バブル期から半減した衣料品への支出額、年間の購買点数も30%減少
2025年9月29日 考察 2
同年代の業界人や少し年長の元業界人にお会いすると、最近はあまり洋服を買っていないとおっしゃられることが多い。
当方も以前に比べると切実にこれが欲しいという洋服は存在しなくなった。ただ、当方の場合はご存知の通り値引き品ばかり買っているので、支出額としてはそんなに多くないが、年間に買っている枚数はかなり多い方だろう。
しかし、買ったそれらが切実に欲しかったかと問われるとそうでもない。買えなかっても仕方がないなと諦められるレベルである。
同年代の人、少し年長の方々があまり衣料品を買わなくなったというのは、当方も含めて老化現象でもあると思うが、何となく全世代共通で衣料品への支出意欲は全盛期に比べると低下している傾向があると感じる。
先日のこの報道もそれを裏付けるのではないだろうか。
24年衣服代、バブル期から半減 月額3336円、共同通信分析(共同通信) – Yahoo!ニュース
衣服と履物の1人当たりの全国平均購入額が、過去40年間でピークだったバブル期の1991年の月額6671円から、2024年には50.0%減の3336円となったことが24日、共同通信の分析で分かった。道府県庁所在地と東京都区部の計47都市をみると、全都市で減少。松江市や福井市などで落ち込みが目立った。項目別では、和服が86.5%減、子供服も大きく減った。1年間の購入点数も約17点から約12点となっていた。
とのことである。
これに対して、当方の知人たちからも「大衆層は低価格ブランド群に流れてしまった」とSNS上で分析する声が多かった。それはその通りだろうと思う。ただ、減少の原因はそれだけではないと個人的には考えているし、低価格ブランド群だけのせいにして溜飲を下げるのであれば、衣料品の購買低下はまだまだ下げ止まらないのではないかとも思う。
記事では
ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は「食費や通信費など固定費と比べ、衣服代は節約しやすい。少子化や高齢化も減少の原因だろう」と指摘。ユニクロや西松屋など低価格量販店の登場やインターネット通販、フリーマーケットなどで売買される古着の人気も定着しており、背景には消費者の意識の変化もありそうだ。
と分析している。
様々な事象は一つの要因だけで決まることが少ないから、記事の分析も要因の一つであることは間違いない。
ただ、この分析も要因の一つに過ぎないと思う。
高齢化によって洋服の消費意欲が減退することは当方は身をもって痛切に体感している。50代から上の世代の方も同様ではないかと思う。
ただ、これまで書いたことの繰り返しになるが、それらの要因以上に、大衆層にとっての支出優先先が衣料品ではなくなったということが大きいと個人的には考えている。
例えば、35年前、当方が大学生だった当時、大学の友人たち(モテないので男性ばかり)の支出先は、酒(合コン含む)、たばこ、自動車、服くらいしかなかった。当時の男子大学生にとって、支出先の上位に洋服はランクインしていたと感じる。
しかし、今はどうだろうか。
大学生に限らず全年代で支出先として洋服の順位は下がっているのではないだろうか。例えば、動画配信・音楽配信へのサブスク、コスメ、ネイル、エステ、スポーツジム、アウトドア系の趣味、自転車、アニメ、推し活、ガンプラ、などと娯楽は多様化している。
比較的接触することが多い業界人でも衣料品の購入に意欲をみなぎらせている人は少なく、衣料品以外の趣味の商材や活動に支出の比重をかけている場合が多い。当方も新作の服をわざわざ発売日に買いに行くことはないが、ガンプラの新作発売日はほとんどの場合、地元のジョーシンに開店前から並んでいる。
さらにいえば、社会保障費の徴収額が増えすぎて可処分所得が伸びない上に、各種の物価が上昇していることも衣料品への支出を避ける傾向を強めているといえる。
記事内にもあるように「食費や通信費に比べ、衣料品は節約しやすい」というのはその通りである。食べないと健康を損なうのと物価高騰で食費を大幅には削りにくい。また通信費よりもそれ以上に、電気料金・ガス料金・水道料金は命を維持するために優先せざるを得ない。
そうなると、割を食うのは趣味への支出と衣料品支出になるのは当然の流れである。
ただ、その際、衣料品よりも趣味への支出を優先する傾向が今の人たちに共通しているのではないだろうか。よほどの特殊な事情の人を除くと多くの人はすでに自宅のタンスに衣料品を多く抱えている。
最新トレンドかどうかを気にしないのであれば、すでに所有している衣料品を着用すれば事足りてしまう。
おまけにマストレンドは多様化している。
2010年代までのように「今年の〇〇」を着ていなかったとしても奇異に映ることは無いから、手持ちの洋服を着ても十分対応できてしまう。
そうなると、衣料品を優先的に買わねばならないという理由は何もなくなる。
それでも衣料品を優先的に買っている人は、それは「衣料品が趣味」だからである。ガンプラを趣味とする人が衣料品購入よりもガンプラ購入を優先するのと理屈は同じである。
で、記事内でもう一つ気になったのが年間の購入点数が減っている点である。以前は17点だったが、昨年は12点に減っていて平均で5点減らしている。実に30%減である。
衣料品の購入金額が低下したのは低価格ブランド群の伸長によるところが大きいことに異論はないが、購買点数が減っているということは、それだけ、衣料品をたくさん買いたいという意欲が無くなった人が多いということだろう。当方がかねてから書いているように、衣料品への支出優先度が下がっていることの証左となるだろう。
この衣料品への購買意欲の低下を加味して考えずに、低価格ブランド群の伸長ばかりに焦点を当てると、低価格競争で値段を下げ続けているのに売れないという事態になってしまう。
comment
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sake より: 2025/09/30(火) 12:26 PM
今夏も音楽系野外フェスもは概ね盛況だったらしい
会場ではTシャツなど様々な衣料品が割高で売られているが 熱心なファンの購入意欲は高いように感じる 統計にフェスや映画館などのの売上は含まれているのだろうか?
嵐ファンに聞いたところ ライブに行ったら Tシャツを買い 即着替て参加するらしい(もちろん全員ではない)→過去のライブTを何枚も持っているにもかかわらす
後半メンバーが同じTを着て登場した場合 一体感が堪らないらしい
こうした参加体験的な商材は根強いのだろう
今夏も音楽系野外フェスもは概ね盛況だったらしい
会場ではTシャツなど様々な衣料品が割高で売られているが 熱心なファンの購入意欲は高いように感じる 統計にフェスや映画館などのの売上は含まれているのだろうか?
嵐ファンに聞いたところ ライブに行ったら Tシャツを買い 即着替て参加するらしい(もちろん全員ではない)→過去のライブTを何枚も持っているにもかかわらす
後半メンバーが同じTを着て登場した場合 一体感が堪らないらしい
こうした参加体験的な商材は根強いのだろう