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南充浩 オフィシャルブログ

アパレルと小売店の過剰生産を規制するだけでは衣料品廃棄問題は解決できない

2018年9月19日 産地 0

長いことブログが更新できずにいた。 理由はサーバーに侵入されてデータが改ざんされて書き込みができなくなったからだ。なかなか回復させられず、サーバーを移転してやっと回復させることができた。 もちろん当方はそんな技術はないからスタイルピックスさんに移転させてもらった。
やれやれである。 その際、デザインも一新してもらった。 心機一転またよろしくお願いします。あんまり更新できていないので、体調を壊したとか死んだとか心配されてしまっていたが、更新したくてもできなかったというのが実際である。 更新できなかった間は、NOTEで更新していたので、またNOTEの分をこちらに転載する。
https://note.mu/minami_mitsuhiro
良ければこちらも覗いてもらいたい。
まあそんなわけで何とか復活できた。
このブログをライブドアブログから移転させてもらってちょうど1年になるが、こんなトラブルが起きるとは思ってもみなかった。ヘテムルというサーバーなのだが、まさか侵入されてしまうとは。改めてインターネットの恐ろしさを知った。
今日はリハビリもかねて手短に書いてみる。
最近は、売れ残りの服の処分がクローズアップされている。地球環境を考えたら、廃棄はなるべく減らすのが理想的だといえる。
これまで、アパレルや小売店は機会損失を恐れて、もう間に合わないのに売れ筋を追加生産することが多かった。いくらクイックレスポンス対応とはいえ、追加生産すると最低でも3週間くらいはかかるから、店頭に入荷するころには気温が変わっていたり、季節が変わり始めていたりする。
その結果、売れ筋は死筋になって不良在庫になる。
これが今までの構図だ。
例えば、今夏のジーユーでもこんなことがあった。
レーヨンかモダールかの素材の無地半袖開襟シャツが結構な売れ行きだった。7月の上旬に期間限定でたしか990円だか790円に値下がりした。その際、もう色とサイズが不ぞろいだったので相当の人気商品だったと推測される。
通常ならそこで売り切って終わりなのだが、その後、何週間かすると全カラーが追加補充されていた。
定価は1490円だったと思う。まあ、恐らくはあまりの売れ行きに大急ぎで追加生産したのだと思うが、補充追加後、何回か店頭を見ていると、あまり動いていない。
もちろん、専属で張り付いて枚数を数えているわけではないから、正確ではないが、目分量ではあまり減っていない。明らかに7月上旬とは異なっていた。
結論からいうと、売り逃しを恐れての追加生産だと思うが、逆に追加生産しなかった方が良かったのではないかと思う。
もし、7月上旬で売り切れとなって、その後、追加されなかったら売り逃しになったかもしれないが、来年同じ商品を投入したら、去年買い逃した人が買うのではないだろうか。
結局、シーズン末期に無理に追加補充したところで、よほどのブーム商品でない限り、売れ行きは時期を逃すと続かない。
ジーユー、ユニクロは最終的に長期間投げ売ってでも処理するからまだしも、これを他のアパレルが同じことをやれば良くてせいぜいがアウトレットに放り込むくらいで、あとは廃棄かバッタ屋に下げ渡しである。
これの積み重ねが在庫の廃棄問題となっている。
時期に関していえば、自分が消費者なら3週間後にそれを買うかどうか考えてみればよいのである。自社の商品ということでバイアスがかかりやすいが、極力客観視すればいい。若い頃はできにくいかもしれないが、40代くらいになったら自社バイアスを排除して考えることくらい可能だろう。
そして廃棄問題はここでは終わらない。
今の報道だとアパレルや小売店が適量発注すればそれで終わるという風潮だが、結局、製造加工の段階にそのしわ寄せがいく。
もちろん適量生産している工場はあるがそうではない工場も多い。特に中国や東南アジアの大ロット工場は多大な損失を被るだろう。
ロットが小さいと馬鹿にされていた国内工場は比較的損害は軽微だろうと考えられるが、それでも損失を計上する国内工場も珍しくないだろうと考えられる。
どうしてそうなるかというと、このブログで何度も書いているように、衣料品、生地の製造工場も加工工場も大量生産が前提なのである。
洋服や生地の値段が産業革命以前よりも引き下げられたのは、大量生産の仕組みができたからである。そして工場はロットが大きければ大きいほど品質は安定する。これは機械も繊維も衣料品も同じである。
この前提で、機械を使って製造加工しているのが工場である。
もちろん、ミシンを踏む縫子さんの問題が~なんてことはあるが、それでも手縫いなんていう工場はほとんどないし、ミシンを人が操作する以外はかなりの部分が自動化されて効率化されている。
より多く早く縫えるように、加工できるように、生地製造できるように、工場は作られている。国内も中国も東南アジアも。
農作物だって作りすぎれば値崩れを防ぐために廃棄しているから、当方は何が何でも衣料品の廃棄をゼロにせよとは思わない。いくらかの量は必要悪みたいなところがある。
それでもモラルタカイ系の人やイシキタカイ系の人が、廃棄はけしからんというのであれば、製造加工のシステムを変えることから手を付けねばならない。アパレルブランドや小売店に作りすぎを規制するだけでは根本的な問題は何も解決しない。
これが現実である。

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