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南充浩 オフィシャルブログ

売上規模の大きさだけで優良な市場と判断するのは間違いという話

2025年12月4日 ネット通販 0

あくまでも当方自身の感覚でしかないが、そろそろネット通販というものに多くの人が慣れてきて、使い方が決まったのではないかと思う。

当方や平素付き合いのある人の買い方を聞いていても、だいたいルーティンな商材やサービスを購入している場合が多い。新しい〇〇というのをネットで衝動買いしてしまったという話をあまり聞かない。

以前から紹介しているように、ネット通販全体の売上高の伸び率も緩やかになってきており、ある意味で浸透しきってきたといえる。

 

 

ネット通販に限らず、草創期というのは売上高自体が小さいからブームが起きると倍々ゲームで売上規模が拡大し続ける。

しかし、売り上げ規模が一定基準に達すると同じペースで成長することは不可能になるため、伸び率が緩やかになる。これはすべての商材・サービスにおいて共通である。

国内のネット通販市場はもう倍々ゲームの時期は終わり、サイトごとの優勝劣敗の格差も開き始めており、全体としてはジワジワと伸びるかどうかというフェーズに入ったと見た方が正しいだろう。

 

 

今後は好調なサイトもあれば逆に前年割れを続けて消え去るサイトも出てくる。要は実店舗と同様の動きがさらに目に見えて顕著化すると考えられる。

当方はそれが正常な状態だと思っているから国内市場に対して何の不満も無いが、業界の中には中国のネット通販市場の表層だけに羨望を抱く人が少なからずいて呆れ果てるばかりである。

 

 

中国のネット通販市場の売上高の大きさはよく話題に上って羨望する輩が多いが、中国市場に精通していてしかも現実主義者の賢明な人は、必ず「返品率の異様な高さ」を指摘して、中国ネット市場が美味しいばかりではないことを指摘される。

まあ、国内人口からGDP統計から正確さが存在しないのが中国という国なので、返品率の高さも恐らくは正式な統計データは存在しないだろうと思われる。

ただ、その一端は報じられているし、もちろん国内メディアも日本語で報じている。ただし、何の自主規制かはわからないが大きく喧伝されることはあまり無いのだが。

 

 

例えば最近だとこんな報道が続いている。そんなに大きな扱いではないが。(くどい)

活況・中国独身の日商戦「通販返品9割超えも」 売れるほどデフレ圧力 – 日本経済新聞

独身の日商戦の販売額は16億元(約320億円)でも返品率はなんと95%……。前年のセールでは広州日報など中国メディアが報じた米高級ブランド、ラルフローレンの返品率の高さが話題を呼んだ。

とあるが、これは前振りで、後段に実際の現場の数値が報道されている。

市場では「ノルマのためにテレビを100台購入してイベント終了後にキャンセルした事例もあった。消費動向を探るデータとしては全く参考にしていない」(日本在住の日本と中国株に詳しい市場関係者)と手厳しい指摘もある。

返品になった商品はどこに向かうのか。顧客重視のメーカーや小売りでは再梱包してアウトレットモールで販売したり、セール向け商品などに転用したりするケースが一般的なようだ。対面販売よりも割安なネット通販での販売額が大きくなればなるほど返品が膨らみ、お買い得品が増える。まさにデフレがデフレを呼ぶ構図だ。海外のセールで販売されたら「デフレの輸出」とも言えそうだ。

 

24年に香港市場で上場申請した自動で商品の受け取り・発送ができる宅配ロッカーを手掛ける豊巣網絡の目論見書では、ネット通販の返品発送に伴うサービスの売上高は23年までの2年間で10倍となり、売上高全体の4割までに成長。全体の黒字浮上に貢献したという。

さらに同社は28年までの返品発送の成長率が年20%と、通常の顧客受け取りの2倍を見込む。運送費の価格競争が業績の重荷となる物流会社にとって返品ビジネスが成長のけん引役の一つとなっている。

とある。要するに配送業者の返品発送に関する売上高が急増しているというわけである。いかに中国のネット通販の返品率が高いか、である。

 

逆にネット販売業者は返品されないための対策を次から次へと打ち出しており、「特大の返品禁止タグ」を商品、特に衣料品に取り付ける販売業者の様子を紹介するYouTube動画が数多くアップされている。

 

 

例えばこれ。

 

単なる市井のユーチューバーではなく、世間的にはまだ信用があると設定されているTBSというテレビ局のニュースでも報道されているのだから、事実だと考えられる。

 

客も客なら売る方も売る方という様相を呈していて、外国人たる当方からすると、いくらネット通販市場が大きいとはいえ、こんな売り方・買い方で攻防戦を繰り広げるようなことはしたくないと思う。個人的には中国ネット通販市場など全く羨ましくも無いし美味しいとも思わない。

日本のネット通販市場は今後飛躍的に倍増するようなことはないと考えられるが、このような攻防戦の件数が低くて比較的安心・安全な市場であることをもっと享受すべきではないかと思う。

 

 

 

 

 

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