商業施設の効果的な販促施策は飲食とエンタメの強化という時代になったという話
2026年1月21日 売り場探訪 0
先方の事情で掲載までに時間がかかったがやっと掲載された。
「服を売るだけ」には縛られない…3年でテナント半分を刷新「SHIBUYA109」が仕掛ける「服を売らない場所」の正体 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
今回は、珍しく109のインタビュー取材をさせてもらった。
今回のインタビューで最も印象的だったのが、記事中にもあるように2014年ごろから飲食とエンタメの強化を開始することで、109の来館者数が徐々に好転し始めたという点にある。
ご存知のように90年代後半から2000年代前半にかけて、ギャルファッションブランドを集積することで一躍人気の商業施設となった109だが、2000年代後半くらいからギャルブームの終焉とともにメディアへの露出が減少し始めた。
そこから好転するための模索が始まったわけだが、その方策の一つが飲食とエンタメの強化だった。恐らくは様子を見ながら失敗したら方向転換するつもりだったのではないかと、当時の心境を推測しているのだが、これが的中して徐々に来館者数が回復し始めたという話である。
当方は人情の機微に疎く、最新トレンドにもさっぱり興味の無い人間なのであの当時、そういう解決策は提示できなかった。当時身の周りにいた業界人の多くもその提案はできていなかったと記憶している。
いかに衣料品を売るか、どうすれば衣料品が売れるか、そんなことばかりを考えていたと感じている。
しかし、2020年代になると、さすがの魯鈍な当方ですらファッション衣料品一辺倒では消費者のニーズはつかめないと判別でき始めるようになった。
むしろ、消費者の支出優先度合としては衣料品は低位に位置するようになってしまっていると気が付く。
実際に、2010年代以降に新開業した商業施設や改装された商業施設の多くは、飲食やエンタメのテナント数を格段に増やしている。
よほどファッション衣料品に強い商業施設しかファッションブランドの積み増しは行っていない。
また、以前にも書いたようにファッション一辺倒と思われがちな百貨店ですら、全体の売上高は衣料品と食品がさして変わらない。衣料品の売り上げ構成比率が落ちて食品の売り上げ構成比率が高まっている。
例えば、昨年11月に掲載された記事だが、
HEPファイブ、4~10月全館売上高1.5%増 アイドルや映画とのタイアップ企画が奏功 | 繊研新聞
大阪・梅田のHEPファイブ(運営は阪急阪神ビルマネジメント)の25年4~10月累計全館売上高は前年同期比1.5%増で、増収が続いている。日本や韓国のアイドルやアニメ、映画とのタイアップ企画の強化や、キャラクターや〝推し活〟グッズの期間限定店が貢献している。
とある。
大阪でもいわゆるエンタメとのタイアップ企画や強化によってHEPファイブは4月から10月までの売上高を堅調に推移させている。
改装中の大丸梅田店だが、空いたフロアにはルクアサウスとしてキャラクターグッズ売り場が展開されることがすでに決定している。
また、以前も書いたが、関西万博終了後にあべのハルカスに万博グッズ店が期間限定で開設されたが、長蛇の列ができる日もあるほどに集客力を発揮している。
これらの動きを見ていると、デベロッパー側からも消費者側からもキャラクターグッズへの強い関心が伺える。
マス層が行列を作る光景は、衣料品でいうと、2020年秋の+Jの復活の時くらいである。マニア層が特定のブランド店で小規模な行列を作ることはあるのだろうが、大々的には報道されにくい。
2014年の時点で、109にどれほど強い確証があったのかは今となっては不明だが、マーケティング調査などの結果、飲食とエンタメの強化に踏み切ったことは現在からすれば正解だったということになる。
実際、衣料品ブランドでもアニメコラボ、ゲームコラボ、飲食店コラボが当たり前の商材の一つになりつつある。アニメコラボ、ゲームコラボの衣料品は理解できないではないが、例えば「餃子の王将」みたいな飲食チェーン店とのコラボ衣料品は何が良いのか、個人的にはさっぱりわからないが、それでもあちこちのブランドから頻発するということはそれなりに消費者から支持されているのだろうと思われる。
今後、国内衣料品市場は、マス層向けブランドは飲食、エンタメといかに密接な取り組みをするのかがさらに重要な要因になるのではないかと思う。
かつて、90年代後半に特定の「ギャル」というファッションで一世を風靡した109が再浮上するきっかけとなったのが飲食とエンタメだったというのが、その流れを証明する事実ではないかと思えてならない。