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南充浩 オフィシャルブログ

スニーカーはとっくの昔に老人層も履くようになっているという話

2026年3月12日 トレンド 0

先端層にいる人と大衆層にいる人では目線が違うと改めて感じた。

もちろん、どちらにも一長一短があるのでどちらが優れていてどちらが劣っているということではない。しかし、先端層が仕掛けるプロモーションなり販促なり分析なりが、大衆層に全く通じないということは少なからずある。それは日常的な目線の違いにも原因の一つがあるのではないかと思える。

 

 

アトモス創業者・本明秀文の“ノット”スニーカーライフ「おじさんおばさん革命」

例えば、このコラム。

多くのブランドが若者のトレンドを追い続ける中、本明さんがニューヨークで目にしたのは、中高年層がけん引する一種のスニーカーブームだった。物価高騰と少子化が進む今、若者のパイを奪い合う戦略は本当に正しいのか。

(中略)

でも結局、ニューヨークでも「オン(ON)」や「ホカ(HOKA)」は、本当によく売れている。しかも目立つのは、おじさん・おばさんの購入が多いこと。店内がおじさんとおばさんのお客さんで溢れていて、体感では5分に1足くらいのペースで動いている感じ。「オン」も「ホカ」も、おじさん・おばさんのファッションのスイッチに火をつけたんじゃないかな。

 

とのことで、ニューヨークでもオン、ホカのスニーカーはおじさん、おばさん世代に結構売れているという話である。

この記事を書いた人の気持ちを推測すると「スニーカーは若者世代が主要顧客であるはずなのにおじさん・おばさん世代が買っていて、変化の兆しを感じる」というものだろう。

 

 

 

当方は海外旅行はおろか国内旅行すら嫌いなので、当然米国市場のこれまでの雰囲気は体感したことがない。しかし、これまで何度か書いてきたように日本ではスニーカーはすでに老人層にまで浸透しきっている。

日本市場と照らし合わせた場合、このニューヨーク市場での購買傾向というのは何も驚くことはなく、極めて当たり前ではないかと思える。逆に、国内市場での老人層の着用比率の高さを見ていなかったのかと不思議でならない。

 

 

 

当方の住んでいる地域の老人層も、大阪市内で日々見かける老人層もほとんどがスニーカーを日常履きにしている。どうだろう、体感比率だと9割前後ではないかと思う。

着用されているブランドはさまざまだが、明らかに「スニーカー」なのである。50年前の老人層はほとんどスニーカーを日常履きしていなかった。せいぜい、老人クラブのスポーツ大会に参加する時くらいだっただろう。

幼少期の祖父母の姿を思い返してみてもスニーカーなんぞを履いていたことがなかった。当時、彼らは「ズック」と呼んでいたが。(笑)

 

 

当方は老人層の生態には全く興味が無い。興味が無いからこれまで彼らの着用している物などしげしげと観察したことが無かった。当然、今も老人層の生態には全く興味が無いが、亡父の代わりに近所づきあいを始めるようになってからことさらに観察せずとも着用物が目に飛び込んでくるようになった。

そうすると、これまで祖父母世代のイメージしかなかったが、今の老人層のスニーカーの着用比率の高さに驚いてしまったわけである。そういう目で大阪市内で歩いている老人層を見てみると、やはりスニーカー比率は異様に高いことに気が付いた。

 

 

冷静に考えてみると、ビジネスシューズもどきとかパンプスに比べるとスニーカーは全般的に圧倒的にソールのクッション性が高い。その一点だけで、足腰・膝が弱っている老人層がスニーカーに流れるのは当たり前である。

「足腰・膝は痛いけど我慢してストレートチップを履く」なんてそんなマゾみたいな老人はほとんど存在しない。

 

 

 

少し前に、靴・履物小売市場規模の推移をまとめたが、今回も流用すると、2020年度からコロナ禍の影響で靴の全体の市場規模は低下している。コロナ禍が終わった24年度でも19年度よりも低い水準にとどまっている。

だが、スニーカーを含む「スポーツシューズ」というカテゴリーは19年度以降、年々増加しておりコロナ禍の三年間でも伸び続けている。

 

在宅ワークがこの期間に増えたことから、通常の革靴やパンプスを履かずにスニーカーを履いていた現役世代・若者世代も増えたことだろうが、それだけではなく、当方は老人層に年々スニーカーが浸透し続けてきたことも含まれるのではないかと思っている。

 

 

 

現在の日本で最多人口を誇る団塊世代はすでに70代、最年長者はもうすぐ80代に到達する。

この団塊世代の大半以上がスニーカーを履けばどれほどスニーカーの売上高が増えるかは想像に易い。現在、ファッションメディアではファッションの文脈で語られることが多いオン、ホカだが、すでにシルバー人材センターで仕事を請け負っている老人ですら履いていることがある。勤務中に履いているのだからファッション性で選んでいるのではなく、軽量やクッション性の高さといった機能性で選んでいるのだろう。

とっくの昔にスニーカーは若者だけの物でも、ファッショニスタだけの物でもなくなっていたというのが我が国スニーカー市場といえる。そして、それを冷静に捉えられたスニーカーブランドだけが長く生き続けることができるだろう。決して若者に焦点を当てることが悪いと言っているのではなく、「若者だけ」に焦点を当てすぎることが現状と一致していないと言いたいわけである。

そして、恐らく米国も同じような消費動向になっているのではないかと推測している。

 

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