ジーンズ専業メーカーの単品ショップは可能では?
2012年5月8日 未分類 0
ボブソンの再建断念の報道があり、ジーンズ専業メーカーはトータルブランド化と直営店出店が必要ではないかと書いたことがある。
この2つのうち、とくに直営店出店の方を急がねばならないのではないか。
ジーンズ専業メーカー各社に「直営店出店しないのですか?」と尋ねると、ほんの3年ほど前までは「ジーンズ専門店チェーンさんとの競合は避けたいので・・・・・・・・(あまり積極的にしたくない)」と返答されることがほとんどだった。
しかし、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの店頭を見てもらえば分かる通り、
メンズは「リーバイス」と「エドウイン」の2ブランドに集約されている。「リー」を相当数そろえている場合もあるが、これも日本国内で製造販売するのはエドウインである。「ラングラー」もそうだ。
レディースだとビッグジョンの「ブラッパーズ」、タカヤ商事の「スウィートキャメル」、ブルーウェイの「エ・ボワット」などがリーバイスとエドウインのほかに加わる場合もある。
はっきりいえば、リーバイスとエドウイン以外のブランドはジーンズ専門店チェーンに気を使う必要など何もないのである。現在取り引きがない、または取り引き量がこの10年で格段に減少している相手に対して「競合は避けたい」もクソもない。
逆に、この数年で直営店(フランチャイズ展開含む)出店を積極的に開始したのは最も専門店チェーンと競合するはずの「リーバイス」と「エドウイン」である。
個人的にはジョンブルのようにトータルブランド化して、直営店出店するのが理想だと思う。
しかし、単品メーカーがトータル化するのはなかなか難しいのも事実である。
ならば単品で直営店という発想も可能ではないだろうか。多少、単品のラインナップを工夫する必要はあるにしてもだ。
パンツ単品のお店というとバリュープランニングの「ビースリー」が思い浮かぶ。
つい先日などはテレビCMまで放映されており、その躍進ぶりに驚いた。
ストレッチパンツ単品でそんなに需要があるのだろうか?と常々考えていたのだが、うまく需要を創造したのだろう。
イオンモールなどのショッピングセンターにもテナント出店しているが、商品の価格は安くない。
以前は7900円が中心だったが、今春物は1万円を越える商品も珍しくない。
店舗数もざっと数えただけで200店舗内外ある。
主要客層は完全にミセス層。おそらく40代以上だろう。
だから比較的高価格でも、一度穿いてみて良かったらリピーターになるのだろう。
単品ショップなので坪数は小さい。5坪くらいが平均である。
ストレッチパンツ以外に、ストッキングやガードル、靴などの下半身周りの商品を展開しており、売り上げ維持のための措置だと推測される。
ただ、これだけの大所帯になるとある程度商品バリエーションを広げて、既存店売上高を維持する必要があるため、当然の流れであろう。
しかし、あくまでも下半身周りの商品に徹しており、ブレてはいない。
さて、この形態がなぜ、ジーンズ専門メーカーから生まれなかったのか不思議でならない。
とくにレディースでそれなりのシェアを持っていたボブソン、ビッグジョンの「ブラッパーズ」、タカヤ商事の「スウィートキャメル」あたりに着手してもらいたかった。
この3ブランドは百貨店への販売比率が高まっており、カジュアルジーンズ以外にも通勤着に利用できるストレッチパンツ類も拡充していた。
また、タカヤ商事は50代ミセスに向けた新ライン「ミセス・ジーナ」を展開しており、発想と工夫次第では「ビースリー」のようなショップを展開できる可能性はかなり高かった。
各社とも卸売り業態にこだわりすぎたことが悔やまれる。
一方で、旧ドゥニームはジーンズ単品ショップを出店して失敗している。
オリゾンティが展開していたころの「ドゥニーム」はジーンズ3型だけの京都店を出店したことがある。
もう10年以上前である。時代が早すぎたのかもしれない。
しかし、ここはジーンズ3型のみという構成が今思うと無茶だった。
顧客層は男性、坪数はかなり広く、おぼろげながらだが50坪くらいは裕にあったのではないか。
失敗の理由はジーンズ3型のみという商品構成、顧客層を男性にしたこと、そして広すぎる店舗面積。である。
毎月同じようなブルージーンズを買い足す消費者の人数はそれほど多くない。
かなり少数しか存在しないだろう。
しかも男性顧客である。さらに少数派だ。
おまけに3型しかない割には店舗面積が広すぎる。
こういう失敗例もある。
私見に過ぎないのだが、ジーンズ専業メーカーがショップを作ると、どうしてもこれと似たような発想になるのではないだろうか。
遅すぎる感は否めないが、各社の積極的な直営店出店に期待したい。