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南充浩 オフィシャルブログ

商業施設で衣料品売り場への「シャワー効果」が消えた理由

2025年10月24日 トレンド 0

新しい商業施設がオープンしたり、商業施設が改装リニューアルオープンしたりすると、行きやすい範囲内であれば、一度見に行くようにはしている。

その際は、よほど時間が無い時以外は全フロアを見て回わるようにしている。これらの作業はあくまでも仕事の一環である。

2度目、3度目に訪れる際は完全に仕事ではない。その際は目当てのテナントショップに行くだけということが多い。仕事が無さ過ぎて暇で暇で仕方がないときは、ほかのテナントショップもチラ見するが、それ以外だと目当てのショップに行くだけである。

 

 

理由は全フロアを何回も見て回るのはめんどくさいし、時間もかかる。それに現在はウェブというツールがあるので、フロアガイドを所有しているスマホなりパソコンなりで調べることが容易なので、興味のあるテナントだけを絞り込むことが自宅に居ながらできる。

そういうわけで、例えばポップアップストアがオープンしたり、何らかのイベントが行われたりした際でも、見に行くことはあるが、それ以外のフロアを回ることは当方はほとんど無い。

「ガンダム 水星の魔女」がテレビ放映される少し前、まだコロナ自粛が全面解除されていない時期だったと記憶しているが、グランフロント大阪でガンダム展が開催された。ちょうど梅田に用事があったので、そのついでにガンダム展に立ち寄ってみた。

コロナ自粛が全面解除されていない時期だったので、今ほどの混雑ではなくて人混み嫌いの当方からすると助かったわけである。

 

 

その際、他のショップを見て回ったかというと、行かなかった。

理由は先述した通りである。そもそも当方にグランフロント大阪に馴染みの店が無い。せいぜいが、たまにセール品を買うために利用する無印良品くらいである。

あくまでも当方だけに限定すると、当方は「シャワー効果」「買い回り効果」がほぼ期待できない消費者といえる。そしてこの行動、性質を改める気も毛頭ない。

 

 

繊研新聞にこんなコラムが掲載された。

《めてみみ》消えたシャワー効果 | 繊研新聞

「シャワー効果がなくなっている」と地方百貨店の幹部が強調していた。シャワー効果とは、上層階に集客力のある店舗や催事を置き、顧客を上から下へと誘導、施設全体の売り上げ向上を狙うという戦略の一つ。ただ、物産展などの催事で広域からの集客を実現しても、中・下層階の常設売り場との買い回りはほとんどないという。「だから、催事単体で収支を考えることが重要」と続けた。相乗効果が期待できないからだ。

とある。

そして

同様の話をよく聞くようになった。アニメ・キャラクター関連催事に力を入れている別の百貨店は、効果があるのは飲食ぐらいと話す。新規獲得を狙い大型雑貨専門店を導入した百貨店は、百貨店部分との買い回りが一向に高まらないことを嘆いていた。

買い回りの少なさは、百貨店の長年の課題だ。特に食料品と衣料品や化粧品などとの買い回りは、既存顧客であっても少ないと聞く。「客層が違う」とあきらめ顔で話していた経営幹部を思い出した。

物価高が続くなか、節約志向やメリハリ消費は続くだろう。セールでも単品買いが増えているようで、衝動買いや、ついで買いを促すのが難しくなっている。高単価中心の百貨店ではなおさらだ。対策は、催事告知と連動して関連するお薦め商品を事前に紹介し、目当ての商品を増やすことぐらいだろうか。皆が頭を悩ませている。

 

と続く。

 

当方と同様の性向の人は増えているようで、いわゆる「富裕層」「ファッション感度の高い人」が多いとされる百貨店利用客にも増えているということになる。

実はこの傾向はコロナ禍前からあったと感じている。2010年代後半まで年に複数回、阪急うめだ本店の10階、または9階でポップアップを運営していたことがあった。

この際、9階の催事場で「北海道物産展」が開催されると、流れてくる客が必ず激減するのである。近隣の出店者や阪急のスタッフに尋ねると、

「北海道物産展の集客力はすごいが、お客の目当ては物産展なので他のフロアやショップへ足を伸ばさない傾向が強い。それに、お金を物産展で使い果たすから他のショップでは買わないというケースも多いと見受けられる」

という傾向分析が返ってきた。

 

北海道物産展に来る客の多くは、北海道物産展に興味があるだけで他のショップには興味が無いわけである。百貨店とすれば集客が増えて北海道物産展の売上高は増えるが、他の売り場への相乗効果はほとんどないというのが2010年代後半の現状だった。

 

 

開催期間が終了してしまった大丸梅田店5階のキャラクターフロアだが、開催期間中何度か足を運んだが、平日昼間でもすごい来店者数だった。

ただ、そのお客が他のフロアに足を伸ばしている様子はほぼ無かったと感じられた。他のファッションフロアはガラガラである。せいぜい、カフェなどの飲食店くらいだ。それはコラム内にも書かれているのと同様の傾向があった。

当方もそういう嗜好になってきているが、キャラクター売り場に興味のある人は他の衣料品フロアには興味が無いのである。しかし、人間は服を買わなくても何の痛痒もないが、のどの渇きと空腹は覚える。キャラクター売り場の商品争奪戦で疲れると、肉体的苦痛を解消するため飲食店には立ち寄る確率が高くなる。

コラム中で「せいぜい飲食店くらい」と限定的な効果が語られている理由である。

 

 

また、百貨店の柱の一つである食品、化粧品との衣料品の買い回りも少ないとのことだが、キャラクター売り場客と同様に、その人たちの目的はあくまでも食品や化粧品であり衣料品ではないということである。百貨店客、ファッションビル客両方ともに衣料品に対する関心はピーク時に比べると相当に低下していて、食品、化粧品、キャラクター売り場、地方物産展は「それ目的の人だけ」が押し寄せるという構図になっていると考えられる。

その結果が、2020年以降の新商業施設、改装リニューアルでの衣料品店削減、飲食・キャラクター売り場増加という傾向に表れているのだろう。

 

個人的には、2000年代前半までのような「衣料品熱」が消費者に戻ることは今後無いと思っている。

 

 

 

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