本業の落ち込みをリカバリーウェアで埋めるのは難しいのではないかという話
2026年2月25日 決算 0
業界内では異様な盛り上がりを見せているリカバリーウェアの新規参入だが、昨年11月には、はるやまも新規参入を果たしている。
はるやまは決算も芳しくなく、主事業であるメンズスーツの需要減少の穴を埋めるために多角化している途上にあるが、その一つの方策としてリカバリーウェアに参入していると思われる。
はるやまHDの営業赤字が21億円に拡大 疲労回復ウェア「ヨクネル」で巻き返しへ
紳士服大手のはるやまホールディングスは2月13日、2026年3月期の第3四半期決算を発表した。売上高は220億9000万円(前年同期比2.3%減)と減収。営業利益は21億2500万円の赤字(前年同期は9億4700万円の赤字)、親会社株主に帰属する四半期純利益も23億9300万円の赤字(同9億7800万円の赤字)となり、いずれも赤字幅が拡大した。
まだ第3四半期だが、結構厳しい業績である。売上高が2・3%しか減少していないのに、営業損失は前年同期よりも12億円弱も増えている。
昨年6月には不正アクセスによるシステム障害が発生し、その処理が生じたという不運もあったが、それを抜きにしても厳しい数字である。
主事業であるメンズスーツの需要減少を止める手立てはハッキリ言って無い。職場の服装規定がカジュアル化した以上、わざわざ好んで従来型スーツを着用し続けるという人は少数派である。むしろ変態的マニアと言っても過言ではない。
だから、その落ち込みを埋めるためにも事業の多角化は必須である。同じ業態の青山商事、Aokiはほぼ多角化に成功しており、メンズスーツの需要減少を飲食などの他分野事業で埋め合わせる体制がほぼ整っている。
しかし、はるやまとコナカはいまだにほぼメンズとレディーススーツ、一部カジュアル衣料品に特化しており、他分野の事業がほとんど無い。(皆無ではないが)
飲食などの他分野のノウハウは一朝一夕に社内に蓄積できるものではないから、はるやま、コナカは中長期的に腰を据えて取り組む必要はあるが、急務はメンズスーツの落ち込みを埋める手立てである。
他分野はおいそれと短期間に収益化することは難しいから、必然的に衣料品にならざるを得ない。その一つがリカバリーウェアということになったのではないかと推測している。
主力はビジネスウェアだが、同社は事業ポートフォリオの再構築を急ぐ。2025年11月にはリカバリーウェア市場に参入し、疲労回復ウェア「ヨクネル(YOKUNERU)」を発売。さらに、リカバリーウェアで先行するTENTIALの「バクネ(BAKUNE)」をはじめとする商品を扱う専門店「ドラッグウェア(DRUG WEAR)」を出店するなど、ウェルネス領域の拡大を図っている。
とのことで、オリジナルリカバリーウェア「ヨクネル」のほかに、リカバリーウェア専門店「ドラッグウェア」も出店しているとのことで、その挑戦は評価すべきだと思うが、これが大きな収益の柱に育つのだろうかという根本的な疑問を感じてしまう。
まず懸念は、ヨクネルの価格である。
公式サイトによると上下セットで14900円(税込み)となっていて、前回紹介したイオンのEXセリアントよりも4000円くらい高い。
個人的にはEXセリアントでもちょっと高いと感じるのに、ヨクネルはさらに高いと感じてしまう。同等の価格帯なら先行する他のリカバリーウェアブランドでも十分だろう。
当方が、高額なリカバリーウェアに懐疑的な目を向ける理由は、リカバリーウェアの効能には一切数値化された説明が無いからである。無いというより出せないのだろうと思う。
数値化されたデータが示せない以上、最安値商品かそれに類する価格帯商品で十分ではないかと考えるのは極めて合理的な判断ではないか。
これがファッション衣料なら話は別で、効能以外にもディテールとかシルエットとか、何ならブランドの雰囲気とかを評価してわざわざ高い方を買うという選択肢もあるが、リカバリーウェアは所詮は機能性商品でしかない。その看板である「機能性」が数値で示せない以上、低価格商品が選ばれやすくなるのは自明の理だろう。
個人的には、リカバリーウェアの市場の大多数をワークマンが獲得し、ニトリがそのおこぼれにあずかるのではないかと見ている。
もちろん、先行している高価格ブランドはそれなりに顧客を維持するだろうが、これから新規入門する消費者はまずワークマンかニトリ商品を手にするのではないかと思う。
このはるやま、イオンの価格設定を見ていると、1万円未満の販売価格におさめているAokiと宝島社の企業努力を痛感してしまう。
さて、はるやまの通期見通しだが、
通期の連結業績予想は、売上高375億円(前期比3.8%増)、営業利益6億3000万円(同0.7%増)と小幅な増収増益を見込む。ただし純利益は5億円(同25.4%減)と減益予想で、広告宣伝費や設備投資の負担が続く見通しだ。
とまとめられているが、残り3ヶ月で21億円の営業赤字を補填して、なおかつ6億円の営業黒字を獲得するのはかなり難しいのではないか。
それにしても、今後リカバリーウェアはワークマンの価格が基準になり、一部のステイタス性を確立したブランド以外は価格競争を余儀なくされると見ているが、どうだろうか。
お知らせやご依頼がありましたら、インスタグラムにDMを送ってください。