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南充浩 オフィシャルブログ

苦し紛れの思い付きで専門外の商品を扱ったって絶対に成功しない

2018年6月29日 企業研究 0

先日、某大手SPA企業の中の1ブランドのOEM(実態はODM)を担当している方とお会いした。
その企業が抱えるブランド群はこのところそろって不振で決算は大幅減益となっている。
またインターネット通販を見ていても、タイムセールの連発や2点購入割引などの値引き販売が続いており、在庫を捌くためになりふり構わない様子が見て取れる。
その方の担当しているブランドは、少し前から200円くらいのボールペンやノートなどの文具も販売を始めており、洋服販売の不振を何を使ってでも穴埋めしたいという姿勢が露わとなっていた。
ところがさらに驚くことに、このブランドは秋口からシャンプーやヘアワックスなどの販売も計画しているという。
これが事実なら、最早、そこまで手を出さなければならないほどに洋服の販売は不振を極めているといえる。
しかし、これは苦し紛れとしか言いようがないし、恐らく成果は出ないだろうと見ている。
なぜなら、シャンプーやヘアワックスなどの整髪剤を洋服ブランドの店で買う理由がないからだ。
コンビニでも販売しているし、今は隆盛を極めるドラッグストアでも販売している。
しかもドラッグストアは幾分か割引販売している。
さらに言えば、行きつけの美容室やヘアサロンでも買える。
美容室やヘアサロンでは通常のコンビニ、ドラッグに置いていない整髪剤を買える。
こうなると、洋服の店で「わざわざ」整髪剤を買わねばならない理由は何一つない。
ナショナルブランドの割引品が欲しければドラッグに、定価のナショナルブランドが欲しければコンビニに、価格は高いがコンビニにもドラッグにもない本格商品が欲しければ美容室に、という消費行動となり、そこに髪についてズブの素人だった洋服店が入り込む余地はまったくない。
そして、シャンプーなどのその手の商品は無印良品でも売っている。
これだけ強力なライバルに挟まれていて、活路があると思う方がおかしい。
よほど市場の現状を見ていないのではないかと思う。
近年、ライフスタイル提案型ショップが流行っているが、多くの洋服ブランドは洋服店の域を越えられていない。
餅は餅屋という言葉があるように、洋服屋は洋服屋でしかなく、その壁を乗り越えることは並大抵の努力ではできない。
だから多くの場合は、洋服にバッグ類と靴を数点ずつ置いてお茶を濁しているが、通常の洋服ブランドではそれが限界なのである。
無印良品のように、洋服から住宅、インテリア、食品、整髪剤などライフスタイル全般を網羅したブランドを構築することは至難の業で、無印良品も30年近い歴史を積み重ねてたどり着いており、苦し紛れの思いつきで追いつけるレベルでは到底ない。
唯一、シャンプーやヘアワックスが売れる可能性があるなら、コンビニにもドラッグにも美容室にも置いていない希少性の高い商材を集められた場合だけだろう。
それとてもプロモーションが上手く行っての話であり、プロモーションは必ず成功するという類のものではない。
また店構えも無印良品のごとくトータルライフスタイル提案にふさわしいものが要求され、通常の30坪とか40坪程度の洋服店にシャンプーの棚を1つ作りました程度では売れるはずがないし、このSPA企業の過去からの実績を顧みると、シャンプーの棚を1つか2つ作ってお終いとなるのが関の山である。
こんな当たり前のことがなぜわからないのか不思議でならない。
それとも負けるとわかっているがやらざるを得ないほどに洋服の販売が不振を極めているのか。
もちろん、何事もトライ&エラーを繰り返すことでしか成功しない。
頭でわかっているがやってみなくては実際のところは理解できない。
このブランドが将来的に「真のライフスタイルブランド」を目指すという覚悟があるのなら、今回の取り組みは第一歩となるだろうが、そこまでの覚悟があるのだろうか。
何年間もの試行錯誤を繰り返して投資を続けるだけの覚悟があるのだろうか。
外野から見ていると、失礼ながらそこまでの覚悟は感じらない。
余談ながら、この大手企業は最近会議が頻発しており、毎週月曜日から水曜日までの3日間が会議だといわれている。
会議をすべて否定するわけではないが、毎週3日間もの会議は必要なのだろうかと疑問に思う。
1か月で12日間も会議に費やしており、それこそ生産性が著しく低いのではないかと思う。
一般的に、長い会議を頻繁に行う企業は業績を伸ばすことができない。
とくにアパレルでそういう企業は必ず退勢となる。
苦し紛れでの思いつきの異分野商材の取り扱い、長時間会議の頻発、と、この大手はかなり危うい状況にあるといえる。
過去20年間の経験則だけでいうと、こうなった企業はほぼ間違いなく凋落した。
だから、この大手が凋落する可能性は高いのではないかと個人的に見ている。
文具には東急ハンズとか雑貨専門店、100円均一、コンビニ、無印良品という強力なライバルがひしめき合っている。
整髪剤にもコンビニ、ドラッグストア、美容室、無印良品などの超強力なライバルがひしめき合っている。
どちらの分野も生半可な覚悟と投資では戦えないことは誰が見てもわかりそうなものである。
毎月12日間もの会議を繰り返しながら、何を見てどう分析してその答えにたどり着いているのだろうか。
まったく理解不能である。

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