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南充浩 オフィシャルブログ

ますます飽和状態に近づいているリカバリーウェアという分野

2026年2月24日 トレンド 2

小規模ブランドでの成長、小ヒット商品は衣料品業界にも少なからずあるが、マス層に売れる大ヒット商品は衣料品業界ではほとんど見当たらない。

唯一、大ヒット商品と目されるのがリカバリーウェアだろう。ただ、どの価格帯もすでにレッドオーシャンと化しているように、外野からは見えているが、プレイヤーにはそう見えていないのだろう。新規参入や強化拡充がまだまだ止まらない。

先日、ニトリの新規参入が発表されたが、今度はイオンが強化拡充を発表した。これは飽和状態に達するのも時間の問題と思われるが、後日また別途触れるかもしれないが、はるやまも強化を打ち出している。さらには既報だが、ワークマンが大幅増産して2000万点を今年投入する計画も発表されている。

 

 

さて、そんな状況だが、流通ニュースがワークマン、イオン、ニトリの3社のリカバリーウェア施策をまとめてくれている。

イオン、ワークマン、ニトリ/リカバリーウェアに本格参入、高級品の半額以下で勝負

 

以前にニトリは紹介したので、今回はイオンについての部分を重点的に紹介する。

2018年から休養をサポートする「セリアント」を使った衣料品を展開していたイオンも、今春リカバリーウェアのラインアップを広げ、市場に本格参入する。

同社は、アメリカのホロジェニックス社が開発した数種類の鉱石を練りこんだ「セリアント」を使用した商品を2018年から販売。一般医療機器の届け出も行っていたが、法改正があり、一時期は一般医療機器をうたった商品を展開していなかった。

2025年12月に改めて、一般医療機器の届け出を行ったリカバリーウェアのトップバリュ「EX セリアント」のインナーを発売した。2月20日からはルームウェアも販売開始する。長袖Tシャツ・ロングパンツ各5478円、半袖Tシャツ4378円。

一般医療機器の届け出のないセリアントシリーズと合わせて、2026年度は2025年度比10倍、2030年度には100倍の売り上げを目指している。

 

とのことである。

あまり覚えられていないと感じるが、イオンは2018年に血行促進衣料として「セリアント」を発売している。当時は法改正されていなかったため、一般医療機器の名称を付けずに発表された。昨年秋に発売された靴のヒラキの「血行促進パジャマ」と同じ立ち位置で、これが本来のこの分野の指定席だった。

当方は当時あまり注目していなかったが、2022年末以降にリカバリーウェアが立ち上がった際、某合繊メーカー社員は「セリアントがなかなか良い商品だ」とほめていたことを思い出す。

今回は、一般医療機器の名称をつけて「EXセリアント」として発売を開始するわけである。

 

 

 

記事では3製品の価格を表にまとめてくれているので引用して貼り付ける。

 

表にせずともわかるのだが、ワークマンとニトリがほぼ同価格なのに対して、イオンの「EXセリアント」は高い。上下セットで買えば11000円弱になる。

イオンというと、低価格というイメージが強いが、EXセリアントに関していえば高価格帯に属する。価格競争力はワークマン、ニトリに比べると低いと言わざるを得ない。

また、EXではない普通のセリアントもあるが、普通の前開き開襟シャツタイプのパジャマ上下セットが税込み7480円なので、それでもまだワークマン、ニトリよりは高く、Aokiと宝島社のリカバリーウェアより1500円くらい安い中価格帯だといえる。

CELLIANT(セリアント) | イオンスタイルオンライン 衣料品・暮らしの品をネットでお買物

 

 

 

 

現在、一般医療機器の名称が付けられたリカバリーウェアはだいたい3つの価格帯に分けられる。

1、上下セット1万円以上(バクネ、りらいぶなど)

2、上下セット1万円以下(7000円台~9000円台、Aoki、宝島社など)

3、上下セット5000円以下(ワークマン、ニトリ)

 

という3つの価格帯に別れている。

圧倒的に枚数を売るのは上下セット4000円弱のワークマンでニトリがそれに後発で追随しており、この価格帯は2社でほぼ寡占しているといえる。まあ、もっともニトリの売れ行きが明らかになるのはこれからのことになるが、ワークマンはすでに昨年秋から200万点以上の販売実績があるから、この価格帯のマス層のニーズ自体は大きいことは証明されている。

 

 

雪崩を打ったようなリカバリーウェア分野への新規参入は個人的にはあまり理解できない。とはいえ、大ヒット商品には追随するのは衣料品に限らずどの分野でも当たり前のことである。しかし、最も理解できないのは後発組みが上下セット1万円以上の高価格帯に突っ込むことである。

生産コストを積み上げると1万円以上の価格になってしまう、というのが大きな理由の一つだろうとは思うが、そもそもバクネなどの先行商品があり、そこそこに知名度も高まっている中、後発組がそこに突進したところであまり売れないのではないかと思われる。これが必需品とか、機能性が数値化されてわかりやすいなどの背景があれば話はまた別で、「うちのリカバリーウェアは血流量が〇〇%増えます」と説明することで後発組でも高価格帯での販売競争に勝ち残れる可能性はあるが、現実はそうではない。効果を数値化で説明しているリカバリーウェアは知る限りでは存在しない。

いずれも「ふわっとした」雰囲気で販売されているに過ぎない。そんなイメージ勝負の市場に後発で突っ込んだところで先行ブランドから客を奪うのは難しいのではないかと思える。

さらにいえば、高価格帯のパジャマ需要なんて市場規模が限られているから新規参入が増えたところで、少ないパイを分け合うことしかできない。

 

 

今回のイオンの「EXセリアント」も高価格帯に属する。イオンも「衣料品事業は、価格戦略と高付加価値商品の2軸で進める」と記事中でも説明しているが、正直なところ、低価格のイメージが強いイオンに高付加価値商品を求めている消費者がどれほどいるのだろうと疑問しかない。もちろん、高価格への挑戦は不可欠だが、最も必需品でない分野でしかも先行ブランドが多数あるところに勝算は薄いと思えてならないのだが。

 

リカバリーウェアは今後、ワークマンとニトリの価格帯がマス層となるだろう。よほどのイメージ戦略を打ち出した商品以外は、ワークマンと比較されて買われないという未来が高確率で待ち受けていると考えられるが、それでもまだ新規参入するのだろうか。

 

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2026/02/24(火) 12:38 PM

    リカバリーウェアの「一般医療機器(クラスI)」というのは「届出制」で審査は無いそうですね。
    厚労省からは、健康への効用を表示する場合は、試験データと専門家の評価が必要と言われているようです。

    でも、厚労省は
    【一般医療機器の定義は「副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの」である。すなわち、一般医療機器(クラスⅠ)とは、人体への影響がごく軽微であるものを対象とする分類であるため、その使用目的や効果においても、使用者への影響はごく限定されたものであることが前提となる。】
    とも言っているので、やっぱりプラシーボなんじゃないかと?

    高齢者のほうがプラシーボ効果は高いらしいので、商品としては良い狙いなのかも?w

  • イトウチュウ より: 2026/02/24(火) 3:35 PM

    気になるニュースを見た(南氏もご存じであろう記事)
    『大阪文化服装学院は、26年4月に校名を「ヴォートレイルファッションアカデミー」に変更し、独自路線を切り開き、世界基準でより高みを目指す。これまで築き上げてきた文化服装『学院の連鎖校としての関係を維持しながら、唯一無二の服飾専門学校へと改革する。』
    とある。
    衰退してきた学校の再起であろうことは間違いないが、どうだろうこれでまた(東京)文化服装に箔が付くと言った感じになるのでは
    記事にはいろいろと書かれてはいるが、毎日学校の前を通る者としては気持ちはわかるが、寂しくもある。

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