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南充浩 オフィシャルブログ

バーゲン開始時期を遅らせても収益は改善しない

2012年4月25日 未分類 0

 三越伊勢丹とルミネが今夏のバーゲン開始時期を遅らせるということが決定したようだ。
23日付けの各紙で報じられている。

http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20120423/JCast_129977.html

 三越伊勢丹ホールディングスは2012年7月13日から首都圏の主要9店舗でセールを開始するため、現在準備を進めている。東急百貨店も13日から2週間、首都圏の4店でセールを実施。駅直結の商業ビルを運営しているルミネ(東京・渋谷区)も全15店でのセールを7月12日から開始するとした。

バブル崩壊後に前倒しが進められてきたバーゲンセールだが、最近の消費動向は「『暑くなる前に買う』より『暑くなってから買う』という、季節の変動に合うような消費に変わってきている」(ルミネ広報)。時期を遅らせることで「欲しい時に欲しいものが揃っている」状況を作り出すことが各社の狙いだ。

とのことである。

日経新聞は「収益改善が目的」と報じている。

たしかに、季節先取りで買う消費者は減っており、よほどのファッション好きだけである。
大多数の消費者はルミネの広報が言うように体感気温に応じて夏物・冬物を買う。

今年3月・4月の売れ具合を見てもそれは一目瞭然である。
ある百貨店向け肌着メーカーは「今年は寒い時期が長かったので4月の1週目まで保温肌着が好調に動きました」という。
昨年は11月中頃まで25度以上の気温が続いた。
そうすると、当然のことながら防寒アウターは12月まで動かなかった。
12月はすでにプレセール時期であり、20%程度の割引で販売されており定価販売ではない。

だからユニクロが7月中旬にヒートテックを売り場に投入するのを見ると「見ただけで暑苦しいわ」とつい思ってしまうし、1月末に半袖ドライポロシャツが投入されれば「見てる方が凍えるわ」と感じてしまう。
「季節先取りで憧れちゃう~」などという消費者はバブル崩壊とともに消え去ったのだろう。

しかし、である。

セールを7月13日に遅らせたからと言って「収益改善」がはたされるのだろうか?
残念ながらそうは思えない。

少し開始時期を遅らせたからと言って、7月13日まで消費者はよほど欲しい物以外はバーゲン待ちするだろうから、定価販売が増えるとは考えにくい。
さらに、7月13日にセールが始まってもその期間内に全商品が完売することはあり得ない。そのため、例年通り盆明けごろまで残った商品をさらに値下げして叩き売ることになる。
収益はほとんど改善しないだろう。

かと言って、セール早期化を野放しにしておいて、7月末から初秋物や秋物を早めに立ち上げても売れるとは思わない。
なぜなら、体感温度で買う人が主流だからだ。
7月末は暑さもピークである。そんな時期に秋物を早めに、しかも定価で買うのはごく少数のファッション大好き人間くらいである。

セール時期を7月中旬とか7月上旬に戻すという取り組み自体は賛成だが、かなり厳しい状況が待ち受けており「経営陣がどこまで我慢できるか」にかかっているとしか言いようがない。

さて、件の元編集長がこの件について書かれている。
http://ameblo.jp/3819tune1224/entry-11232129843.html

私は元々バーゲンは春夏ものは旧盆以降、秋冬ものは成人式以降と長年言い続けてきた。

でもさあ、自分たちが売れ残りを危惧するためなのか、自分たちでバーゲン時期を早め早めにしていったのは1980年代半ば過ぎからだった。

そんなことをしたら自分で自分の首を絞めることになると言っても、だれも耳をかさなかった。ザマヲみろ自業自得だイイ気味だとさえ思った。

今じゃあシーズン・インの時期からバーゲンやっているのだから。私には信じられないことだが現実。

今ごろになってバーゲン時期を後倒しだってさ。

遅すぎるってんだ!

自分たちの反省なしで、正価販売の期間を延ばして売り上げ増をという安易な考え方ではないか。

百貨店の考えることってこんなものさ。

だってさ、もの心付いた年代からバーゲン早い時期育ちは既に30代半ば以上なんだぜ。今の若者は全員早いバーゲン育ちなんだヨ。

てことは今の若者から高齢者までなんだ。

早い時期のバーゲン買い物を長年してきた人たちに、正価販売を少しでも長くなんて考えたって見込みほど売り上げ増になるとは思えない。

自分たちの冒してきた反省をしてみることから考えないといけない。

とのことである。
まさに「今ごろ遅すぎる」である。遅めのバーゲン開始が再び定着するまで数年~10年くらいの月日が必要だろう。こらえ性のない経営者たちがそこまで我慢し続けられるか、である。
筆者は、おそらく2年か3年で音を上げると予想している。

今後の成り行きに注目したい。
動向ではなく、あくまでも「成り行き」に。

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