マス層の優先支出先がファッション衣料品ではなくなったことが鮮明化した2025年
2025年12月26日 トレンド 0
今日で、仕事納めとなる会社も多いのではないかと思う。
販売・接客はまだまだ仕事は続くだろうが、金融や官公庁以外の民営バックオフィス系はほとんどが27日から年末休暇に入るのではないだろうか。
そんなわけで、今年を振り返ってみるわけだが、衣料品業界においては大ヒット商品はあまり見当たらなかったと感じる。
数量ベースでの最大のヒット商品はワークマンのリカバリーウェア「メディヒール」だろう。昨年20万点を販売し、今秋は211万点を販売した。12月から来年2月にかけては400万点以上の店頭投入を計画している。
90年代、2000年代のファッション関係の〇〇ブームを記憶している世代からすると、2020年代はコロナ禍の数年間があったとはいえ、大ヒットと呼ぶには物足りない程度の売れ行きしか存在していないのではないかと思う。
かと言って、消費全般が冷え込んでいるわけでもない。映画やイベント、アニメなどは歴史的な大ヒットが生まれていて、繊研新聞のこのコラムにはかなり賛同できる部分が多い。
節約志向が強まったが、消費全般に低調だったわけではない。「ミャクミャク」ほか様々なキャラクターコンテンツが国内外の幅広い客層に支持された。『鬼滅の刃』『国宝』ほか映画のヒット作も目立った。当初、集客が心配されていた大阪・関西万博に「はまった」人も多く、一般客の来場者数が2500万人以上となった。
とある。映画で言うと、「鬼滅の刃」は邦画史上最高の興行収入である400億円をたたき出しているし、「国宝」は実写の邦画史上最高の興行収入を記録している。ここでは触れられていないが、アニメ映画「チェンソーマン レゼ編」も100億円の興行収入で大ヒットといえる。
一方、多額な製作費や知名度の高さにもかかわらず、興行収入が爆死した「チャオ」「果てしなきスカーレット」「宝島」などの映画も産まれたから、大ヒット作と爆死作の格差が激しくなった1年だったということもできるのではないかと思う。
万博に関しては、当初の予想を覆して大ヒットだったといえるが、当方は夏の暑さと人混みが極度に嫌いなので、どんなに好評でも端から行く気がなかった。
万博人気に関して言えば、万博が10月に閉幕して以降、あべのハルカスに万博オフィシャルストアが期間限定で開店しているのだが、これがいつ見ても1時間待ち、2時間待ちの行列ができている。
もちろん、毎日見ているわけではないが、天王寺に行くと必ず見るようにしているので相当頻度は高いのだが、それでもいつ見ても長蛇の列ができていて、万博の紙袋をぶら下げた人たちが歩いているので、相当の売れ行きではないかと思われる。
以前にも書いたが、梅田大丸には万博開幕と同時に5階にキャラクター売り場が半年間開設されたが、これも毎日通ったわけではないが、梅田に行くたびに立ち寄るようにしたが平日昼間でもフロア全体がごった返す客入りが続いていた。当方の目当ては「ガンダムベース」で、コンスタントな混雑ぶりは群を抜いていたものの、イベント内容や発売する新商品によっては他のキャラクターショップの方がガンダムベースよりも混雑していたことも珍しくなかった。
一方、同じ大丸梅田でも5階以外の平日昼間の客入りは、デパ地下食品と通路代わりの1階を除いては閑散としており、その落差は対照的だった。
このような世相を見ると、マス層の興味はサブカルやイベントを志向しており、ファッション畑の人々が力説するようなファッション系には全く向いていないということがわかる。(コアなファッションファンは別として)
例えば、万博に行く人が多いのはわからないではない。しかし、万博閉幕後に何時間も並んでまでオフィシャルストアで万博グッズをわざわざ買いたいという心理は当方にはあまり理解できない。
とはいえ、お金が無いからファッション衣料品が売れないという主張は成り立ちにくいと当方は感じる。
万博オフィシャルストアやキャラクター売り場で大量に買い込むだけのお金を多くの人は持っている。鬼滅の刃、国宝、チェンソーマンの映画を何度もリピートして見に行くだけのお金も多くの人は持っている。
持っているお金を「いわゆるファッション衣料品」にはあまり使う気が無く、映画やキャラクターグッズ、万博グッズになら使いたいという大衆が増えているのだと考えられる。
支出先のメインとなる事柄が「ファッション衣料品」ではなく、映画やイベント、キャラクターグッズなどをメインに据えるという人が増えているということだろう。
当方とて、すでに衣料品はあまり買わなくなったし、狙っていた物が売り切れてもそれほど悔やまない。しかし、ガンプラの新商品はほぼ毎回、開店前に並んで買っている。生活必需品・食料品以外の買い物の優先順位は明らかにファッション衣料品よりもガンプラになっている。
消費意欲の衰えたジジイたる当方の購買パターンが必ずしも世間一般に広く当てはまるとは思わないが、そういう傾向は広がっていると感じられてならない。
映画やキャラクタ―グッズ、ガンプラなどがこのままの勢いを維持し続けるかどうかは不明だが、ファッション衣料品消費が2000年代までのように優先支出先に返り咲く確率は、今後もかなり低いと個人的には見ている。それを踏まえて各ブランドは販売戦略を構築すべきではないかと愚考している。