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南充浩 オフィシャルブログ

GAPは米国市場以外を失ってもそれほど困らない

2018年9月27日 企業研究 0

先日と言っても、2週間ほど前のことだが久しぶりにGAPに行ったら、12900円くらいのM65をアレンジした綿厚手素材のジャケットが1900円に値下がりしていて、買おうかなあと思ってしまった。
ところで、この割引を見て、「過度な値下げはやめる」っていう宣言はどうなったのかと、店頭で心の中で突っ込んでおいた。
そういえば、ストライプインターナショナルもいつぞや「安売りはやめる」と繊研新聞で宣言していたが、あれから1年半くらいが経過しているがいまだに「70%オフからさらにレジにて30%オフ」とか「80%オフからさらにレジにて20%オフ」を続けているが、安売りはいつやめるつもりだろうか?(笑)
それはさておき。
 
GAPの日本での苦戦の理由はさまざまあるが、最大の理由に「高すぎる定価設定」「大きすぎる割引率」があると当方は見ている。
悪循環を繰り返しているといえる。

定価設定が高すぎるから売れない⇨売れないから値下げする⇨それでも売れないから投げ売りする⇨だから定価設定が信用されない⇨さらに定価で売れない

という悪循環スパイラルをGAPは10何年間も日本で繰り返してきた。
 
日本でGAPに携わってきたという人も何人か存じ上げている。恐らく、この悪循環はとっくの昔に上層部に伝えていると考えられるが、それでも上層部は店頭を見ている限り抜本的な対策を打たなかったように見える。
どうして上陸して23年にもなる日本のスタッフ(元スタッフも含む)がこれほど軽視されているように見えるのかはGAP社の決算を見れば明確に理解できる。
ちょっと古いが2018年1月期連結を見てみよう。

連結売上高は、158億5500万ドル(約1兆7757億6000万円、1ドル=112円換算)の2.2%増
売上高総利益率(粗利率)は38.3%(2.0%増)
営業利益は、14億7900万ドル(約1656億4800万円、同)で24.2%増
税引前利益は、14億2400万ドル(約1594億8800万円、同)で26.7%増
当期純利益も8億4800万ドル(約949億7600万円、同)で25.4%増

となり、微増収大幅増益だった。
各メディアで報道されている通り、理由はオールドネイビーの北米での躍進である。日本ではオールドネイビーは2017年1月に撤退してしまっている。
 
次に地域別の売上高を見てみる。
米国は4・8%増、カナダは8・2%増だったものの、ヨーロッパは7・0%減、アジア(日本含む)は18・2%減と不振だった。
売上高の金額は米国が圧倒的で125億6800米ドル(約1兆4076億1600万円、同)で、カナダが11億7300万ドル(約1313億7600万円、同)となっており、GAP社の売上高のほとんどは米国本国に依っている。
ちなみにヨーロッパは6億4100万ドル(約717億9200万円)にすぎず、日本を含むアジア全域では12億6300万ドル(約1414億5600万円、同)であり、アジア全域に含まれている日本での売上高がどれほど小さいかは数字は発表されていないが容易に理解できるだろう。
 
2010年頃、GAPはアジアの拠点を日本から中国へ移している。しかし、アジア全域の数字を落ち込みを見ていると、その中国でも売れていないと考えられる。数字は公表していないから確実とは言えないが、アジア全域で18・2%減ということは日本での不振を考慮しても中国でも好調とは言えないのではないかと考えられる。
 
こうして各地の売上高を見ると、GAP社からするとアジアやヨーロッパの売上高は、最悪の場合、無くなってしまっても問題ないといえる。ちょっとくらい痛いし痒いかもしれないが、その程度のダメージで済むということである。売上高の8割くらいを占めている米国だけが残ればそれで良いわけである。
 
となると、他地域からの意見などGAP社首脳はあまり考慮しないだろう。当方が首脳でもそうする。
 
米国ではオールドネイビーが売れているように低価格品が好調なのである。なら、低価格品を推し進めるべきである。さらにいうと、アメリカ人は基本的に品質云々よりも安い商品を好むからオールドネイビーは米国人気質に合っている。めんどくさくてイレギュラーな日本人の好みなんて反映せずとも業績は大きく変わらない。そういうことである。
この地域別売上高を見ると、今後もGAPが極小な日本市場で価格戦略を改めることはないだろうと考えられる。
何せ上陸してから23年が経過しているGAPである。30代半ばくらい以下の日本人には「生まれたころからある」ブランドとなっている。そしてその間ずっと「定価は高いが、最終的にタダ同然の値段で投げ売る」ブランドだったのだから、そういう認識がこびりついている。今更、ちょっとやそっと価格戦略をいじっただけでは、日本人の認識は変わらない可能性も高い。
オールドネイビーの撤退が発表されたころには、GAPの国内店舗数は110店だと報道されていた。先日、GAPのウェブサイトから店舗数を数えてみたところ95店になっており、この1年半ほどの間に15店舗減ったということになる。ついでながらバナナリパブリックも店舗数を徐々に減らしている。
恐らく、GAPは今後このまま日本での売上高と店舗数をジワジワと減らしていくのではないかと見ている。GAP社としては米国市場だけが残れば良いのだから。
 

NOTEの有料記事もよろしくです。
ライザップグループのアパレル事業が大きく伸びるとは思えない理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n0200a63add2e

 
そんなGAPの並行輸入をどうぞ~(笑)
 

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