大手企業がさらに強くなる傾向の衣料品業界
2025年10月29日 トレンド 0
先日、久しぶりに某ファッション系インフルエンサーのYouTube動画を拝聴していたら、「ファッションの先端層の人口はすごく少ない。その層を相手にする先端ブランドは売上高が伸びにくい」という主旨の発言があり、まあ、それはその通りだよなあ。と思った。
しかし、その少ない人口の市場に一体いくつのブランドがひしめき合っているのか、という点を考えると、スーパーレッドオーシャンでしかないと改めて感じた。
先日から、断続的に新規参入したいというブランドの相談を何となく聞いている。
マス層を狙うには、ユニクロ、しまむら、ジーユーあたりとの競合が予想され、よほどの資本投下が無いと難しい。上の層を狙うのは、粗利率は見込める確率が高いが、市場規模が小さい割に競合ブランドが多すぎて、成長することは難しい、と当方の目には映っている。
1億~10億くらいを狙ってがんばりたいというならそれもありだとは思うが、100億円を狙いたいというのであれば、かなり難しいだろうし、当方の手には余る。
一方、先日の繊研新聞には「大手10社の売上高が市場規模の7割を占める」という記事が掲載されたが、まさにその通りの構図が確立されており、大手はより大きくなる傾向が強まっていると感じる。
また、国内ユニクロの売上高が初めて1兆円を越え、国内市場規模の10%を占めると報道されている。ここにジーユー、しまむらを合わせると2兆円規模の売上高となり、国内市場の20%を占めることとなるから、ファーストリテイリング、しまむらを合わせた占有率は圧倒的といえる。
大手はさらに強くなっているという構図が端的に示されているのが、この記事ではないだろうか。
記事から表をお借りする。

まあ、詳細に1社ずつ見れば、それぞれに課題はあるし、手放しで「増収」とは喜べない部分もある。例えば、アンドエスティHDは増収ながら減益である。また、ワールドは増収ながら伸び率は低いし、衣料品は苦戦ながらプラットフォーム事業の好調で増収を達成しているという危うさもある。
とはいえ、まとめ記事としては存在価値がある。大手がさらに強くなる傾向は如実に反映されている。
大手がさらに強くということを感じらさせられるのは、特色ある企業やブランド、破綻企業を大手が買収するというケースが増えたことも挙げたい。
ご存知のように、実質的に経営破綻していたライトオンはワールドに買収されて再スタートを切っている。また昨年秋にはオンワード樫山がウィゴーを買収した。このTop5には入っていないが、TSIホールディングスは相変わらず企業買収に積極的だ。
今年7月にTSIは、フリークスストアのデイトナ・インターナショナルを買収。続けて今月はレインウェアのウォーターフロントを買収している。
TSI HDがデイトナ・インターナショナルを買収 取得額は283億円
TSI HDがウォーターフロントを完全子会社化 レインウェア事業新規参入へ
ビジネスモデルや企業規模などは全く異なるが、個人的には近年の動きはラグジュアリーブランドの多くがLVMHとケリングに買収されてまとめられていった経緯と似ている部分があると感じている。
独立独歩を貫くのであればよほどに強いブランド力と資金力が無いと不可能な時代になっているのではないかと思う。
少し前の話になるが、80年代にオリジナルブランドを作って販売していたという人にお会いしたことがある。その時にはすでに中堅アパレルに入社されて何十年というベテラン社員になっておられた。それ以降お会いしていないが、もう定年退職されているのではないかと思う。
80年代、DCブームや渋カジブームに沸いていたころなので、創業間もないオリジナルカジュアルブランドにもかかわらず、なんばシティで定期的にポップアップストアを開催させてもらえて、1週間で何百万円という売上高も稼げてホクホクだったとのことだった。
今でこそ、地下2階はユニクロとジーユーが大半を占める低価格ゾーンになってしまった「なんばシティ」だが、この当時はDCブランドを集めた「人気オシャレ施設」だった。同年代の中には、なんばシティの夏冬のバーゲンに徹夜で並んだという者も少なからずいる。
この人はバブル崩壊後に売れなくなって企業入社をしたそうだが、同じような経緯でそれなりの売り上げ規模にまで成長させたブランドも当時は少なからずあった。
しかし、この当時のようなサクセスストーリーは現在は実現が難しいと感じる。
そもそもマス層はファーストリテイリング、しまむらがガッチリ握っているし、アダストリアやウィゴーあたりで補完できてしまう。
先端層は感度も金払いも良いが、人口が少ない割に有象無象も含めれば競合ブランドが多すぎてスーパーレッドオーシャン化している。先端層に選ばれないブランドの方が多くなってしまう。
また、賢い創業者も増えていて、ある程度の規模感に成長させてから大手に高値で売りつけて自身はfireする。今後、大手が買収によってさらに大きくなるという図式は一層増えるのではないかと見ている。そのうちに著名ブランドのほとんどはいずれかの大手の傘下だという時代が来てもおかしくないと思っている。