「安くて良い商品」が好まれるのは日本も英国も変わりない
2018年7月2日 トレンド 0
「安い物ばかり売れる日本の現状は嘆かわしい」とか「デフレの日本は衰退している」とか、その手の言説が多く聞かれるが、「安くてそこそこ良い物」が売れるのは日本だけではなく、世界共通ではないかと思う。
当方は仕事でなければ海外に行かない。
旅行自体がそんなに好きではないし、実際のところ海外に行かねばならない仕事は来ない。
だから海外にはまったく行っていない。
海外からの記事を読んで理解しているのだが、例えば、記事を読む限りイギリスの消費傾向も日本と変わらないと感じる。
老舗大手が100店閉鎖!英国を襲う消費激変
ネットだけが敵じゃなかった
https://toyokeizai.net/articles/-/227314
5月、老舗小売り大手「マークス&スペンサー」が、2022年までに100店舗を閉鎖すると発表し、英国内に大きな衝撃が走った。1884年創業の通称「M&S」は国内で約6万人を雇用する小売業で、海外30カ国のフランチャイズ店を含めると約8万人が働く。
低迷の理由は、一言でいえば「市場の競争に負けた」こと。その端的な例が、主力の衣料品販売の不振だ。M&Sといえば英国人が真っ先に思い浮かべるのは、家族全員の下着がそろい、多くの女性が心をときめかすようなデザインで、かつ価格も手ごろな衣料品がそろっていることだ。
調査会社「グローバルデータ」によれば、衣料品販売市場でM&Sが13.5%のシェアを占めてトップの座に君臨していたのは1997年。今でも首位の座はかろうじて維持しているものの(7.6%)、その後ろには僅差(7%)で廉価の衣料販売チェーン「プライマーク」が控える。
とある。
日本には進出していない低価格トレンド衣料品ブランド「プライマーク」に猛追されて、マークス&スペンサーの衣料品はシェアを落とし続けている。
支持されているブランドが異なるだけで、低価格トレンド衣料品ブランドが支持を集めているのはイギリスも日本と変わりないということである。
小売業界の危機の原因は何か。筆頭に挙げられるのは、インターネットの影響だろう。各小売業はオンライン上のライバルと本気で戦わなければならなくなった。
たとえば、衣料品小売り「ネクスト」は年間収入約40億ポンドの半分近くをオンラインショッピング部門に投資している。しかし、先のM&Sの投資額は4億ポンドで、経営陣はサイトがまだ十分に使いやすくなっていないことを認めている。
とあり、このマークス&スペンサーのネット通販の遅れぶりはちょうど、日本では、しまむらグループの遅れっぷりと重なるところが多いように感じる。とはいえ、たしか「プライマーク」もネット通販はあまり熱心ではなく、この辺りの関係はどうなのだろうと、記事を読みながら疑問を持った。
ネット通販がすべての売り上げ不振を解決するとはまったく思わないが、何事を調べる際にもまずはネット検索から入るから、企業やブランドにはウェブサイトが必須となる。
そして、インターネット草創期なら、手作りのホームページでも問題なかったが、これだけインターネットが浸透し、各種サービスが立ち上がれば、そんな手作り感満載のホームページでは相手にされなくなる。
それ相応の専門家に対価を支払ってウェブサイトを構築してもらうことが必要となり、ウェブへの投資は不可欠といえる。
このあたりも日英同じといえる。
さらに以下の部分も日英ともに変わらない。
百貨店というビジネスモデルそのものへも疑問が呈されている。かつて、その特徴は「ありとあらゆる品物が1つの屋根の下でそろう」ことだったが、オンライン・ショッピングが普通になった今、これだけでは弱い。また、百貨店はこれまでファッション衣料に主眼を置いてきたが、「可もなく不可もない」品ぞろえになりがち。それより今は、より個性的で、手ごろ感がある安いブランドが人気だ。
賃金の上昇率はインフレ率より低いため、過分所得が減少している。
英国の小売業界で最も窮地に陥っているのは、価格帯が中間にある小売業やマス市場を狙う小売業だ。逆に、元気がいいのは付加価値付きの商品市場か廉価市場にいる小売だ。
「ファッション衣料偏重の百貨店の苦戦と安全パイ商品蔓延による同質化」「可処分所得の減少」「低価格品と高付加価値品の二極化」これらすべて日本で言われていることがそのままイギリスでも起きているといえる。
今の日本人は「日本衰退論」を好み、欧米やアジア諸国への憧憬を語るが、この記事が事実だったとすると、イギリスの消費傾向だって日本の現状と変わらないということになる。
日本にいようが、イギリスに移住しようが、小売業の立たされている状況は変わらない。
そして、この傾向は各国共通ではないかと思う。
どこの国民だって、安くて良い物が欲しいし、便利なところで買い物をしたい。それは変わらない人間の性質だろう。
結局のところ、自虐論は日本国内のビジネス弱者たちが自国をディスって自慰しているだけではないだろうか。
こんな環境だから俺たちが売れないのは仕方がない。
そう言いたいだけではないのか。
そういうビジネス弱者はイギリスに拠点を移したとしても結果的には同様にビジネス弱者にしかならないだろう。
なぜならば、消費動向の根源は日英変わらないからだ。
もちろん、国民性の違いによる嗜好の違いはあり、日本では弱者にしかなれなかった商品が、イギリスでは人気商品になる可能性はある。
しかし、その嗜好の違いによる商品への支持以外では、日本でのビジネス弱者が海外に出て一発逆転できる可能性はゼロだといえる。
安くて良い物が選ばれるという消費者心理はどの国でも共通しているからだ。
売上高を増やすには、客単価を上げるか買い上げ客数を増やすか、その両方を実現させるか、のどれかを実践するしかない。
そのどれもへの努力を怠っているビジネス弱者ブランドの売上高が低迷し続けるのは何の不思議もないし、そういうブランドは海外に逃避しても決して売れることはないだろうと、今回のイギリスの記事を読んで改めて感じた。
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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2
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