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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロ古着が当初計画通りに全国展開できない理由

2025年11月21日 企業研究 1

衣料品業界とメディアにはイメージだけで論ずる人が少なくないという印象があるが、ユニクロ古着に対して現状を踏まえずにイメージだけの高い期待値を語る人がチラホラと散見される。

何をもってユニクロ古着に高い期待値を寄せているのか当方には理解できないが、古着のマス化に役立つという視点なら、すでにセカンドストリートがほぼ制覇してしまっていて、今更ユニクロ古着にその市場への参入余地など無いと考えられることは、これまでも繰り返しこのブログでは書いてきた。

 

ご存知のようにセカンドストリートはすでに国内1000店舗以上を展開している。通常のユニクロ店舗よりも200店以上も多い。ワークマンとほぼ同等の店舗数である。

しかもワークマンとは異なりロードサイドだけでなく、大都市都心繁華街にも多く店舗がある。これは恐らくはかつてのレンタルビデオ店からの流用ではないかと思われる。

 

 

さて、イメージだけの人から謎の高い期待値を寄せられているユニクロ古着の現状を見てみよう。

ユニクロ/古着は3店舗のトライアルを継続、柳井康治取締役「商売サイクルが違う」

現状は「ユニクロ 世田谷千歳台店」(東京都世田谷区)、「ユニクロ 天神店」(福岡市中央区)、「ユニクロ 前橋南インター店」(群馬県前橋市)の3店舗でトライアルを実施している。

「安定した服の調達や、古着のビジネスモデルに求められる販売の仕方、お客様のニーズなどをつかみ切れていないところがある」(柳井取締役)

 

とのことである。

現状はまだ3店舗しか展開できておらず、当初の計画からは大幅に遅れている。それでは今年4月にテレビ番組で特集された当初の計画を見てみよう。

「ユニクロ」の“新しい古着” 常識を変える商品開発:ガイアの夜明け | テレ東・BSテレ東の読んで見て感じるメディア テレ東プラス

事業化に向けて本格始動した古着プロジェクトの目標は、5カ月後の2024年9月には全国展開を始まること。

とある。

 

 

 

現在は2025年11月なので計画よりも1年以上経過していて、3店舗しかない。過程や要因などを無視して結果だけから言えば、計画は大幅な未達である。これは厳然たる事実である。

なぜ、天下のユニクロがここまで当初計画を達成できないのかというと、先ほどの記事にもあるように、古着ビジネスのコツが把握できていないということは挙げられるだろう。餅は餅屋で、ユニクロは古着屋ではないのである。また「ビジネス」「サステナブル(笑)」という観点からのみで古着販売を進めていて、古着好き(好きすぎてもビジネスには害悪だと思うが)という観点を持ち合わせていないスタッフが、経営陣も含めて多いのではないかとも思う。

単純に安い古着を提供したいと思うのであれば、セカンドストリートを丸パクリすべきだが、ユニクロの場合は、新品製品が「低価格の割には高品質」というコンセプトが成り立っているため、古着にもそれを当てはめようとした場合、洗濯、リペア、染直しなどの作業が発生してしまう。その場合、工賃が必要となり売価に上乗せせざるを得ないため、セカンドストリート並みの低価格は実現できなくなってしまっている。

そして、古着販売においても、恐らくは新品販売並みの高利益率を求めているため、ファーストリテイリング社内においてはビジネスとして成り立たないという試算になっていると考えられている。

これは、先ほど紹介したテレビ番組でも触れられていた通りである。

 

 

当方は古着に興味も無いし、今後も買う気は無い。そのため古着ビジネスにおいては全く見識の無い門外漢であることは間違いない。

その門外漢からしても、ユニクロが目指している古着販売は、設計の各要素が矛盾していて成立しにくいと見える。

仮にユニクロの新品並みの高利益率を実現するために、ある程度高めの価格設定、例えば新品よりも高くなるほどの価格に設定したとする。

その場合、世の中にあまたある、ブランド古着との競争になるが、ユニクロにそこまで高いブランドステイタスがあるかというと、全く無いだろう。

 

 

極端な例で言えば、仮に、ラルフローレンの古着ボタンダウンシャツとユニクロの古着ボタンダウンシャツがほとんど同じ価格で販売されていたとしたら、どちらを買うだろうか。古着嫌いの当方ですら、間違いなくラルフローレンの古着ボタンダウンシャツを買う。

何なら、ユニクロのボタンダウンシャツが欲しくて、古着と新品が同じ値段なら間違いなく、ユニクロの新品ボタンダウンシャツを1000%買う。

 

 

ユニクロの古着には、消費者はある程度の安値を求めている。にもかかわらず、ユニクロが目指していたり、消費者が期待していたりする要素である「低価格の割に高品質」、そして「高利益率」ということをユニクロ古着では両立させにくい。これが現実である。何事においても美味しいとこどりは不可能なのである。

ユニクロの値上げが激しいから古着でも構わないから安い古着が欲しいという要望を満たすなら、セカンドストリートで500円、700円、900円で販売されている古着を物色した方が望みがかないやすい。

 

 

また、古着にこだわらず安いカジュアルが欲しいのなら、ジーユーの投げ売り値下げ品を買えば良いし、他のカジュアルブランドの値下げ品でもユニクロの定価より安い商品は実店舗にもネット通販にもある。

安さを求める消費者からすればユニクロ古着である必要性が全くない。これが見えていないイメージ語りの業界人とメディア人が多いのではないか。

 

ユニクロ古着が当初掲げている「全国展開」を実現させるのであれば、「低価格」「高品質」「高利益率」という3つの要素のうち、最低でもどれか一つは手放さねばならない。3つとも抱えたままで実現させられるような事態はよほどの天変地異でも起きない限り不可能だろう。

個人的には、広告宣伝費と割り切って「高利益率」を捨てて、採算トントンベースであれば良しとして、古着販売でサステナブル(笑)というポーズをとることが最も全国展開が実現できるだろうと思っている。

とりあえず、ユニクロ古着に限らずイメージだけの論調は何の役にも立たず、定点観測ことが重要だといえる。

 

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2025/11/21(金) 11:34 AM

    柳井会長は、昔やって失敗したユニクロでの野菜生産販売なんかも、他の役員が全員反対したのを押し切ってやり始めて、結果的に大失敗に終わっても担当社員はクビにしたりせず「経験を活かして金返せ」とGUの副社長~社長にしてたりするようなので、古着も最初から成功するとは思ってないのかも?w
    古着の担当社員もITコンサルティング会社からの転職で3年目の女性らしく、アパレル製造の知識も経験も皆無の人でしょうから、色々経験させるためにやってるまであるのかも?古着を手直しして販売とか手間が掛かって利益なんか出せないのは素人でも分かりそうですし。

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