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南充浩 オフィシャルブログ

9割の人はネット通販で服を買っていない

2018年9月26日 ネット通販 0

2~3年前からのポジショントーカーやアホな信者、ファッションテック系の軽薄者などの「ネット通販礼賛」がどうにも胡散臭かった。
ネット通販市場は伸びているというのは定説通りで間違いなく、16兆円規模になっている。
この「16兆円規模」を見て色めき立っているわけだが、この中にはすべての商品の売上高が含まれている。当方はこのブログで何度か指摘したがどうしてだれもそれに気づかないのかと不思議でならない。
16兆円の中には衣料品だけではなく、家具、家電、パソコン、携帯、玩具、消耗品、日用品、食品、飲料、書籍などあらゆる商品が含まれている。
それこそAmazonを見ていればわかるだろう。あらゆるジャンルの商品が含まれてあの売上高である。Amazonを見て「ネット通販は急成長しており、だから衣料品も店舗は不要でネット通販一辺倒だ」なんて言ってる人はよほどのお馬鹿さんかポジショントーカーに過ぎない。
そして調べた範囲内では、ネット通販全体の売り上げ規模は統計が出ているが、そのうちわけについては統計がない。16兆円のうち、家電がいくらで書籍がいくらで衣料品がいくらかはわからない。
いろんな経済系の記事を見てもそれは指摘されていない。
だから常々、衣料品のネット通販の総額が知りたいと思っていたら、先日の繊研新聞で推測という形で書かれていた。
https://senken.co.jp/posts/mete-180925

本紙推定によるとファッション商品のEC市場は9500億円。ECによるファッション商品の購入比率も9.8%に達した。

とある。
誤差はあるにせよ、そんなに何千億円も違わないはずだ。
この数字をどうお考えだろうか。
当方は、各社やポジショントーカーが色めき立つほどの大きな数字だとは思わない。
ネット通販市場16兆円のうち、16分の1程度しか衣料品の売上高はない。しかもファッション商品の店舗購入比率は90%強もある。
将来的には衣料品のネット通販売上高は拡大すると考えられるが、「店舗を捨ててネット通販に集中せよ」なんて提言を信用して実行したなら、そのブランドは絶対に失敗するといえる。とくに高額品や大手ブランドは。
筆者にも2~3人のスタッフで衣料品のネット販売を行って生計を立てている知人がいる。たしかに売上高は年々増えており、年商も2億円くらいになっているらしいから、2~3人で食っていくには十分だといえる。
一方、300万人会員がいた某大手通販がアホなコンサルタントの口車に乗って、カタログを一斉に全廃し、ネット通販のみに切り替えた結果、大赤字に陥ったことをこのブログで書いたことがある。大手がいきなりネットに集中するのはこれほどのリスクがあるということである。
ユニクロのネット通販施策が褒められることは多いが、じゃあ、国内ユニクロが店を100店舗くらいにまで減らして、残りをネット通販で賄えるかというと絶対に不可能だろう。
国内売上高8000億円中、仮に、4000億円をネット通販では絶対に賄えない。現時点では。
繰り返すが、9割強の人はネット通販で服を買っていないのが現状で、だから当方はZOZOTOWNの新規会員数がこれ以上増えないと考えている。9割強の人はネットで服を現時点では買ってないし、そのうち何割がZOZOTOWNを認識しているのか甚だ疑問である。ネット民が思っているほどZOZOTOWNの知名度は高くない。
はっきり言って、現時点での衣料品のネット通販は決して「主販路」ではなく、「販路の一つ」に過ぎない。
今後に備えてネット通販を強化するという衣料品ブランドがあるなら、それは正解だが、現時点で「ネット通販に集中する!」というのは小規模ブランド以外は得策ではない。もし、それをお考えの大手ブランドがあるならコンサルタントとファッションテック系の養分にされているだけでしかない。
ではどういう商品がネット通販で買われているのか考えてみよう。
当方が思い浮かぶのは、「重い商品」「実店舗では置いていない商品」「定期的に補充が必要な商品」「スペック表を見ただけで買える商品」などである。
当方の生活でいうなら、
・パソコン
・パソコン機器類とコピー用紙やプリンターインク
・ガンダムのプラモデル
・ビールの詰め合わせ
・大型家具
・販売終了した昔の書籍
などである。
衣料品のネット通販購買順位は限りなく低い。しいて挙げれば、店頭で売り切れていたがネット通販では在庫が残っているユニクロ商品、ジーユー商品くらいである。
衣料品業界の人は衣料品に興味がありすぎるから過剰にクローズアップするのだろうが、一般人の買い方はこんなものである。
繊研新聞は

店を回り、見比べて買うファッション商品でここまでECが浸透してきた。

と書いているが果たしてそうだろうか?当方には「まだ1割弱にしか浸透していない」としか思えない。
そして

ましてやコモディディー品は「近い将来、EC購入が80%を占める」との予測もある

とあるが、じゃあ逆説的に、コモディティーじゃないブランドは実店舗の重要性がさらに増すとまでは言えなくても、現状維持はできるということになる。
そこには試着の重要性だったり、高い買い物だからこそ、販売員から的確で客観的な意見が欲しいということになる。失敗したら捨てても惜しくない値段の商品ではないからだ。
中長期的に取り組む必要はあるものの、「バスに乗り遅れるな」とばかりにアパレルブランドがネット通販に集中することは、かつてコンサルタントに踊らされたチェーンストアオペレーションやSPA化、POSと連動したクイックレスポンス対応、などの失敗を繰り返すだけの愚行であるといえる。
まあ、でもその「深く考えないミーハー気質」がアパレル業界の特色でもあるのだけれど。(笑)
 

NOTEの有料記事もよろしくです。
ライザップグループのアパレル事業が大きく伸びるとは思えない理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n0200a63add2e
 

こんな本もあるから今度買ってみる。死んでないけど死にそうなアパレルは多い。死んでほしいアパレルも多い(笑)

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