は構造的なものであり、この先も続く。だから、国産回帰もしばらく継続する」といった見通しを示す経営者も多かった。しかし、この予想は大きく外れることになる。

とのことである。
まあ、「いま振り返れば」とあるが、いま振り返らなくても分かりそうなものだと思うのだが。

さらに言うなら、なんと都合の良い見通しなのかと驚く。
人間は誰でも「自分の見たい現実しか見ない」ので、致し方ないのかもしれない。
 

 欧米の景気が悪化、中国への生産オーダーも極端に減った。これを受けた中国の生産現場は、一時は敬遠していた日本からのオーダーを躍起になって集め出した。最低ロットを一気に小さくして受注を確保しようとする先染めメーカーも出現し、日本のアパレル、商社もコスト競争力に勝る中国へと再び目を向けた。日本のアパレル市場に蔓延するデフレ傾向がこの流れを後押しした。

(中略)

 生産統計では(2011年)9月が前年同月比6・9%減、10月が2・2%減で、活況だった前年同期と比べて微減を維持していた。11月が13・5%減、12月が12・3%減となり、「これはおかしいぞ」との声が産地を支配していった。

 年明けを迎えてこの流れは一気に加速してしまう。統計でも、(2012年)1月が18%減、2月が21%減、3月が23・4%減、4月が22・2%減、5月が24・5%減と、月を追うごとに悪化が顕著になった。産地では「リーマン後を上回る悪さ」「かつて経験したことがないほどの落ち込み」といった声が上がり、機業段階では高齢化、後継者不足から数年先の廃業を決めていたところがこの悪化を機に“廃業の前倒し”を選択するケースも頻発した。

とのことである。

中国工場も背に腹は代えられない。
本来なら、多品種小ロットで仕上がりもうるさい日本企業のオーダーなど受けたくもないだろうが、欧米ブランドからの受注が減れば、工場のラインを動かすために日本のオーダーも受け付ける。
そうなると、受注が中国へ逃げて行くことになるのは自明の理である。もしくは中国でなくても他のアジア諸国へ逃げるだろう。

なぜ好調な「13か月」の間に何か手を打たなかったのだろうか。もちろん13カ月という期間では短すぎて対策が形になることはないだろう。それでも心構えがあるのと無いのとでは大きくダメージが異なる。

これまで何十年もの間、国内産地は減産に次ぐ減産を繰り返してきた。
もうそろそろ、「あの頃の好況は二度と戻らない」ことを理解すべきである。
ガチャマン時代の栄光なんてものはきれいさっぱり忘れるに限る。

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