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南充浩 オフィシャルブログ

「ストーリー性」しか持っていないブランドは長続きしにくい

2026年4月2日 企業研究 0

洋服も靴も変態的コレクターマニアの人以外は、着用するために買う。

ブランドステイタスやイメージ、ストーリー性も重要だが、デザイン性、それ以上に着用しての快適性が必要になる。住居も同様だろう。

なんぼブランドステイタスが高く、イメージが良くてストーリー性があっても、デザイン性がイマイチで、それ以上に着用していてしんどい物なら一定数以上は売れないし、売れたとしてもリピーターにはなりにくい。1回買ってお終いである。

 

 

2023年に「スニーカーブームは終わった」と叫ばれたものの、依然としてスニーカーは売れているし、何なら老人層はほぼ全員スニーカーを履いている。要するに「ナイキのレア物高額転売ブーム」が終わったに過ぎない。オン、ホカ、アシックスあたりのスニーカーへの注目が高まっているし、久しぶりにプーマも話題に上りつつある。

特に、オン、ホカ、アシックスはランニング向けスニーカーが牽引している印象が強い。一口にスニーカーと言っても、デイリーユースならそこそこの長距離を歩くことが楽な物が好まれる。だからこそランニングスニーカーは好調なのだろうし、ウォーキング用、トレッキング用も重宝されるのだろう。それらのデザイン性が良ければ、デイリーにファッションアイテムとしても使用される。

デイリーファッションに使える上にそこそこの長距離を歩いて疲れにくい。これがマス層に求められるスニーカーなのだろうと思われる。

 

 

 

同じスニーカーでもバスケットボール用やテニス用、フットサル用などは現在ではファッションアイテムとしては話題に上りにくくなっていると感じる。

理由はデザイン性に問題があるのではなく、長距離を歩くことに適していないからだろう。これらは競技の特性上歩くことには適していない構造となっている。だから、デザイン性がカッコよくても、我慢が嫌いな人がデイリーユースにするには不向きである。そしてマス層は我慢が嫌いである。当方も嫌いだ。

 

 

デイリーユーススニーカーが支持され続ける優先順位として

1、歩いても(立ち続けても)足が疲れにくい

2、デザイン性

ではないかと思っていて、ストーリー性とかブランドステイタスとかイメージは3位以下になるだろう。

 

 

さて、その基準に照らし合わせたときに、そうでないブランドが淘汰されるのは当然の帰結といえる。

苦戦の「オールバーズ」、62億円で事業売却 一時は“シリコンバレーの制服”と呼ばれ一世風靡

 

ついに「オールバーズ」が会社を売却し、清算も視野に入れているという。

苦境が続いていたサンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)は3月30日、全ての知的財産および一部の資産と負債を、アクセサリーメーカー兼ブランド管理会社のアメリカン・エクスチェンジ・グループ(AMERICAN EXCHANGE GROUP以下、AEG)に3900万ドル(約62億円)で売却することを発表した。清算も視野に入れた今回の取引は株主の承認を経て6月末までに完了する見込みで、金額は調整する可能性があるという。

 

とのことである。

 

経緯を簡単に引用すると、

2015年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインのスニーカーが世界中で人気を博し、17〜18年ごろには“シリコンバレーの制服”と呼ばれるほどIT起業家や投資家たちにヒットした。これを受け、アパレルやアンダーウエア分野にも進出。21年11月には米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)し、時価総額はおよそ40億ドル(約6360億円)だった。22年12月期をピークに業績が悪化。

とある。22年以降、業績は右肩下がりを続け、先日、米国内の全店舗が閉鎖になったばかりである。

 

2018年前後にシリコンバレーの「イシキタカイ系経営者」たちに持て囃され、そのピークは3年続いたということになる。そして22年末に急落、そのまま一度も浮上することなく3年後に売却となったわけだが、その理由について記事では

専門家らによれば、これはシューズの耐久性が低くスポーツやランニングに向かない、アパレルの吸汗性が悪いなどの問題が次第に表面化した結果だという。

 

とのことで、スニーカーなのに耐久性が低くスポーツにもランニングにも適さないなら、そりゃリピーターは生まれない。おまけにデザイン性も平凡に過ぎない。それならそこら辺のスリッパを履いているのとなんら変わらない。

 

ちょうど18年に買った人が買い替えるタイミングが21年か22年だろう。21年に最高業績だったということはスニーカーに加えて、アパレルの売上高も含まれていたと考えられるが、そのアパレルとてスポーツイメージなのに吸汗性が悪いのであれば、そこら辺のノーブランドの綿100%の安いTシャツと何ら変わらない。18年以降に買った人がちょうど買い替える時期が22年に多く到来しており、使い勝手と快適性の悪さから、リピートされなかったと考えられる。

 

 

これがドレスやフォーマルブランドなら吸汗性の悪さもスポーツに不向きであることは全く問題にはならなかっただろうが、オールバーズはスポーツイメージを打ち出している。スポーツイメージでスポーツに不向きなブランドなんてリピーターが生まれないのは当たり前の話である。

結局、オールバーズというブランドは天然成分由来素材使用というエコのストーリー性しか持っていなかったといえる。

 

 

置き物や銅像、絵画などではなく靴と服は「着用してなんぼ」である。ストーリー性しか持っていない脆弱なブランドなんて売れ続けるわけがない。オールバーズの失速から破綻による身売りは極めて当然の結果である。

 

オールバーズは引き継いだ会社が再建を目指すようだが、スポーツイメージを維持したいなら機能性の担保は必要不可欠だろうし、逆にエコのストーリー性は全く要らないだろう。現在、人気が高まっているオン、ホカ、アシックスは高機能性が評価されている一方で、過剰なエコストーリーは打ち出していない。オールバーズを買収した企業はその辺りを考慮すべきだろう。

あと、明らかに末期だった24年6月に国内独占販売契約を結んだゴールドウインの目利きは何かがおかしかったのではないかと思う。

 

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