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南充浩 オフィシャルブログ

ワーキングユニフォームとカジュアルの融合は徐々に進んでいる?

2025年10月27日 トレンド 0

一口に「カジュアル」とまとめられるが、実際はさまざまなジャンルの寄せ集めで構成されている。

ザックリと分けると、トラッド、ワーク、スポーツ、ミリタリー、アウトドアあたりだろうか。特にメンズのアメカジはこの5つのジャンルの集合体といえる。

アメカジのみならず、広くカジュアル全般の定番アイテムの一つといえるのがジーンズだが、ジーンズは元々がワークウェアだったというのは多くの人がご存知のことだろう。

ペインターパンツ、ベイカーパンツ、カバーオールジャケットなどもワークウェアが起源である。

 

 

そのように、ワークとカジュアルは元来親和性が高い。

ただ、戦後に生まれた機能性ワークウェアは現在までほとんどカジュアル化してこなかった。というかカジュアルとして普及しなかった。

ワークマン人気が転機の一つになったように思われるが、2010年代後半くらいから、ガチワークウェアをカジュアル使用する人もチラホラと目にするようになってきた。

最も顕著なのは、バートルが嚆矢だったとされるデニム生地の作業服上下である。これをカジュアルとして別々に着用している人が増えた。デニムジャケットとデニムパンツをそれぞれ「デザインデニムウェア」という感じで着用している。

たしかに「作業服」という先入観を取っ払って見れば、デザインデニムに見えなくもない。

 

 

各ワーキングユニフォームメーカーによる商品デザインの洗練化とワークマン人気が徐々に消費者を変えているといえる。

その一方で、最近、現場ではほとんど見かけなくなったダボっとした鳶パンツ、通称ニッカポッカもまた注目を集め始めているらしい。しかも海外で。

最近、この「海外の鳶パンツ人気」のYouTube動画が複数アップされているが、その元ネタはこのGQの記事らしい。

「鳶ファッション」が世界を魅了する理由──職人スタイルの新たな地平 | GQ JAPAN

これは日本版GQの記事ではなく、英国版GQの記事だから、欧米で注目が集まっている(その度合いはわからないが)という話である。

彼らのパンツはとにかく大きくて、バルーンのようなシルエットだった。頭にはバンダナを巻き、足もとは足袋靴。まるで職人だ。ここは工事現場でもなければ、日本でもないのに。

 

とある。

事実なのだろうとは思うが、なかなか面白い傾向だと感じる。

 

その一方で、この記事をネタ元としたYouTube動画のコメントには「30年くらい前にも鳶パンツブームがあったが、一時的な物に終わった」というものも複数あった。

 

 

思い返してみると 、たしかに30年くらい前の90年代半ば過ぎ頃には、鳶服で有名な老舗メーカー、寅壱が複数の有名ブランドとコラボして鳶パンツを発売していた。

そこに至った経緯をさらに思い返してみると、90年代半ばのビンテージジーンズブームによって「ビンテージ」とか「復刻」とかそういう「いわくつき」アイテムがメンズカジュアルでは注目されるようになった。

そうは言っても、ジーンズだけで復刻、ビンテージレプリカをやり続けても限界もあるし、消費者も飽きてしまうので、ジーンズ以外にもこの嗜好は少し広まった。その一つとして、何十年前からの伝統的スタイルである鳶パンツにも注目が一時的に集まったのではないかと個人的には見ている。

ちょうど、ビンテージジーンズのシルエットが太目だったことも鳶パンツとの親和性が感じられた部分もあっただろう。

 

 

しかし、一部のマニアを除くと、その後の細身ブームによって太目シルエットのズボンはかき消された。もちろん鳶パンツも。

その鳶パンツが約30年ぶりに復活しているのは、近年のワイドパンツ復活とは大いに関係があるだろう。ワイドパンツが復活して10年前後となっている。業界では「もうそろそろ終わるのではないか?」と毎年言われながらもいまだに終わっていない。

個人的には選択肢の一つとして定着しつつあると感じる。

 

 

通常のワイドパンツは脚がまっすぐに太いものだが、最近では楕円シルエットに近いバレルレッグパンツやカーブパンツ、バルーンパンツなどが開発されている。

ジーユーのバレルレッグジーンズが一時期完売したほどの人気である。

もちろんブランドによってシルエットはそれぞれ若干違うが、極太のバレルレッグやカーブパンツ、バルーンパンツは正直に言うと、鳶パンツに近いように見える。

例えば、当方が愛用する通販サイト、アンドエスティの新着アイテムである。レイジブルーのカーブデニムパンツだが、これは裾を絞ればほぼ鳶パンツである。画像はサイトからお借りした。

 

実際の細かいディテールは別として、裾をブーツなどにインすると鳶パンツとほとんど変わらない見た目になる。

 

 

GQの記事は鳶パンツ以外にも注目されている日本のワーキングユニフォームを挙げているが、「機能性」に共通点を見出している。

ワイドパンツ復活と機能性という2点で鳶パンツも注目されているといえる。

 

 

今回の人気も30年前と同様に一時的な物として消える可能性もあるが、社会の雰囲気は30年前とは変化しているので、選択肢の一つとして残る可能性も低くないと考えられる。果たしてワーキングユニフォームがかつてのジーンズのようにカジュアルに融合できるのか、注目して観察したいと思う。

 

 

 

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