実店舗とネット通販の両輪が必要不可欠だという話
2025年10月22日 ネット通販 0
コロナ禍の長期営業自粛によって、ネット通販の重要性が浸透した。
もちろん、それ以前から認識はされていたが小規模店や老経営者にとっては、ややもすると「無関係」と思われがちだったが、実店舗が長期間営業できないとなると、ネット通販の有無が死活問題に直結することとなった。
ネット通販だけで実店舗の売上高を埋めるのは不可能だったが、それでもネット通販があれば必要最小限の売上高を確保することはできた。ネット通販が無い店舗やメーカーは必要最小限の売上高すら確保できなかった。
そのため、自社がネット通販を保有することの重要性が浸透したといえる。
その一方で、過剰なネット通販崇拝が一部で高まったことも事実だが、逆にネット通販だけでよいとは言えないというのが個人的な意見である。ネット通販に比重をかけすぎることは、また危険性も大いにはらんでいるといわねばならない。
その顕著な例が無印良品だろう。ご存知の通り、アスクルがランサムウェアに攻撃され、システムが停止している。無印良品の発送などはアスクルに依頼していたため、無印良品のネットストアは10月22日現在もまだ停止したままである。
「無印良品ネットストア」受注停止、再開時期未定 「無印良品週間」は店舗のみで実施へ
「無印良品」を展開する良品計画が、公式オンラインショップ「無印良品ネットストア」の受注および出荷業務の停止を発表した。再開時期は未定。これに伴い、10月24日から11月3日まで開催を予定している「無印良品週間」はネットストアでの実施を取り止め、店舗のみで開催する。
ネットストア受注停止の背景は、配送業務委託先のアスクルの身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」感染に伴うシステム障害によるもので、10月19日21時から休止状態となっている。公式アプリ「MUJIアプリ」の一部機能にも影響が出ているという。良品計画がランサムウェアに感染したという事実はなく、実店舗の物流配送には影響がないとし、通常通り営業を継続する。
とのことで、今更、当方ごときが紹介するまでもなく大々的に報道されたので多くの方はとっくにご存知のことだろう。
無印良品は実店舗の方がネット通販よりも売上高が大きいため、ネット通販が停止しても業績に大打撃を受けるということはないだろう。ただ、多少の影響は否めない。
だが、無印良品がネット通販に比重をかけすぎていたり、ネット通販専用ブランドだったりした場合を仮定すると、かなり悲劇的な状況に陥っていただろう。
ネット通販にもリスクはいくつも存在するのである。
このランサムウェアによるシステム停止は近年頻発している。アスクルの前はアサヒビールで、アサヒビールはしばらく出荷できずに売り場や居酒屋から一時的にアサヒビールの商品が消えた。
その前にはニコニコ動画へのランサムウェア攻撃があった。
このように見てくると、今後も業界の分野を問わず、ランサムウェアのシステム攻撃による長期間のシステム停止はあり得ると考えられる。
実店舗もパンデミックなどによって長期営業停止のリスクがあるが、逆にネット通販も相応のリスクがある。
結論からいうと、リスクヘッジのためには実店舗とネット通販の両方を運営しておくことが重要ということになる。もちろん、バランスは各社の内情によって異なるが、どちらか一方がゼロということは非常にリスクが高い。
アパレルが破綻、撤退するたびにマスメディアが紋切り型に「ネット通販全盛に押されて」と枕詞を付ける風潮に強い違和感がある。
破綻、撤退したアパレルもネット通販をやっとったやろ?そのアパレルの知名度が高ければ高いほど相応にネット通販もやっていたはずである。ネット通販に押されてという枕詞はおかしいのではないか。
それと実態と照らし合わせてもすべてをネット通販のせいにすることは無理がありすぎるだろう。
衣料品分野ではネット通販比率は平均で20%くらいである。もちろん、ネット通販専業ブランドもあれば、実店舗しかない小規模ブランドもあるだろう。
しかし、平均すると売上高の8割はいまだに実店舗なのである。この8割が2割に押されて破綻、撤退したというのは理屈に合わない。
現状、一部の先鋭的な人はどうだかしらないが、マス層はネットと実店舗をミックスして使う傾向が強まっている。というか、普通に生活の知恵としてそうしている。
ネットで見つけた物を実店舗で試着して買う、実店舗で見つけた物をネット通販で買う。そういうことは当たり前の行われており、消費者からするとメリットのある方で買うだけのことで「私は絶対にネット通販でしか買いたくありません!」という人はかなりの少数派だろう。
今の時点では決して「ネット通販全盛」ではなく、ネット通販も販路の一つに過ぎない。
出版物・文書でもそうだが、かつてはネットに上げれば永久保存できると思われていたが、ネットに上げた文書はプロバイダーや発行元、サーバーの都合で簡単に削除されて消滅してしまうことが最近は判明している。半永久的に保存するには紙媒体の方が向いている。紙もネットもどちらも一長一短しかない。
結局のところ、無印良品の長期ネット通販停止は他のアパレルにとっても対岸の火事ではない。それだけに「ネット通販全盛」というメディアの変な枕詞に踊らされることなく、ネット通販と実店舗の両輪を使って堅実な体制を築いてもらいたいと思う今日この頃である。