2026年の景況見通しは「横ばい」だが節約志向は強まりそうという話
2026年1月6日 トレンド 0
2026年も始まったわけだが、各メディアでは年初にちなんで、景気に関するアンケート記事が掲載されている。
個人的には、景況感は昨年横ばいではないかと思っている。急激に良くなることは考えにくいし、急激に悪化することも考えにくい。
繊維・衣料品業界の景況感も同様で昨年並みだろうと思っている。もちろん「勝ち組」と呼ばれる好調企業はあるだろうが、それは少数派で大多数は横ばいから微減という感じで推移するのではないかと見ている。何より、マス層の興味が衣料品に強くは向いていない。食やエンタメを優先する嗜好性は変わらないどころか、さらに強まるのではないかと思っている。
さて、まず繊維ニュースの業界アンケートである。
「横ばい」軸も警戒感 | THE SEN-I-NEWS 日刊繊維総合紙 繊維ニュース
繊維関連企業の多くが2026年の景況を「変化しない」と見通している。本紙が昨年11月に繊維関連の有力企業のトップを対象に実施した恒例のアンケートでは、117社から回答を得た。設問は「繊維産業の景況」「サプライチェーンの持続性」――など。物価高や円安、気候変動、国際環境の不透明感が重なり、心理は昨年以上に慎重さを強めている。アンケートの設問1「26年の景況見通し」で「変化しない」と答えた割合は54%となり、前年の59%から5ポイント低下した。「好転する」は17%と前年の16%から1ポイント増え、「悪化する」は29%で前年の25%から4ポイント上昇。横ばいを軸に、警戒感がやや強まった構図だ。
繊維各社の見方を総合すると、消費環境は依然として回復力に乏しく、26年も「大きく好転も悪化もしない」状態が続くとの予測が中心。「消費者の購買行動が選択的になっており、先行きが不透明」(オンワードホールディングスの保元道宣社長)、「節約志向が続くことが想定され、景況感の好転は期待しづらい」(丸紅の渡辺一道ライフスタイル部門長)といった声が聞かれ、力強い実需が見えにくく、節約志向の定着によって慎重な姿勢が目立つ。
とのことで、業界の各トップの見方は概して極めて妥当だろう。
最低賃金や時給も上がっているものの、食品を含めたすべての価格が総じて上がっており、節約志向は続かざるを得ない。価格据え置きの商品や企業もあるが、それらに対して消費者が殺到している状態が強まっていると感じる。
余談だが、これまで毎年百均で真空パック入りの小さい鏡餅を年末に買っていた。110円である。鏡餅の上にプラ製の橙か干支マスコットが乗っている。
昨年末、同様に百均で買おうと思ってダイソーとキャンドゥを見て回ったが、どの店も土台の鏡餅だけになっていまっている。110円の価格を維持するためにはプラ製の橙か干支は乗せられなくなったということだろう。
一方、食品スーパーではプラ製橙か干支が乗った物が税込み400円で売られていた。ナンボ何でもいきなり4倍高い物を買うのは抵抗があったので、ギリギリまで悩んでいたところ、たまたまホームセンター「コーナン」に行く用事があったので、鏡餅を物色するとプラ製橙か干支が乗った小サイズが税込み213円で売っていた。
餅だけの110円は味気ないが、食品スーパーの400円は高すぎると感じられるので、コーナンの213円はちょうど良い価格で迷わずそれを買った。

今年もこういう消費パターンが当方に限らず、大衆層は増えるのではないかと思っている。
続いてこのアンケート記事である。
【生活者にきいた2026年】景気予想「悪くなる」は45.2%、お金をかけたいもの1位「ふだんの食事」、2位は「旅行」、3位は「貯金」 | ネットショップ担当者フォーラム
調査は2015年から毎年秋に実施。毎回、全国11都市圏に住む20~69歳の男女3900人に、翌年の景況感やお金の使い方などを聞いている。
博報堂生活総合研究所が全国の生活者を対象に実施した「生活者にきいた“2026年 生活気分”」調査によると、2026年の「世の中の景気」は「悪くなる」が前年比7.5ポイント増の45.2%となり、2015年の調査開始以降で最大となった。「良くなる」は前年比1.5ポイント減の9.3%、「変わらない」は同6.0ポイント減の45.5%だった。
とのことだが、見出しに少しの悪意があると感じられる。確かに景気が悪くなると答えた人は7・5ポイント増なので増えていることはたしかだが、45・2%にとどまっている。変わらないと答えた人は6・0ポイント減っているものの45・5%なので「悪くなる」と答えた人よりわずかだが多い。ならば見出しとして「悪くなる」を優先するのは個人的にはいかがなものかと思える。
先に紹介した繊維ニュースの記事のように「横ばいを軸に、警戒感が強まった」と表現するのが最も適切ではないだろうか。
それはさておき。
そういう横ばいから悪くなるという景況見通しの中で優先的に支出したいと思っているのが、1位「ふだんの食事」というのが興味深い。食は健康や生命を維持するのに必須ということもあり、やはり強い。
2026年に「お金をかけたいもの」の上位は、1位が「ふだんの食事」で23.1%、2位が「旅行」で22.5%、3位が「貯金」で19.0%。前回調査で3位だった「ふだんの食事」が1位に浮上した。 「ふだんの食事」については、「今年(2025年)お金をかけた」が39.1%だったのに対し、「来年(2026年)お金をかけたい」は23.1%で、16.0ポイント低くなった。食品など物価高騰の影響を受けつつも、食という身近な分野で支出を抑制しながら、工夫して楽しみを見出そうとする生活者の意向が見られた。
とのことで、2位の旅行は「コト消費」の表れだろう。そして3位は堅実に貯金である。貯金は本当に大事である。
この記事の中に15位までのグラフが掲載されているが、「外出着」は12位と昨年同位となっている。ただ、2025年は9・7%あったのに対して、2026年は6・5%に減っている。元々が少ないのにさらに3・2ポイントも減少してしまっている。
いかに支出先として優先されていないかが伺える。
景気が上向けば、とか、可処分所得が増えれば、とか、そのような声も業界関係者から聞こえてくることはあるが、当方はそうは思わない。景気が上向いて手取りが増えて可処分所得が増えても、洋服への支出はさほど増えないだろう。増えた分は食や旅行、貯金に大部分を回すのではないかと見ている。
そのような消費志向を踏まえた上での売り方、見せ方を繊維・衣料品業界は考える必要がある。