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南充浩 オフィシャルブログ

黒字化を達成した三陽商会が再び低迷期に突入しつつある理由

2025年10月9日 決算 1

何事につけても永遠に上昇し続けるということは難しい。

三陽商会も今、そういう状況になっているのではないかと思う。

2020年から大江伸治氏が社長に就任し、2023年に黒字化に復活した。その手腕は見事だったが、その三陽商会がまた苦戦に転じている。

業績回復は成ったが、次の成長を続けるには恐らく、社内外すべてのシステムが対応できていないのではないかと思われる。もちろん、現経営陣の判断も含めて。

いわば停滞期に突入したのではないだろうか。

 

三陽商会が営業赤字に 3〜8月期、百貨店販売が低迷

 

三陽商会の2025年3〜8月期連結業績は、営業損益が2億1300万円の赤字(前年同期は5億9900万円の黒字)になった。主力販路である百貨店での販売が低迷し、特に春先の低気温が影響して3〜5月の売上高が前年同期比6%減と苦しんだ。6〜7月も春夏のプロパー販売は同10%減で、在庫増加に伴うセール販売に膨らんだ。8月に盛り返したものの、シーズンを通じた利益は目減りした。

売上高は同3.1%減の270億円だった。前年同期比で約8億6000万円少なく、当初計画費で約13億6000万円の未達だった。プロパー販売比率は7.5ポイント低下の59.7%で終わった。セール販売の増加によって粗利益率は2.3ポイント低下した。純利益は2億9900万円だった。

とある。

2025年2月期連結も減収大幅減益で終了しており、その不振は明らかである。

00.pdf

 

記事ではその解決策として

通期(26年2月期)は、売上高599億円(前期比1.0%減)、営業利益23億円(同15.3%減)、純利益41億円(同2.3%増)を予想する。新規出店を増やして売り上げを確保するとともに、調達原価率の抑制、商品供給のコントロールなどによって粗利益率を改善させる。

 

なぜなら、新規出店増加で売上高を維持させようとしているからだ。黒字化の手段として調達原価率の抑制と、商品供給のコントロールを挙げていて、これは当たり前の手段でしかない。新規出店を増やすということは、それだけ出店コストが増えることになる。果たして、原価率抑制と供給コントロールだけで黒字化を達成できるのだろうか?個人的にはかなり難しいと感じる。

 

さらにいえば、中間決算で2億1300万円の営業赤字なのに、通期の営業利益目標は23億円である。下半期の営業利益額は25億1300万円が必要となり、残り半年だけで25億円も営業利益を稼ぐことはかなり難しいと思われる。

 

 

では三陽商会が25年2月期から停滞期に突入した理由はなんだろうか?

もちろん様々な要因があるのは承知しているが、最大の理由は、百貨店販路に依存しすぎていることにあるのは各記事が指摘している通りである。

00.pdf

今中間期の販路別売上高では、百貨店の売上高が構成比で62%を占めている。これは25年2月期とほぼ同じ構成比である。直営店が6%、EC・通販が15%、アウトレットが14%、その他が3%となっていてこの構成比も25年2月期とほぼ変わらない。

 

百貨店の商況如何によって、三陽商会の業績は大きく左右される。

百貨店の業績に左右されにくい体質を作るにはどのようにすべきかというと、新規販路を作る既存の他販路の利上げ規模を拡大させる、この2つしかない。

 

 

「強味をさらに伸ばす」という目的から百貨店にさらに注力するという手もあるが、個人的には現実的ではないと考えられる。理由は、百貨店の店舗数は減ることはあってもこれから増えることはないからである。これからわざわざ新規で店舗を出店する百貨店は国内には無い。

そうなると、既存の百貨店店舗で頑張るほかないが、この何年間かの業績回復によって、各百貨店での売上高は限界値に近いほどに伸びきってしまったのではないか。平たくいうと「伸びしろ」がもう百貨店販路には無くなっているのではないだろうか。

 

 

となると、新規販路の開拓だが、三陽商会にショッピングセンターへの出店は無理だろう。恐らく低価格商品を企画・生産することができない。

ならば、ファッションビルへの出店強化ということになるが、それは「直営店」販路を強化することにつながる。

既存販路の強化策としては真っ先に取り組むべきが直営店である。売り上げ構成比が6%に過ぎないというのは少なすぎる、弱すぎるのである。

 

 

先ほどの資料を見てもらえばわかるが、直営店販路の売上高は毎月2億円くらいしかない。これはやりようによってはもっと伸ばせる。ただ、百貨店体質が浸み込んでいる三陽商会にファッションビル向けの商材・ブランドを強化できるかどうかはかなり疑問である。着手するにせよ、相当にしんどい作業になることは間違いない。

次に強化すべきはEC・通販だろう。

毎月6億~8億円くらいの売上高でうろうろしている。これもやり用によっては、毎月コンスタントに10億円に到達させることは可能だと思われる。

 

また、こんな記事もある。

赤字転落の三陽商会が眠らせたままにする「40億円の利益」を生み出す横軸【いづも巳之助の一株コラム】 | 

 

お気楽な書き方だが、一言でまとまるなら「物流の見直しによるコストダウン」である。当方は物流は全く専門外だからわからないが、再考してみる価値はあるだろう。

 

大江社長が三陽商会を黒字転換させた手法は、一言でいうなら「凡事徹底」だったのではないかと思う。多すぎる品番数を減らしてコスト削減を図る、見かけだけのアホなプロモーションをやめる、などである。ただ、この手法だけでは次の成長に向かうには不十分になって来つつあると考えられる。百貨店依存と、新規出店での売上高増、この2つの考え方に凝り固まっていると三陽商会の不振はまた長引くことになると、個人的には見ている。

 

 

 

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 comment
  • ミナミミツヒロ的けち人間 より: 2025/10/10(金) 12:04 PM

    ふつうの人びとも、とーしかさんもw
    今どきアパレルなんざに興味はないと思うけどww

    国内減分を海外で補えない業界は、
    会社を小さくするorたたむ運命にあるのを
    受け入れるしかないと思います

    ましてや世代間の顧客継承がほぼゼロになった
    百貨店メインの会社でしょう?

    粉飾等いろいろあったけど、レナウンの消滅は
    需要消滅が大きな原因の1つでした

    今後も同様の消滅が起こるのでは?

    パパママのコートとカジュアルはバーバリーで
    お子さんはスコッチハウスで

    お父さんの仕事着はダーバンで
    ママのおしゃれ着はレリアンで

    という時代があったんですよ

    けど今は、全員ウニクロGUになりましたから
    それも所得に関わらず・ね・・・

    そういやサンヨーは会社縮小済ですよね・・
    これ以上規模を縮小できるのかな・・・

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