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南充浩 オフィシャルブログ

委託販売が続く限り小規模ブランドは百貨店とは取り組めない

2011年12月20日 未分類 0

 今日は、少し思い出話を。
日本でのオリジナル製品ビジネスがうまくいかずに中国へ行ってしまった知人がいる。
もう2年くらい会ってないし、中国へ渡る前以降の詳しい内情はよくわからない。

その彼が自分のブランドを国内で展開しつつあったころ、百貨店の催事を巡業していた。
期間限定で2週間とか1ヶ月とかで出店して、全国の各百貨店を廻るのである。
その彼がなぜ、期間限定ショップを好んだかと言うと、百貨店は買い取りがほとんどないからである。
百貨店に卸す商売が始まるのは、歓迎すべきことだが、買い取りなしの委託販売であるからシーズン終了時にドカっと在庫を返品される可能性が極めて高い。

大手企業ならそれでも資金繰りは大丈夫だが、彼のようにほぼ個人事務所に近い企業は、ひとたまりもない。
じゃあ、2週間分だけの在庫を持って、今日は○○百貨店。その売れ残りに新しい補充商品を継ぎ足して来月は××百貨店、と巡業した方がマシなのである。

最近、百貨店で「メイドインジャパンを見直そう」とか「小規模ブランドをインキュベートしよう」と提唱する動きがあると聞くが、実際には「買い取りしない」という商形態がある限り、小規模企業が百貨店に卸し売ることはほぼ不可能と断言しても良い。

先日、10年来付き合いのあるデザイナー氏にも某百貨店から「平場に卸しませんか?」と打診があったという。
しかし、デザイナー氏の会社もほぼ個人事務所に近いくらいの規模である。(とは言っても億単位の年商はあるのだが)
当然お断りされた。
筆者はデザイナー氏の選択は正解であると確信している。

百貨店に求められているのは「買いつけ力を強化」するのでもなく、「MD力を強化」するのでもない。それらも必要だが、まずは委託販売のみという商形態を変えることである。商形態が変われば、先のデザイナー氏も取り引きを開始するし、そのほかにも「ぜひやりたい」という小規模デザイナーズブランドや、産地発のファクトリーブランドはいくらでも現れる。

今の委託販売を温存したまま、まず先にブランド集めに奔走しても、徒労に終わるのではないだろうか。

先日、大丸梅田店を取材した。
その際、「百貨店の主要客層である50代、60代と今の40代以下では買い物に行く店がまったく異なる」と言われた。具体例を挙げると、ユニクロである。

大丸梅田店13階には今年3月にユニクロが入店した。
筆者のような低所得者からするとユニクロは行きつけの店という感じなのだが、大丸梅田店の贔屓筋である50代・60代顧客は「初めてユニクロを見た」「初めてユニクロで1枚買った」という人が予想以上に多いのだという。

これから考えると、百貨店が主要客層である50代・60代を大事にするなら、カジュアル強化や「デニム拡充」は難しいのではないかと思う。
「百貨店でデニム」という打ち出しは2005年のプレミアムジーンズブームが最後ではないか。
あの当時はOL層が百貨店でデニムを買ったが、今の百貨店でデニムを買うのは50代・60代がほとんどだと見える。だからこそ、タカヤ商事の50代女性向けのジーンズブランド「ミセスジーナ」がそこそこに堅調なのだろう。

今の20代OLは、トレンドの影響からデニムを穿いていないし、よしんば買うことがあってもそれは百貨店ではない。

となると、委託販売というハンデを抱えた百貨店が、産地工場のファクトリーブランドという要素が強いジャパンデニムを打ち出すことに対して、その効果には疑問を抱かざるを得ない。

もちろん大丸梅田店のように50代以上にも、30代・40代のファミリー層にもという二兎を追う店作りは可能である。しかし、それを実現できるのは、今までの百貨店と高額ブランドの商習慣に染まった人たちではないと思うのだが、皆さんはいかがお考えだろうか。

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