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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店の衣料品売上高は「食料品」「雑貨類」と同額程度になったという話

2026年1月27日 百貨店 0

先日、2025年1月~12月までの全国百貨店売上高の年間速報が発表された。

めんとくさいので、まとめてある記事を引用紹介する。

《めてみみ》25年の百貨店売上高 | 繊研新聞

 

日本百貨店協会が発表した全国百貨店の25年売上高は、前年比1.5%減の5兆6754億円だった。インバウンドがけん引した前年の反動が表れた。国内客売り上げは0.1%減の5兆1087億円だったが、免税売上高が12.7%減の5667億円となった。

特に2~7月に前年割れを強いられた。最大の要因は24年に過去最高を記録したインバウンドの減速。急激な円安進行が落ち着いた8月以降は、ほぼ前年並みに回復した。

上半期に苦戦したもう一つの要因は、ラグジュアリーブランドなど高額品の価格改定に伴う駆け込み需要の反動だ。特選や時計・宝飾品は24年1~6月に値上げが集中し、高額品(特選、時計・宝飾品)の売り上げ構成比は大幅に高まった。高額品に偏重したMDバランスの変化による特殊要因が影響した。

商品別売上高は衣料品が2.2%減で、婦人服が1.7%減、紳士服が3.9%減。化粧品は1.3%増美術・宝飾・貴金属は3.1%増となり、国内客が売り上げを下支えした。

 

とのことである。

 

速報値なので、後日微修正が入るかもしれないが数字はそれほど変わらないだろう。

 

 

全国百貨店売上高は、24年に前年比6・8%増と回復したが、25年は1・5%減となり横ばいから失速したという感じである。全国の百貨店店舗数も順調に減り続けていることもあり、今後、百貨店売上高が6兆円台に回復することは、よほどの何か大きなブームのようなものが起きない限りはあり得ないだろうと思う。

それよりも全国百貨店店舗数は今後、減ることはあっても増えることは無いので、大きく売上高が伸びる要素は皆無に近い。

 

百貨店協会のリリースにはさらに項目ごとの詳細が一覧表となっている。

zenkokunenkan2025pp.pdf

 

記事でも触れられているように、衣料品は全部門で前年減となっている。特に紳士服は3・9%減で、他の衣料品部門よりも下げ幅が大きい。いかに今の男性が百貨店で衣料品を買わなくなったかが如実に示されている。

一方、伸びているのが、記事中でもあるように化粧品と美術・宝飾・貴金属、それから、その他雑貨である。

 

この需要から考えられることは、ある程度の女性層と一部の男性層の化粧品支持は根強く、富裕層は衣料品よりも宝飾類に主眼を置いていると考えられる。

さらに、各部門の売り上げ構成比を見てみると興味深い。

メディアが百貨店商材として取り上げがちな衣料品の構成比は前年比2・2%減の26・5%しかない。かつては40%あったと言われるが、今では30%を下回り、25%ほどにまで低下している。

食品の構成比は前年比0・4%減の25・7%で衣料品とほぼ変わらない。

 

そして化粧品や宝飾類、その他雑貨を合わせた雑貨の構成比は前年比2・2%増の22・1%に達している。

 

 

実額、構成比ともに衣料品がトップであることは変わらないが、食品や雑貨と大差ないのが現状である。そして売り場に立っている人間からすると、平日でも日銭が稼ぎやすい食品や化粧品の方が、ボウズの日も多いであろうと思われる衣料品よりもはるかにやりがいがあるし、資金繰りにもありがたい。

平日でも衣料品は売れることはあるが売れないブランドも多い。その点、食品と化粧品は平日でも確実に売れる。

 

 

こうなると、ファッション衣料品に強いとされている伊勢丹新宿店や阪急うめだ本店などの一部の店舗以外は食品、化粧品、宝飾類などを強化した方が効果的だといえる。

全国百貨店の統計なので、店舗によっては食品と化粧品が売上高を支えているケースも決して珍しくないだろう。

 

 

これまでから何度も食品強化について書いてきたが、ファッションビルのみならず、百貨店でも一部店舗を除いて強化すべきは食品、それから化粧品だといえる。

 

 

個人的には、商品単価が衣料品よりもはるかに安い食料品が、トータルでは衣料品と同額程度を売ることにすさまじい回転率の高さを感じる。

百貨店衣料品が決して不要だとは言わないが、多くの業界人やその他が感慨を込めて「大衆層の百貨店支持」を訴えているが、大衆層が支持しているのは百貨店衣料品よりも百貨店食料品だといえる。

 

 

底辺庶民たる当方の身の周りで考えてみると、自分へのご褒美とか、何かのちょっとした記念とか、気分転換のプチ贅沢とか、そういう理由をつけて百貨店で食料品類を買う人は多々いる。しかし、それらの理由で百貨店で服を買うという人はあまりいない。

食料品はスーパーに比べて高いが、それでも2000~3000円も出せば何か特別な一品は手に入る。それに比べると衣料品はもっと高額な支出をしないと買えない。衣料品への支出優先順位が相対的に下がっているご時世において、百貨店で衣料品を買う人は年々減っていて、逆に庶民の手の届くプチ贅沢として食品が支持されているといえる。

 

それに食品は食べてしまえば無くなるので、短いスパンで何度も買うことになるため、一度買うと何年も使える衣料品よりも頻繁に庶民が買いに行くことになってしまう。

 

閉店危機に見舞われている地方・郊外の不振百貨店は食品を最重要商材として強化すれば効果的ではないかと思う。

 

 

 

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