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南充浩 オフィシャルブログ

地方・郊外の中小型百貨店の閉店撤退は今後もさらに続くだろうという話

2025年10月30日 百貨店 0

少し以前に、三陽商会の再建が踊り場を迎えている理由について、百貨店売上構成比率が高すぎるということを書いた。

三陽商会の現在の百貨店売上構成比率は65%である。直営店が5%で、残りはアウトレットとECが約15%ずつである。

近年の百貨店好調の報道で忘れ去られがちだが、百貨店各社の好調は、都心の大型旗艦店の好調と外商の増収によって支えられており、百貨店全体の店舗数は減少し続けていて、特に地方・郊外の中小型百貨店は閉店が続いている。そして、この流れは今後も変わらないだろうと考えられる。

一部の例外を除くと、総じて地方・郊外の中小型百貨店は苦戦続きであり、そこに売上高を依存している状態のままでは、三陽商会の業績が今後、急激に回復することはあり得ないわけである。

 

 

さて、そんな中、また地方・郊外の中小型百貨店の閉店が報道された。

髙島屋洛西店が2026年8月に閉店へ 1984年4月のオープンから約40年

 

高島屋が、髙島屋洛西店を2026年8月3日に閉店することを発表した。

髙島屋洛西店は1984年4月に開店。リニューアルや、京都店との連携による営業力強化、組織改編による業務効率化を図ったが、2024年度の売上高は47億5700万円だったが営業赤字となり、2025年度以降も黒字化の目途が立っていないという。また、今後も快適な購買環境を提供していくためには多額の設備投資が必要な状況にあるとしており、現下の店舗を取り巻く地域環境や不透明な消費環境などを中長期的に勘案した結果、設備投資を回収する目途が立たないことから閉店に踏み切ったという。売場面積は8079平方メートルで、従業員数は75人。

とある。

売上高が47億円程度で、さらに赤字が続いているなら閉店も当然だろう。店舗面積8000平方メートルというのもいかにも小さい。広い大型店に目が慣れてしまった現在の消費者からすると狭苦しく感じることだろう。

決算では好調が続く髙島屋ですら、岐阜店、堺店、この洛西店と立て続けに地方・郊外の中小型店舗の閉鎖を打ち出している。これが百貨店業界の実態といえる。

 

 

この洛西店は、「ラクセーヌ」という商業施設の中核店という形式である。あべのキューズモールの中核店がイトーヨーカドーでその周りに専門店街モールが展開されているのと同じようなスタイルだということになる。

ただ、ウェブ地図などを見ていると、この「ラクセーヌ」そのものも立地的に厳しいと感じる。なにせ、この施設の近隣には鉄道が通っていないのである。多分、最も近い駅は桂川駅だが、そこからバス移動になる。そうなると、京都府外からの集客はあまり望めない。あとは自動車駐車場がどれくらいの大きさがあるかだが、基本的に近隣市からの地元集客が中心だといえる。

 

 

当方は、京都府・京都市にはよほどの用事か仕事がある以外には一切出かけないので、これ以上の詳細は分からないが、ちょうど割と詳細に報じている記事があって勉強になったのでご紹介したい。

ニュータウンから百貨店が消える~高島屋洛西店、来夏閉店へ(中村智彦) – エキスパート – Yahoo!ニュース

洛西ニュータウンは1976年に入居が始まり、1982年4月にタウンセンター「ラクセーヌ」が開業。高島屋洛西店はその核店舗として出店した。

当初、京都市営地下鉄東西線の延伸計画があり、都心と直結するニュータウンとして注目を集めた。
しかし計画は実現せず、公共交通はバス路線のみ。「百貨店はあるが駅がないニュータウン」と呼ばれるようになった。
この交通の不便さが、長期的に若年層の流入を妨げ、人口減少と高齢化を加速させたとみられる。

京都市の統計によると、洛西ニュータウンの人口は1990年(平成2年)に約3万6,000人を記録したが、2022年には約2万1,700人にまで減少。
高齢化率は京都市全体の28.4%に対して、洛西ニュータウンでは40%を超え、住民の多くが高齢者となっている。入居開始が同時期だったため、世代交代が進まず、高齢化が一気に進んだことも影響している。

とある。

 

ラクセーヌもその中核施設である髙島屋洛西店もニュータウンの地元民だけが利用する施設となっていたということがわかる。しかも、鉄道駅が無い不便さゆえに、ニュータウンに新規転入する人はほとんどおらず、高齢化で人口は減り続けているため、髙島屋はおろかラクセーヌの維持すら難しいのではないかと思われる。

 

 

さらにいうと、バスで通わねばならない最寄り駅近くにイオンモール桂川店がオープンしたことにも触れられており、これがとどめを刺したのではないかと思われる。

2003年に阪急京都線「洛西口駅」、2008年にJR京都線「桂川駅」が開業。2014年には「イオンモール京都桂川」がオープンし、若年層の買い物先が街の外へ移っている。

洛西ニュータウンに住む大学生は「ラクセーヌに行っていたのは中学まで。高校生になってからは、イオンモールに行く」と話す。さらに「高島屋には若者向けの商品は少ないし、ラクセーヌにも同じ。

とあるが、電車を使って通勤・通学する人からすると、その行き帰りで駅隣接のイオンモール桂川店を使う方ことは、品揃えの豊富さ的にも時間効率的にも極めて当たり前の選択となる。

仕事・学校帰りに桂川駅で降りて、そのまま隣接するイオンモールで買い物をする方が、わざわざ、地元に戻ってまたラクセーヌに行くよりよほど効率的である。さらに言うなら、店舗面積が広いイオンモール桂川の方が品揃えも充実しており、ラクセーヌや洛西店を使わねばならない理由が無い。

記事は

高島屋洛西店の閉店は、単なる店舗撤退ではなく、「百貨店を核とした郊外ニュータウン型商業モデル」の終焉を象徴する出来事といえる。同店の跡地利用をきっかけに、地域のあり方や生活インフラの再構築が今後の課題として問われている。

と締めくくられているが、郊外ニュータウン型商業モデルの終焉だけではなく、個人的には、地方・郊外の中小型百貨店自体の終焉を如実に証明していると感じられる。それは洛西店だけのことではなく、これまで閉店した地方・郊外の中小型百貨店すべてに当てはまる。

くどいようで申し訳ないが、三陽商会のように百貨店売上高への依存が極めて強い企業は、百貨店店舗数は今後減少することはあっても増えることがないため、業績を成長させたり、急回復させたりすることはほぼ不可能な状態に陥っているということを真剣に受け止める必要があるだろう。

 

 

 

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