国内衣料品消費市場規模が金額ベースで回復しても数量ベースは減り続ける理由
2025年10月17日 企業研究 0
そういえば、2022年のウクライナ侵略を契機としてにわかにコスト高騰に拠る物価上昇が顕在化した。
今年夏のコメ高騰以外でも毎日、価格高騰を実感しておられる方も多いのではないかと思う。もちろん当方もである。
もちろん、衣料品の価格も上昇していることを強く痛感する。
24年衣料品消費市場 金額はコロナ禍前の水準に 数量は過去5年で最低 | 繊研新聞
繊研新聞社が推定した24年の日本の衣料品消費市場の規模は、金額ベースでコロナ禍前の水準に回復した。数量ベースでは2年連続で減少した。過剰在庫を値引きで消化するビジネスモデルからの脱却が進み、円安など調達コストの上昇で服の価格はさらに値上がりした。諸物価の上昇に歯止めがかからず、家計支出は増加したがファッションへの支出は19年比で依然として低い。
という記事が掲載されたのだが、まさにこの通りだというのが当方の体感である。
コロナ規制解除によって、人流は回復した。商業施設や飲食店、映画館なども賑わっている。先日、6年ぶりに東京に行ったが、渋谷・池袋の人間の多さは梅田にも増すほどで、正直かなりしんどかった。当方は人間が多すぎる場所が苦手である。
商況報告や決算などでは、コロナ前の売上高まで回復したりそれに近づいているアパレル企業もすっかり増えたが、売上高が回復ないし回復傾向にあるのは、商品単価が上がったからではないかと感じる。値引き価格はまだしも定価は確実にほとんどのブランドで値上がりしている。定価購入客が以前と同じなら、売上高は確実に増える。
一方、売り上げ枚数は良くて同等、下手をすると少し減っているというのが全体的な流れだろう。理由としてはこの記事が挙げている「家計支出の増加」による節約が大きいと感じる。また、娯楽支出先の多様化も大きいだろう。
家計支出の増加による節約に関していえば、ほぼ全分野の生活コストが上がれば何らかの節約を講じる必要がある。給料も上がっているのかもしれないが天引きされる社会保障費も上がっているため、可処分所得は伸び悩んでいる人が多い。
そこに加えて、食糧費、光熱費、交通費などすべてが上がれば他の何かを節約するしかない。真っ先に節約対象となるのは衣料品であることは言うまでもない。
終戦直後の物のない時代ならいざしらず、最新トレンドかどうかを気にしなければ、すでに手持ちの服をたくさん持っている人が多い。そうなると、ファッションが趣味の人以外は衣料品を買う量を減らす。何せ服も値上がりしているのだから、節約するには買う枚数を減らすしかない。
さらに、娯楽が多様化しており、支出先は増えている。音楽や動画配信のサブスク、あまり好きな言葉ではないが「推し活」、グルメ、アウトドア、スポーツ、ゲーム、ガンプラ、釣りなどなど多彩である。
いまだに「洋服に最も支出している」という人は業界内でも体感的にかなりの少数派である。繊維・衣料品業界の人だって、衣料品以外の趣味への支出を優先している人の方が多いと感じる。
かくいう当方も衣料品への支出は年々減っている。どうしても欲しいと思う服もブランドもすでに無い。
服を争ってまで買う人はほとんどいないが、ニンテンドースイッチ2は争って買う人が多いというのが、この動きを象徴しているだろう。
そんなわけで、当方が今年実店舗で買った服はジーユーの最終値下がり品がほとんどで、そこにチョロっとユニクロの最終値下がり品、さらにチョロっとワークマンの商品を足したくらいである。
買う枚数は激減したものの、いまだにユニクロの商品パトロールだけは欠かしていない。主にネットで確認しながら、実店舗にたまに立ち寄る。
先日、ユニクロの期間限定値引き品を見ていたら気付いたことがあった。
それは、メンズのシャツ類の定価が1000円値上がりしているのである。一時期はメディアでも「〇〇社が何品番値上げ」というのを盛んに報道していたが、今回のユニクロ今秋冬の値上げは報道されていない。
オックスフォード、ブロードシャツともに定価が1000円値上がりして3990円になっている。期間限定値引きで2990円である。
記憶だと今春夏商品までは定価2990円で期間限定値引きで1990円だった。
決して高すぎるとは言わないが、定価3990円になると「ユニクロの安さ」とはちょっと言えなくなってきていると当方は感じる。さらにメンズのラムウールクルーネックセーターも定価3990円に1000円値上がりしているし、今秋のワイドストレートジーンズも1000円値上がりの4990円になっている。
ざっくりとほとんどの商品で1000円値上がりした感じとなっている。
これまでのユニクロだとパンツ4990円というのはデザイナーコラボラインの価格設定で、通常ライン品は3990円か2990円だった。
メンズシャツ、ラムウールクルーネックセーターだとざっくり33%の値上げだし、ワイドストレートジーンズなら25%の値上げで、金額は他のブランドよりも低いかもしれないが値上がり率はかなり高い。
ユニクロの今秋冬商品のそんな値上がりを見て、衣料品消費規模は金額ベースは回復しても数量ベースは今後も回復せず、逆に減り続けるのではないかと思って眺めつつ、生活防衛のためにさらに当方も購入枚数を減らそうと固く誓った次第である。